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恋愛中毒  作者: みかち
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好きだったのは本当のこと

中毒という言葉は、私にぴったりだ。


昔から私の横には必ず誰か男の人がいた。


年下でも、同い年でも、年上でも。誰でもいいわけじゃなかったし、きちんと好きだった。




年下の彼。


4つ違いの男の子。私が高校3年生の時だった。


その子は、バンドをやっていて、出会ったのはライブハウスだった。


本名も、住んでいる所がどこなのかも、学校がどこなのかも知らなかった。


そんなことは、あまり関係が無かった。




「可愛い顔をしているなぁ」第一印象は、そんな感じだった。


どんなタイミングか忘れてしまったが、連絡先を交換した。


そして、連絡を取るうちに、いつのまにか告白された。


その時私は、「いい物件だ」と言ったのを覚えている。





彼のバンドはビジュアル系で、その当時、なかなか有名だった。


ギターを弾いていた。紫の。キラーというメーカーのものだった。


彼のうちに何回も行った。母親しかいなくて、いつも母親は留守だった。


その子とベットで抱き合い、音楽の話ばかりした。


その子は私のことが好きだと言った。私も好きだった。




バンドの仕事で、忙しく、夜も寝ないし、ご飯もあまり食べていないみたいだった。


体は私より細く、色が白く、髪も胸くらいまであった。


いろんな色に髪を染めて、いろんなところにピアスをあけていた。


背が低く、腕を組むのはいつも私がポケットに手を入れ、その子が腕を絡ませた。


とても可愛い恋愛だったのだ。





帰り、暗くなるといつも駅まで送ってくれた。


私にはその時その子が必要になっていた。


どうしても会いたいと、年上なのにだだをこね、雪が降りしきる中駅で待ったこともある。


その子は結局来てくれず、泣きながら帰ったこともあった。





その子には、私よりも大切な女の子がいた。


学校でも、ライブハウスでもいつも一緒にいた。


目がくりくりしていて、髪の毛はさらさらで、私なんかよりずっとお似合いに見えた。


私は大人ぶって、余裕ぶって、その女の子の存在を認めていた。


ライブで倒れてしまった時も、病院に一緒に行ったのは、その女の子だった。


病院から出て、家に帰ってからその子は私にメールでそのことを伝えた。


私は、その女の子に最初から勝ち目なんか無かったのだ。




その子は、それでも私のことを好きだと言い、私も好きだった。





私の元彼にその子は異常に反応した。


元彼もバンドをやっている人で、ライブハウスなどでたまに遭遇した。


クリスマスだったか、誕生日だったかに元彼にもらったキャンドルがあった。


その子は「家に持って来い」と言い、私は未練など無かったので、持って行った。




その子は、ビールで酔っ払い、私と抱き合った。


私がシャワーを浴びて部屋に戻ってくると、その子は、キャンドルを燃やしていた。


普通に火を付けるんじゃなくて、ジッポのオイルをまんべんなくたらし、ごうごうと燃やしていた。


それほどにも嫉妬していたのだろうか。




私は、「何してるの」と聞いた。


その子は、にこっと笑い、「燃やしてるの」とだけ言った。


結構怖い感じに笑ったので、私は、気の済むまでやらせてあげた。






その数日後にその子から別れを告げられた。



元彼のことを忘れてないから付き合えない。



意味がわからなかった。


私の中にはその時すでに、その子しかいなかったし、元彼なんかには会ってもいなかったからだ。






結局、私は東京の専門学校に行き、その子とは離れ離れになってしまった。


別れてからも、毎日電話が鳴り、メールが届いた。


その子は、まだ好きだとも言った。





私は、ずーっと彼氏がいない時期が無かったので、東京の学校で、新しい男の子と知り合った。





その子は今、何をしているんだろう。元気にしているだろうか。



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