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恋愛中毒  作者: みかち
4/9

東京の彼。第3話。同棲。

付き合うのと、同棲するのが同時なんて、不順だと思う。



親に報告したのも事後報告だったし。








私達は一緒に住み始めた。



一緒に住んでみて、お互いの価値観の違いとか、寝相の悪さとか、お風呂の長さとか、そういうことが気になってくるものだ。



私達は、お互い、全然何も気にならなかった。



不思議なことだと思う。



食べ物の好き嫌いも嫌でなかったし、朝起きた時の機嫌の悪さも気にならなかった。



「似たもの同士」



だったのかもしれない。



お互い、赤の他人と暮らすことはもちろん初めての経験だったし、ずっと一人暮らしだった彼は、誰かと住むこと自体久しぶりのことだった。



二人は、いつも機嫌よく目覚め、機嫌よくご飯を食べた。



何をするのも一緒だった。







二人の家は、駅から遠く、最初のうちは歩いて通っていたが、面倒くさくなり自転車を買った。



荷台が付いている「ママチャリ」だった。



色は青で、タイヤが大きかった。



彼は、自転車に私を乗せ、駅まで通った。



もちろん彼が疲れたら、私もこいだ。



行動範囲が俄然広がった。



少し離れたところにあったスーパーマーケットにも行き、駅の反対側のプールにも行った。



何をするにも自転車での移動だった。



青い自転車は、大切に、5年間乗られることになる。









私達の住むマンションはとても狭く、柱が部屋の中に突き出していたため、1Kの一室は、6畳無かったと思う。



その部屋に二人の荷物がぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。



彼の荷物はそんなに多くなかったし、私の荷物も女の子にしては少ない方だったと思う。



それでも、引越しの時なんかは、段ボール箱が山積みになった。








キッチンは狭く、電気コンロが1つしか付いていなかった。



料理を本格的に作ろうとすると大変だった。



彼と住み始めてから最初の方は結構がんばって料理もした。



後半はコンビニ弁当ばっかりだったけど、たまに気が向くと料理をした。



二人では食べきれないほどの餃子をつくったり、彼が好きだといった煮物も作った。



私は料理が好きではなかったが、彼も手伝ってくれたので、二人でする料理は好きだった。



誰かがおいしいといってくれるのは、嬉しいことだと初めてわかった。



そんなふうに何にも無く、ただ、毎日が楽しかった。



彼といること、彼とくだらないことを話すこと、一緒にテレビを見ること、朝起きて隣に誰かがいること、何もかも楽しくて、嬉しかった。



都会に一人で出てきて、寂しかったのかもしれない。



彼は、ずっと一人暮らしで、やっぱり寂しかったのかもしれない。



二人でいれば、寂しくなかった。



一緒にいれば、何も怖いものなんて無かった。



幸せだった。毎日が。




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