12話〜王城に入ってみた!〜
私達は手錠を外してもらうと客間で王様を待っていた。
もちろん部屋には先程王様の近くにいた近衛兵がいた。
すると待ち時間が長かったためかオスカーはその近衛兵に話しかけた。
「なあ、この国は建国何年目だ?そしてこの戦争はいつから始まった?」
近衛兵は突然話かけられたことに驚いていた。
私もびっくりだったけど。
「わ、我がバードリー王国は今年で建国八十年の節目を迎えた。戦争は十ヶ月前に開戦した」
十ヶ月しか経ってないのにこの国はこんなに追い込まれているの?
領地もかなり奪われたって街の人が言ってたし、この十ヶ月で何が。
オスカーは近衛兵に軽く礼だけ言った。
そうしている間に王様が部屋に入ってきた。
王様は私達と机をまたいだ反対側のソファに座った。
その時王様が持っていた杖が置かれたと同時に話が始まった。
「君の話を改めて詳しく聞くけどいいかね?オスカー君」
「ああ、もちろんだ。俺の作戦、計画、対策全て話すよ...」
と、スムーズに話が進んでいたのに私だけ部屋から追い出された。
しかもただ追い出したわけではなく「お前、話についていけなそうだから出てろ」と馬鹿にしてきたのだ。
「べーだっ!」
部屋にいるオスカーに向かって舌を出して威嚇してみた。
結果は御察しの通り無反応。
いきなり暇になってしまったので、この大きな城を見てまわろうと歩き出したが、思った以上に城内は広かった。
いくつものドアがあり、お手洗いさえも見つからなそうだった。
「お腹空いたなぁ〜」
とは言ってみたもののやはり誰も来なかった。
よくよく考えるとメイドさんや執事が見当たらなかった。
異常なその静かさに私は違和感を覚えた。
いや、そんなことより今はお腹を満たしたい気持ちの方が強かった。
私、こんなにお腹空いてたんだ。
ある部屋にはさっきとは違う客間。
その隣は多分誰かの仕事部屋らしき部屋。
そのまた隣は誰かが寝ていたと思われる部屋と、なかなか私のお腹を満たしてくれる物は見つからなかった。
すると、多くのドアと向き合うように配置されたドアが一つだけあった。
そのドアは真ん中がモザイクガラスになっていて色々な色が光として廊下を照らしていた。
「なんだろう」
ドアノブを握り、静かに開いた。
それは、その一瞬で私の視界をいっぱいにし、包み込んだ。
「......お花だ...」
花の匂いが私の中をいっぱいにした。
こんにちは深沼バルキです。
今回は主人公達の足元作りです。
こんな感じなのがもうちょっと続くかもです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。