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新生天使は救えない  作者: yosu
第三章 救いたいもの
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71:空は今日も青い。



 晴れやかな、しかし派手過ぎない衣をまとった狐たちが静かに歌い、踊る。

その艶やかさに人間は目を奪われ、例え魂を抜かれてしまったとしても気が付かないだろう。



 今日の肴は人の子か?まさか、天使の目の前で。


 今宵は我らの晴れ姿を彼らに魅せるのみ。飲んで、踊るもそれは生の証。

彼らには我らの『歌』を刻ませてもらおう。



 狸たちのものに比べればずいぶん静かな、しかし、心を掴んで離さない祭りが始まる。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「ほらほら、ネシアー。ちゃんと楽しんでるー?」



 テンシがぼんやりと狐たちの姿を見ていると、調子の良さそうなお福に話しかけられた。

 彼女は酒瓶片手にふらふらと歩いているらしい。


「あーうん。楽しんでるよ」

「ほんとぉかなー?顔が暗いぞー」


 お福はうりうりと、テンシの頬をつつく。テンシは困り顔でそれを受け入れた。


「アマリアはあんなに楽しんでるのにー」


 お福の視線の先には、狐たちに混じって歌っているエイメルの姿があった。


「うん、あの適応力の高さは僕も見習いたいね………」

「ネシアとアマリアって、結構な仲良しさんだよねー」

「まぁ、そうかも」


 テンシがエイメルを遠い目で見ていると、お福が先ほどよりも小さな声で話し出した。


「付き合いはどれくらいになるのー?」

「えーと…………一週間くらい、かな?」

「えぇー?もっと長いのかと思ったよー」


 テンシの言葉に目を丸くするお福。しかし、テンシ自身も、エイメルとの付き合いの短さに驚いていた。


 まるで長い間、同じ道のりを共にしたような気がしていたのだ。



「なんか、想像以上に相性良いみたい」

「ん-、そうらしいねぇー」


 テンシとお福、二人揃って首を傾げる。


 温かな歌声が静かな村の中で響いていた。




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 暗く、冷たい森の中。

 温かな音が流れ込んでくる。


「ふぅ」


 ため息だろうか。

 自分でもよく分からなかった。



 空は青い。恐らく明日も。


 今日も何も見つからなかった。しかし、そこにあることは理解している。

 いつか、必ず見つけられるだろう。






「こちら、A10。報告を始めるよ」





こんばんは。お越しいただきありがとうございます。

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次回の投稿日は未定です。

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