if 陥れた者の末路
痛い
私が何をしたというのだろう。
痛い、痛い
ダラダラと血が流れ続ける。
痛い、痛い、痛い、痛い
「うわあぁぁぁぁ!」
タックが魔物に襲われている。カバイは先ほど魔物に襲われて、今はもうピクリとも動かない。
突然村を襲った大量の魔物たち。彼らは村に侵入すると、見境無く人間を襲った。
何とか村の外へ出てきた私たちだったが、多少魔物の勢いが弱まるくらいで、根本的に襲われ続けるということは何も変わらなかった。
そろそろタックは動かなくなるだろう。逃げなければ次は私の番だ。
「がっ、ぁぁああああああ!」
後ろで悲鳴が聞こえるが振り返らずに進む。
目に入る魔物の足を凍らせて何とか通れる道を作る。
「た、助け」
助けて欲しいのは私だ。
流れ落ちる血を気にしながら、森を走り抜けた。
「なんでっ、そんなに追ってくるの!」
足を止めた魔物はしばらく動けない。
だけど新手の魔物が右から左から続々と現れる。
「くっ」
魔物の勢いを止めきれずに足に噛みつかれた。
「だから、邪魔だって言ってんのよ!」
魔物の頭部を凍らせて殴り飛ばした。
足は冷たいし傷は治らないどころか余計広がる。
私が一体何をしたというのか。
「何したんだろうね?」
気の抜けた声が聞こえた。
この場には全く相応しくない、どこまでもやる気のなさそうな声だ。
そちらを向くと、いかにも村人といったボロい服を纏った金髪の美青年がいた。
「ちょっ、見てないで助けてよ!」
「何から?」
あれには私の言葉の意味が分からないらしい。何ってそんなものは決まってる。今私に襲い掛かってきている魔物のことだ。
魔物はその青年には構わずただこちらだけを襲ってくる。
「っ、何で?!」
「さぁ、何でだろうね?多分君の生き方に問題でもあったんじゃないかな」
あれは一体何の話をしているのか。そんなことはどうでもいい。
「づっ」
抑えられない。魔物が私を押し倒す。
「く、あ、ああああああ!がっ、うぐっ」
押し倒れされた私に魔物の牙が喰らい付く。
「ありゃりゃ、思ったより保たなかったね。君の能力ならそこそこ保つと思ってたんだけど」
「どう?助けて欲しい?……あ、今喋れないよね。しょうがないなぁ」
「ま、助けるって言っても今の君の性根は腐ってるみたいだし、記憶とかは消しておこうかなー」
「新生シーラちゃんとして、貴殿の今後のご活躍をお祈りしておりますよー」
ペラペラと、喋り続ける声が、私の聞いた最後の音だった。
……どうでしょう?