6話〜異世界で初めて朝を迎えてみた!〜
少し遠い所で〈ジュー〉と音がする。
そしてそれはいい匂いを周りにまき散らし、ついでに〈ぐぅ〜〉と誰かのお腹の音を鳴らさせた。
「おい、朝食だ。さっさと起きろ」
私のお父さんか誰かが私を起こそうとしていた。
「うぇ〜、まだ眠い...」
「仕事中に何を呑気なことを言ってんだ?」
“仕事......ん?”
仕事、それは私に残された唯一の居場所。
「はっ!」
全ての今の現状を思い出した私は飛び起きた。
「お、おはようございます」
「ああ、おはよう」
起きて早々ベットの上で正座をして朝の挨拶をした私にオスカーは平然と挨拶を返した。
「早く朝食を食べてくれ。仕事をしに行くぞ」
「え、どこに行くんですか?」
「すぐそこに行くだけだ」
彼はそれ以外に詳細を喋らなかった。
ーーー数分後
「すいません、遅れました」
急いで支度をしたため髪の毛を直しながら宿の前の石道を踏んだ。
「じゃあ、いくぞ」
無心で歩き始めた彼に私はついていった。
この街に着いたのは昨日の夜だった為しっかりとは見えていなかった街景色を私は目的地に到着するまでずっと眺めていた。
この世界にも屋台がいくつもあり一つの大きな市場と化していた。
そして私のいた世界となんら変わらなく、野菜や果物、肉や魚を売っていた。
私はまるで一つの繋がった世界の様に思えた。
「隊長...」
「ん?なんだ」
「私達とここの人達とは何が違うんですか?」
私がこの世界で始めて人と会った時から思っていた質問だった。
でも彼は足を止め、私に困惑の目を向けた。
「...それは、任務が終わって俺達の世界に帰ってきたら教えてやる。だから、今は今の事だけ考えろ」
その後彼は思い詰めた表情で歩いていた。
こんにちは深沼バルキです。
いつの間にか元に戻っている主人公に気付いたでしょうか。
唐突過ぎたでしょうか。自分でもここの調整はとても難しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。