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六人目の勇者  作者: 餅々よもぎもち
1/1

前の勇者が能力に呑み込まれたって聞いたから二人目かと思っていたが、六人目だった話。

目が覚めると真っ白な部屋に居た。

ここは何処なのか、はたまた夢なのか。

夢だと思った理由は自分の最後の記憶のせいだと思う。

自分の最後の記憶は普通に家で寝たってだけだった。

頬をつねってみる。

「痛い…」

夢では…無い。

そんな事を考えていると今まで何故気付かなかったのか不思議なほどの存在感を放つ者が居た。

異様な存在感

見た目は…正直分からない…

男なのか女なのかもハッキリとしない。

とにかく分からない。

「ようやく気付いた?

 自分の世界に入り込み過ぎじゃない?」

口を開いた

何あれこっわ…のっぺらぼうみたいなのから口だけ生えてきたわ…こっわ…

「え?何?無視ですか〜?喋ってるんですけど。

 せめて会話をしてくれない?」

「え…あっ…」

結構ラフに喋ってくる目の前の存在に対し、返す言葉も見つからない。と言うか見つけられない。

「何だよ〜大丈夫?コミュニケーション苦手な方?

 まぁ良いや!自己紹介からしていこうか。」

「あっ…はい」

別にコミュニケーションは苦手ではない

目の前の異質な存在と何を喋って良いのか、何を言えば良いのか、とにかく分からないだけだ。

コミュニケーションが苦手な訳では無い

決して…

「おうおう!ようやく会話が繋がったよ!

 簡単に説明すると私は神様だ!」

「か…神様…?」

「そう!神様!

 これから君に行ってもらう所に生えてる由緒正しき神  樹様だよ」

「神樹…行ってもらう所…

 行ってもらう所…?」

「そそ!君に行ってもらう所!異世界!

 どうかな?最近そっちの世界で流行っているのだろう?

 異世界転生や異世界転移とか!」

「異世界…」

胡散臭い…とは思う…なんか流れに流されてる感じがする。

いつもの自分だったらこんな話真面目に聞かないだろう。

てか、帰りたい。あっちには家族も友達もなんなら好きな人も居る。

普通に帰りたい。

「少し聞かせてくれ…」

「あぁ良いよ!何でも聞いてくれたまえ!」

そこからは自分の現状、断った場合どうなるか、自分の世界に帰る事は出来るのか、何故自分なのか、異世界はどういう所なのかを聞いた。

Q.自分の現状

「君は死んだみたいだね〜!理由はそちらの世界の出来事だから分からないかな〜」

Q.断った場合はどうなるか

「君は死んでるからね〜!単純に死ぬだけだよ〜」

Q.自分の世界に帰る事は出来るのか

「まぁ今は死んでるけど、あっちの世界に転生してくれるなら、私の力で生き返らせてあげるよ!神樹の生命エネルギーでね!」

Q.何故自分なのか

「ん〜!適当!」

Q.異世界はどういう所なのか

「簡単に説明すると、魔王が急に現れて!戦争中!」

さっきから思っていたが、この自称神様適当だな…

「そんな世界に行って一般人の僕が何か出来ると思えないんだけど…何をさせる気なんだ?」

「おっ!行ってくれる気になった〜?

 何をさせるかって言うとね、勿論!魔王討伐!勇者になってもらうって事よ〜!!」

何を馬鹿なことを…

「一般人だって言ったよな…?そんな事が出来るとでも?」

「だから!君を勇者にするのさ!これから君に良くあるチート能力の素をあげるのさ!」

「チート能力の素?」

チート能力の素なんかじゃなくチート能力をパッと渡せパッと。

「そう!これまでもチート能力を勇者に渡してきたんだけどね〜私の世界の住人だと力に呑み込まれちゃうみたいでね」

能力に呑み込まれる…?

「魔王側に寝返っちゃったのさ」

寝返った…?

「じゃあ魔王だけでなくチート能力持ち元勇者も倒さなきゃいけないのか…」

「そう言う事だね!そんな事をしてもらうのに、呑み込まれない程の弱々能力じゃ負けちゃうし、強い能力だと呑み込まれてしまう。

それに呑み込まれる条件が現地人だからって可能性もあるから、異世界人である君に渡したかった。」

「能力…は?」

「時に関する能力」

イマイチ…分からない…時間停止とかそう言うのか?

「ご想像の通り!極めれば時間停止とか出来ちゃう物さ!」

それは強い

「まぁそれの素を渡す訳だから最初は弱いけどね〜

 能力と共に育っていけば呑み込まれる事もないだろうから安心して!」

「で…行ってくれる感じかな〜?」

「最後に確認するが、魔王討伐さえすれば元の世界に帰してくれるんだよな?」

これだけは確定させなきゃいけない。

ただでさえもう帰りたいのに、頑張って頑張って、帰せないでは報われない。

「帰す帰す!!魔王討伐をしてくれたら、何でも願いを叶えてあげよう。

 なんたって私は神様だからね!!」

正直胡散臭い…胡散臭いとは思うが、元の世界で僕は何故か死んでるみたいだし、帰るにはこれしかないみたいだし…

いつもならこんなありえない話信じない

神様とか異世界とかバカバカしい…

だが困ってるみたいだし、この神様、胡散臭いは胡散臭いけど、何故か信じてみたくなってしまう。

「よし!行ってやる!僕が魔王討伐してやる!」

「その言葉を待っていた!さぁさぁ時の勇者よ!

君がこれから進む旅路に我が加護を!どんな困難にも立ち向かい、いつか魔王討伐を!我はいつでも見守っているぞ!!」

時の勇者って…んな大層な…

風が吹く…光が眩しい…目が…目がァァァァァっ!!!


そうして…僕は異世界へと旅立った。

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