ジゼルそっくりの横顔なんて(2)
アルマン様目線回です(*´꒳`*)
その日の夕刻。ジゼルが住んでいた地区に手配された私兵から連絡が入った。やはり行く当てが無く元々住んでいた家に向かったのかと思ったが、報告内容は期待したものでは無かった。
屋敷まで届けられたのは濡れて汚れたドレスと靴。ジゼルのために商会で急拵えセミオーダー、納期一日で作らせた明るい色のドレス。万が一の事を考えて履かせておいた、お洒落さ重視で走り難いであろうヒールの靴。どちらも川の中から発見されたという。
「……ジゼル本体は?」
最悪の事態を想定してしまう。
「川の中と下流を捜索していますが、見つかっておりません」
冷静に考えれば、身を投げるのにドレスは脱ぐ訳がない。水を吸って重くなるドレスは自害する際役に立つ。それでも考えてしまった。悲しみから身を投げ、その結果冷たくなり動かなくなったジゼルの姿を。血の気が引くとは、まさにこの事だと思った。
「これは手を貸した者がいるかも知れませんね」
ポールの言う通りだ。身を投げた訳でないのなら、唯一換金できる可能性のあったドレスを捨てて一切金銭を持たぬジゼルに服を提供した者がいる。流石にどこかの家の中へ連れ込まれ閉じ込められてしまったら、探すのは骨が折れる。体で支払うと言えば見た目の良いジゼルなら困りはしないだろう。考えたくない話ではあるが。
「靴磨き職人としてのジゼル様を重宝していた顧客については、すでにリスト化し調べ始めております。ラピエース商会の従業員を通じても見つけ次第報告が上がってくるように指示してありますので……ひどい顔をしているアルマン様は少しお休みになっては?」
休めるわけがない。今この瞬間にジゼルがどのような目に遭っているかも分からないのに。
「ジゼル様は可愛い系に儚さを足したような顔の作りですが、性格はそこまで儚くないですよ。そこまで心配しなくとも、きっとどこかで生きています」
生きたまま連れ戻すのは当然だ。問題は、どれだけ無事で取り戻せるのか、の方だ。
「ポール、私は欲しい物の為なら手段は問わない。念のため人身売買関連の方も調べておけ。あと以前ジゼルに想いを寄せていた者と、ついでにマーガレットの周辺も」
「人身売買の方は近年手を引いていたので時間が掛かりますよ。マーガレット様の線は無いと思いますけど?」
「だから、ついでだ。可能性は全て潰しておきたい。夜の街の方も当たっておけ」
私から逃げ、自らそんな場所にいるのなら容赦はしないが。
「……畏まりました」
ここまで言えば、ポールなら徹底的に探し見つけ出すだろう。私はそれまでの間、普段はポールが手伝ってくれている通常のラピエース商会オーナーとしての仕事を滞りなく進めなければならない。
勿論普段なら問題なく進めれる量しかないのだが、気落ちした体に鞭打って……書類に手を付け始めるまでには、かなり時間を費やしてしまった。
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