3話〜多重人格者になったった!〜
「おい!刃矢!聞いてんのか!」
オスカーは私の頬を軽く叩いたりしていたが、私はずっと放心状態だった。
「前線に女の子とは王様も余裕が無くなってきたのかな」
「はははは...」とオスカーと近づいてきた兵士は軽く笑った。
早足で去っていくその兵士を見送るとオスカーは背中に背負っていた私を近くの木の根元におろした。
「おい、いい加減にしろよ。やってるこっちが恥ずかしい...」
オスカーは本当に恥ずかしそうにしていた。
「お前が殺すことにどんなトラウマを持っているかは知らねぇが、この世界ではそんなちっぽけなものなんて忘れちまえ!」
そう言い終えると私の隣に腰を下ろし「俺は何言ってんだか」と呟いた。
すると私数十分間開かなかった口を開いた。
「ど...う...やっ..て?」
彼は久々に喋り出した私に驚いていたが、彼はすぐに話を戻した。
「この世界を仮想空間にでも思って、ゲームをしているように、この世界だったらRPGゲームのように楽しめばいい。少なくとも、青葉や神内はそう思いながらやっている...と思うが」
「じゃ...あ。あなたとカルダ...は、違う...の?」
「そ、それは...」
彼らにも隠さなければならない秘密があるのだとここで初めて知った。
どんな秘密なのか、催促する気は全くなかったがいつかその日が来たら教えてくれるのだろうと思った。
「そうですか...」
私は今更気づいた。
逃げるという選択肢も、生きている価値も無いって事に。
私は仕事だからと自分に言い聞かせながら再び立ち上がった。
「そ、そうですよね。これ仕事ですもんね」
自分の感情を押し殺すのはいつぶりだろうか、という考えさえも私は殺していた。
「ちげぇよ、俺が言ったのはただ気持ちを楽にしろってだけだ!仕事だからとかじゃねぇ!」
「分かってます。新しい人格をゲームのように作り出し、自分に植えつければいいんですよね...隊長」
「まて!そんなことは隊長であるこの俺がゆるさねぇ」
オスカーの声が聞こえないほど、私はもう壊れていた。
いや、もうすでにあの日から壊れていたのかもしれない。
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私がまた目を開くと目の前にはオスカー隊長が立っていた。
「よう、オスカー隊長さん!これからよろしく!」
そして私はもう一人の自分を作りだした。
こんにちは深沼バルキです。
この一章のこの回は特に展開が早かったでしょうか。そのせいでごり押し感が出てしまいました。
だんだんと質が悪くなっているのが書いている自分でもわかってしまうくらいです。寝不足だからでしょうか。
まぁなんにしろこれからも出来るだけ質を高めていきたいと思っています。
ここまで読んでくださりありがとうございます。