63:傲慢な選択
デレーティという国は代々王族と呼ばれる特定の人種が国を治めている。その特定の人種というのは、この大陸にある三つの国―――デレーティ、スティービル、アライエア―――を作り上げた開祖である三名の中の一人、イショーマンの子孫のことだ。
スティービルの開祖タラプトは、そのような古臭く国民の重荷にしかならないような政策を笑い、その時代を生き抜くに相応しい王を国民が決めるという方式を取った。
アライエアの開祖ベアーストはそんなスティービルの在り方を見て、それでも足りないと言い、国に関わる全てのことを国民全てで決めるという方式を取った。
その結果、デレーティという国は王が調子に乗って無駄な政策を取るようになったり、スティービルは一人の人間に力が集まりすぎたり、アライエアはあらゆることを国民全てで決めるから緊急時の対応が遅くなったりと様々な不都合が起きた。
とはいえ、このような―――病気が広まり、国が弱っているところへ元気になった魔物が襲ってくるような―――非常事態にはスティービルという国はとても強いだろう。
そもそも病気を撒いた張本人がその国にいるとはいえ、スティービルは防衛のための政策をすぐに出せるし、国民もその政策が自分たちの国を守るのに必要なことだと信頼できるから行動が早い。
それに比べてデレーティは、あんまりにも王への信頼がない。魔物が襲ってくるから防衛戦力を集める、と言ったとしても誰もその言葉を素直に信じられないだろう。普段まともに政治をしていないから、緊急時も自分だけ生き残ろうとしているのではないかと疑われてしまうのだ。
――――――だから彼は死ぬ必要がある。
暗殺者によって旧世代の王は排除され、新たな時代を支えるに相応しい金色の王子が、デレーティを治める王となる。
それが、このデレーティに住む国民が生き残るための最善の策であると言えるだろう。
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