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新生天使は救えない  作者: yosu
第一章 終わりの村
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if 陥れた者の末路


   痛い


 私が何をしたというのだろう。


   痛い、痛い


 ダラダラと血が流れ続ける。


   痛い、痛い、痛い、痛い



「うわあぁぁぁぁ!」


 タックが魔物に襲われている。カバイは先ほど魔物に襲われて、今はもうピクリとも動かない。


 突然村を襲った大量の魔物たち。彼らは村に侵入すると、見境無く人間を襲った。

 何とか村の外へ出てきた私たちだったが、多少魔物の勢いが弱まるくらいで、根本的に襲われ続けるということは何も変わらなかった。


 そろそろタックは動かなくなるだろう。逃げなければ次は私の番だ。


「がっ、ぁぁああああああ!」


 後ろで悲鳴が聞こえるが振り返らずに進む。

 目に入る魔物の足を凍らせて何とか通れる道を作る。


「た、助け」


 助けて欲しいのは私だ。

 流れ落ちる血を気にしながら、森を走り抜けた。



「なんでっ、そんなに追ってくるの!」


 足を止めた魔物はしばらく動けない。

 だけど新手の魔物が右から左から続々と現れる。


「くっ」


 魔物の勢いを止めきれずに足に噛みつかれた。


「だから、邪魔だって言ってんのよ!」


 魔物の頭部を凍らせて殴り飛ばした。

 足は冷たいし傷は治らないどころか余計広がる。


 私が一体何をしたというのか。


「何したんだろうね?」


 気の抜けた声が聞こえた。

 この場には全く相応しくない、どこまでもやる気のなさそうな声だ。


 そちらを向くと、いかにも村人といったボロい服を纏った金髪の美青年がいた。


「ちょっ、見てないで助けてよ!」

「何から?」


 あれには私の言葉の意味が分からないらしい。何ってそんなものは決まってる。今私に襲い掛かってきている魔物のことだ。

 魔物はその青年には構わずただこちらだけを襲ってくる。


「っ、何で?!」

「さぁ、何でだろうね?多分君の生き方に問題でもあったんじゃないかな」


 あれは一体何の話をしているのか。そんなことはどうでもいい。


「づっ」


 抑えられない。魔物が私を押し倒す。


「く、あ、ああああああ!がっ、うぐっ」


 押し倒れされた私に魔物の牙が喰らい付く。


「ありゃりゃ、思ったより保たなかったね。君の能力ならそこそこ保つと思ってたんだけど」


「どう?助けて欲しい?……あ、今喋れないよね。しょうがないなぁ」


「ま、助けるって言っても今の君の性根は腐ってるみたいだし、記憶とかは消しておこうかなー」


「新生シーラちゃんとして、貴殿の今後のご活躍をお祈りしておりますよー」


 ペラペラと、喋り続ける声が、私の聞いた最後の音だった。

……どうでしょう?

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