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ガールズ?トーク

「という訳で少しだけここに居させてください」


 と言いつつ上がり込んだのは地獄絵図の服飾部。の、一番奥にあるマーガレットさんの作業スペース。今日は裁縫箱だけでは無く、裁ち鋏まで飛んでいる。……ハサミは投げちゃダメな物ですよ!?


「ガールズトークということは、私をガールに含めてくれるって事? 嬉しいけど、これでもアルマン様と同い年なのよ? ガールと言っていいのか怪しいんだけど」


 年齢どころか性別も怪しい。でも今はそんな事はどうでもいい。


「いいんです。心が女性ならお婆ちゃんだってガールなの。いくら年を食っても女の子は女の子なんだから」

「あら嬉しい。で、戻ってきて早速喧嘩?」


 机の上でドレスのパターンを引きながら、それでも話はしっかり聞いてくれている。生まれの性別は男性なのかもしれないが、やはりお姉さんと接しているような気にしかならない。


「喧嘩じゃなくて、私が逃げちゃっただけ。せっかくマーガレットさんやアルマン様がシャロン伯爵邸から出してくれたのにこんな事しちゃダメだって分かってはいるんだけど……どうしても怖くて。好きだって自覚してしまった分、横顔にしか価値がないと言われるのが恐ろしいの。コレクションとしてそばにいられるだけでいいと思って帰ってきたのに、人間の欲求って無限なのね……」


 自分で口に出しながらもしょんぼりしてしまう。人間、欲求が無限に広がっていくからこそ変態になってしまうのだろうか? 私もいつか変態になってしまったらどうしよう。……いや、ここからどう捻ったら変態になるのかは分からないのだけれども。


「伯爵邸で会った時『靴墨のような黒が好きっ』て、ジゼル様上手く言ったなと思ったのよ。本当にアルマン様の事好きになったんだと良く分かった。……好きな人から拒絶されるかも知れないと思うと怖くなるのは当然よ。そして、それに関してはちゃんと謝ってないアルマン様が10割悪い!」


 よく思い出せば一応軽くは謝られた。しかし、直ぐに言い訳しようとしていたのが気に食わない。


「イケメンのアルマン様には、こんな普通な容姿で平民の私なんて似合わないの。もっと綺麗な大人の女性がお似合いなのはわかっているのに……そんな身分もしっかりした女性が正妻で来るまでの繋ぎなんだと思ったら、こんな綺麗なウエディングドレスを急いで作って貰っているのすら申し訳ないし、悲しくて」


 先程知ったのだが、私がいない間にアルマン様がウエディングドレスのデザインも決めてしまったらしい。日程の関係で私を待っている時間がなかったのだとマーガレットさんや服飾部の人々に謝られたが、私としては当初シンプルなドレスを希望していたくらいなので、完全にお任せで構わない。初めは結婚式は三ヶ月後という話だったらしいのだが、アルマン様が無茶を言い出会ってから一ヶ月後に式を挙げる爆速スピード婚になるという。残りはたった三週間。今度は服飾部の人々が過労死しないか心配だ。


「そうなのね……ん? ちょっと待った! ジゼル様、それアルマン様に言われたの!?」


 パターンを引いていたマーガレットさんが慌てた様子でペンを放り投げ、私の両肩を掴む。


「それって?」

「もっと大人の女性が似合うやら、正妻が来るやらの部分!!」

「言われた訳では無いけど……他の女性とキスしていたし。平民の私はコレクション用で、男爵家を残していく用に貴族の女性が後から来るのでしょ?」


 アルマン様に肯定されるよりはマーガレットさんから聞く方がショックが少ないだろう。きっと旧知の仲の彼女なら、そんな事も知っているだろうから……さっさと聞いてこんな恋、諦めてしまわなければ。


 しかし呆然として何も返事をしてくれないので首を傾げる。私、そんな変な事を言っただろうか?


「……あのねぇ。アルマン様は確かに勘違いされるような行為もした。でも、それは商会を大きくするために己の顔を利用してきただけであって、恋からの行動じゃない。ジゼル様を見つけてから速攻でその関係を全て清算し、ジゼル様を取り戻すためなら爵位を手に入れてからは徐々に手を引いてきた暗い界隈に……再び足を踏み入れさせる程、あの男の気持ちを鷲掴みにしているのは、貴女だけなのよ」


「……嘘」

「嘘じゃない」


 突然この場にいないはずのアルマン様の声が響く。いつの間に入ってきたのかと思ってドアの方を慌てて見るが、居ない。色んな危険物を投げながら仕事に励む服飾部社員しか目に入らない。

次回は甘いですよ!!


いつも読んでくださる皆様ありがとうございます(*´꒳`*)♡

閲覧数と評価を励みに、糖度高めハッピーエンドを目指し日々執筆頑張ります(๑˃̵ᴗ˂̵)♪

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