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08 森の戦い




「―――せいッ」



 僕らの冒険は、そんなかけ声から始まっていた。


 流れる森の景色。

 僕がひと息に飛ぶたびに、大きく景色が後ろに流れていった。呼吸がはずみ、息も上がる。その振り絞った全身の力を〝剣〟に預け、思いっきりに地面から水平斬りにする。


 ――僕らは現在、〝魔物〟と戦っていた。


 出現した魔物は〝リトル・ピッグ〟―――《始まりの平原》から《魔物の森》、そしてこの冒険エリアである《王家の森庭》まで、幅広く分布している。推奨レベルは、〝2〟―――。


 僕はまず一太刀を浴びせて、回転しながら地面を蹴った。


 攻撃のためではない。猛スピードで魔物に一撃を受けた後の体は、〝勢いを逃がす〟ことをしないと着地すらまともにできないのだ。最悪、転倒である。だから、二段階着地だ。僕はここ数ヶ月の地獄のような修行漬けで、その微細な感覚をも〝コントロール〟できるようになっていた。


 足裏に神経を集中させ、―――〝トッ〟と着地する。


 岩場を選んだ。地面にむき出しになった硬質な岩肌を使って、そのバネのような飛翔と、着地に〝弾み〟をもたせた。


魔物〝リトル・ピッグ〟へは―――期待通り、猛烈な一撃を浴びせることが出来た。



「ブヒイイイイイイイイイ――――ッッッ!!」


「よしっ、ミスズ。トドメだ!」



 剣を握った拳に、力を込める。

 〝レベル1〟―――低いステータス値から繰り出される、微弱な〝聖剣強化の光〟が、僕の剣に渦巻いた。よくよく注意して見なければ、気づかないような、わずかな光の風。


 ぐんっ、と。剣を握る手が軽くなって、僕は魔物〝リトル・ピッグ〟に突撃する。


 魔物は必死に抵抗して逃げようとしたが、無駄だ。僕は追撃用の〝すくい上げ〟の構えをとって突撃した。剣先と魔物がすれ違う、その寸前に剣を上に振り上げた。魔物が宙を舞い、その小さな体が地面に倒れる。



「…………っ、ふーっ。これで、討伐数は……〝3〟」


「じゅ、順調なのでしょうか……? ミスズには、よく分かりません……」


「順調とは、言いがたいね」



 ――お世辞にも、これは順調ではない。


 僕は小さく息をついた。

 最初の出発地点―――《王家の森庭》の入口から出発して、かなりの時間が経過していた。二の刻くらいだろうか。すでに僕の冒険者装備の革の鎧には、ところどころ、魔物の血痕が付着して、戦闘の色が濃くなっている。


 しかし、それにしたって〝3匹〟だ。


 やはり、低レベル冒険者が〝百討伐〟のような多くの魔物を倒して行くには、時間が限られていた。昇格試験の日数は、丸三日―――しかし、魔物百匹なんて、僕とミスズが一ヶ月もの間〝剣島都市サルヴァス〟にこもりっきりで冒険を続けていたとしても、厳しい数字だった。一日で、2匹も行かないのである。



 ―――じゃあ、僕らの狙いはなんなのか?


 それは、これから向かうある場所を目指すことだ。


 《剣島都市サルヴァス》を出る前に、ガフと相談して計画したこと。それを実行していくしかない。


 ……ただ、その前に僕はやりたいことがあった。

 どうせ目指すべき目的地があるのだから、その道中で魔物と戦っておきたい。―――うまくすれば、〝遭遇率エンカウント〟も高いかもしれないし、それに、魔物との戦いで手応えを確かめておきたかった。


 今のところ、戦って遭遇する敵は〝リトル・ピッグ〟が多い。小型の雑食獣だ。―――しかし、これが格上の〝ウォー・ゴブリン〟などの推奨レベルの高い魔物が出たら、話が別だ。きっと苦戦するはずだし―――最悪、先日の冒険のようにうまくいかず、倒されるかもしれない。もしものときは、逃げる覚悟すらあった。



(……逃げるための道具なら持ってきている。……《煙幕玉》とか。〝回復薬ポーション〟とか)



 ただ。


 なにも、最初からやられるつもりで戦う冒険者などいない。


 魔物と遭遇して戦う以上、僕らは勝つつもりだった。いや、勝ちたかった。

 ―――先日――。これでも、〝レベル〟が一瞬だけ伸びて、今よりもずっと格上の魔物である〝グリム・ベアー〟を討伐することができたのだ。アレが奇跡や、夢じゃなければ、もう一度僕らだってやれるはずなのである。


 だから、僕は先日《神樹図書館》にまで入り浸って、ずっと捜し物をしていた。《レベル》が上がらない謎――少しでも、僕らが有利に戦える条件――。


 しかし、その期待も虚しく、僕の調べ物は空回りばっかりだった。


 ……今の、魔物との戦いでも、『あるいは』が起きてほしかった。

 その可能性にすがっていた。


 だが、これで討伐〝3匹目〟―――。〝リトル・ピッグ〟と何度戦っても、起こるのはレベルアップではなかった。僕が、個人的な技量で、やっとで魔物を倒している。


 ……これで、この先どうなるのだ。


 やや不安に思わないでもない、が。ともかく、先を急ぐしかない。




 と、


『―――キビッ! キビーーーッ!』


「……う、うう。は、離れてよっ!」



 ぶるぶる。と。

 なにか。僕らが通りかかった森の木陰の向こうで、棒きれで〝スライム〟を追い払う冒険者を見かけた。

 その小さな女の子は、森の切り株の上にいた。数匹のスライム―――(きっと、この試験を受けている冒険者なら、よだれを垂らして殺到するような〝ボーナス〟たち)――それに囲まれ、追い詰められるように上っていた。



 …………って、え。おい、〝スライム〟……?



(なんだ……?)


 僕は目を丸くする。


 …………あんな棒きれで、魔物が防ぎきれるわけないのに。


 聖剣使いではないのか。

 〝剣〟を、強化して戦う冒険者じゃないのか。


 僕はその女の子を注視した。

 〝Fランク〟の格下の冒険者たちが集まる《王家の森庭》にしては、ずいぶん場違いな冒険服を着ていた。まるで、外の世界の貴族のお姫様みたいな……。顔立ちは美しく、クセがかった長い桃色の髪がふわりと輪郭を包んでいる。


 なぜ、こんな森に迷い込んでいるのか。なぜ、あんな切り株の上にいるのか。謎な少女だった。手には、妙にくすみがかった、赤黒い『本』を握っている。童話書か……?



 対して、スライムはお祭り騒ぎのように群れている。


 ……スライム……その生態系から、繁殖方法まで実は謎が多い生物である。妙な打たれ強さがあるため、その柔軟性から〝実は、衝撃で分裂するのでは?〟という学説まで王国世界で囁かれるような魔物であった。


 ぷるぷるとした体は半ば〝ゼリー状〟である。僕もミスズと一緒に戦ってから、ずっとこの森でスライムの姿を探し求めた。〝討伐数〟――冒険者プレートにかき込まれたその数を、更新するためだ。自動で〝聖剣の働き〟に反応して、それは更新される。


 だが、実際にスライムを見た冒険者は森でも少ない。もしかしたら、冒険者に怯えて姿を隠してしまったのかもしれない。しかし、そんな魔物が―――。



『―――キビッ! キビーーーッ!』


「う、うう。あっちに行ってよ!」


『―――キビーーーッ!』


「……な、なんてしつこいの。いいの? 私、本気を見せちゃうわよ? 精霊を呼んで、『結合シンクロ』してあなたたちを一掃してあげてもいいんだから……! いいの? 私が見逃すのは今のうちよ? 今のうちだけなんだから」


『―――キビッ!』


「ひいっ! ほ、本気よ? 本気なんだからッ!」


『―――キビッ?』


「う、うう……うわあああん。なんで向こうに行ってって言ってるのに通じないの! 私は今戦いたくないんだからぁ!」



「―――、……。あのー」


 僕は見かねて、おそるおそる手を上げた。


 泣き出している――ように、見えるのだが。きっと気のせいだよな。その子は魔物の巣くう森に取り残されるようにして、枝を振り回している。


 というか、精霊がどうのこうの言っていたから。この子も、《冒険者》……なん、だよな?



「……! う、あう。お、男の人……!?」


 その少女は、目を丸くしながらこちらを見ていた。


 背が低いからか。切り株のお立ち台(――避難場所)に乗っかって、周囲を見渡していたようだった。周囲を見ても、何が見つかるのか疑問だったが。ともかく、薄紅色の髪の子は、突然の僕の出現に驚いている。


「……なんか困っているみたいだけど。助けようか? ……冒険者が、他の冒険者に会った時って、どうするのが〝ルール〟か分からないけど。ともかく、困っているみたいだし。よかったら、僕らが魔物を何とかするけど」


「――う。そ、そうね。私だって他の冒険者に会ったときは分からないけど。困っている人を助けたいなら、助けられてあげなくもないわ!」


 ……。

 …………、ん?


 なんか、今変な会話の食い違いがなかったか?

 あまり詳しくは分からなかったが、何か『困っている側』と『助けるほう』がおかしかった気がする。普通、こういう場合は頼むなり、何かがあるはずだったが……。



「―――というか、助けてよっ! お願い、もう一の刻以上も身動きが出来ていないの!!」


「……まぁ、いいや。深くは考えないことにしよう。ミスズ、『結合シンクロ』だ」


「はいっ」


 後ろに立っていた精霊が、輝きを纏う。


 祈るように両手に力を込め、それから半透明に透けるように剣へと光の塵を送ってくる。優しい風が剣を包み込んだ。


 僕は、その剣の光を『一撃』に込めるように振りかぶり、それから―――


「……って、あれ」


『スライムさんたち、逃げていきますね……』



『キビー』『キビーー』と。

 その小さな魔物たちは、まるで大きな竜巻に吹かれたように、僕が何かをする前に吹っ飛ぶように草むらの中へと逃げていった。その姿は悲鳴を上げているようだ。…………どうやら、サルヴァスの〝聖剣〟の強さが分かっているらしく、本能的に散ってしまっていたのだ。


 僕は、後を追わなかった。

 そもそも、剣を大きく振りかぶるにしても、切り株の上で唖然とこちらを眺めている少女―――この子に当たるかもしれなかったし。

 他の冒険者に傷でもつけようものなら、〝獲物ほしさに、横取りするために他の冒険者を傷つけた〟なんて誹りを《剣島都市サルヴァス》側から受けるかもしれない。それだけは勘弁したかった。


 ……まぁ、助かったならいいか。と。


 僕はなんとなく思い、剣を鞘に収める。光が散り、ミスズが、『結合シンクロ』がとけて飛び出してきた。



「……ふう、助かったわ。あなたたち、冒険者なの?」


「ん。まぁね。これからある《中継地点》を目指して森を抜けようとしていたところなんだけど。たまたま戦っているのが見えたからね」


「そ、そうなんだ。……あの、さっきは」


 と。指を突き合わせて。


「…………さっきのこと、他の冒険者たちにはナイショにしててほしい……っていうか。う、うう。私、あんまり評判を落とすわけにはいかないの。だから内密に……というか。う、うんっ! とりあえずお礼よね!」


 その子は。

 何度も『実は、ぜんぜん、へっちゃらだったんだけど』と言うように切り株から〝ぴょん〟と地面に着地してから、両手を突き合わせながらこちらを見上げていた。堂々と、胸を張っている。


 なんだろ。この子……?


「初めまして。―――わたしの名前は、メメア。―――メメア・ガドラベールよ。サルヴァスの島の外……リューゲン王国からきた冒険者見習いなの。ランクは、〝Fランク〟」


「あ、どうも。僕はクレイト。クレイト・シュタイナー。ここよりも遠い、セルアニア王国の出身だ。隣にいるのは、精霊のミスズ」


「よ、よろしくです……」



 僕が挨拶し、ミスズは、隣でぺこっと頭を下げる。


 変な冒険者に出会ったな。

 僕はまじまじとその子を観察する。


 不思議な雰囲気…………僕やミスズにない、品格のようなものがあった。……きっと、外の王国での育ちがいいのだろう。

 この《剣島都市サルヴァス》に剣を学びにくる冒険者たちのうち、一部の〝上流の王国の出身〟がいるようだが。この子も、そんな雰囲気を受けた。ただし、そのわりにはやけに取っつきやすく、話しやすい、というか。


 僕らは一通り自己紹介の挨拶を済ませた。あとは『魔物が強い』とか、『空の天気はどうかな』なんていう、世間一般の会話。僕らは一通り《冒険者》としてのやり取りを追えると、ミスズと一緒に踵を返そうとした。


「―――さて、ミスズ。もうそろそろ、最初の森地帯を抜けることだろうし………あと少し、頑張ろうか」


「は、はいっ。分かりました」


 と、僕らが緑の森を踏みしめて、歩みを進めていると、



「……ちょ、ちょっと待ちなさい―――!」


 女の子が。

 そんな僕らの前の道に先回りしてきて、小さな両手をめいっぱいに横に広げて塞いでしまった。


「………。」


「…………」


「…………えっと。」


 僕は、冒険者の革の手袋で、頬をかいた。


「……まだ何か?」


「う。そ、その……。ちょ、ちょっと待ちなさい! ほら、私ってば、〝スライム〟にさっきまで囲まれていたわけだし。このまま、森の中に置いていくというのも……ちょっぴり、酷なんじゃないかしら?」


「……え? でも、どこもケガしてないだろ?」



 僕は首をかしげた。

 この子が紹介通りの〝Fランク〟……とはいえ、冒険者なのだ。


 冒険するときに〝聖剣〟があるはずだったし、僕らサルヴァスの学徒は、それを強化しながら戦う。――そりゃ、あまりにも格上の魔物や、強敵相手には難しかったが、でも、〝スライム〟程度の魔物なら……特に苦戦はしないはずだった。


 僕がそう言うと、


「………う。うん、私は強いのよ? 強いんだけど……。でも、ほら、不調の日もあるっていうか」


「……?」


「そ、それに。ほらっ! まだ、お礼をしていないし! 私は助けられた恩人には必ずお礼をするって決めているの。あなたたちに、どこかの村で《冒険道具ポーション》とか買ってあげる! どうっ? どうっ?

 禁域っていっても、冒険者が近寄るのを防いでいるだけで、人間が暮らしている集落くらいは普通にあるでしょうし……! 私、お金はちょっとあるから!」


「……えっと。べつに、お礼なんていらないけど」 



 ……ふへ? と。

 

 その女の子は、僕の申し出に面白いくらい間の抜けた顔を向けてきた。



「お礼なんか特にいらないよ? 僕は、なにも『お礼』を求めて他の冒険者を助けるわけじゃないんだし……。さっき助けたのは、たまたま〝スライム〟に囲まれて困っていそうだったから、駆けつけただけで。僕は、僕自身の冒険をする」


 僕は思った。


 他の冒険者を助けるのに、見返りや報酬なんか求めていなかったし。そもそも、そんなもの目当てに誰かを助けるなんて、僕の信じている冒険者の姿ではなかった。冒険するなら、自分の信じるところまで、トコトン。だ。


 だけど、


「ちょっ、―――ちょっと待って! だったら! 何をあげたら満足するの!? 私、そっちの方向に行きたいの。一緒に連れて行ってほしいの……!」


「……へ?」


「〝昇格試験〟が始まってから、やっと一人でここまできたわ。でも、怖くて……もう、何度も冒険を失敗してしまいそうだったの! だから、同行者が欲しいっていうか」


「……? そういや、君の精霊は?」


「……う」


 僕は、思った。

 聖剣使いなら、精霊はどうしたんだろう。


 僕がそう言うと、彼女は言葉につまった。



 ―――精霊。

 普通、《冒険者》なら、冒険を手助けしてくれる〝精霊〟のパートナーがいるはずだった。

 《剣島都市サルヴァス》の冒険者は、人間では勝てないレベルの魔物を倒して、冒険を成功させるため―――〝聖剣〟と〝聖剣〟を与えられる。僕の場合はミスズとちょっと変則的な契約をしたけど―――本来は、それで魔物と戦っていくのだ。


 だが。



「……う、それは……その。ちょっと〝事情アリ〟、というか」


「え?」


「と、とにかくっ! 使えないの! だから。《王家の森庭》で、一人ぼっちになっていたの! それで、ここから一番近い村―――《王家の森庭》という、このダンジョン唯一の村に入って、休憩をしたいなって思って。

 でも、途中で《魔物》に襲われちゃって。逃げるうちに、こんなところに出ちゃって……」



 その少女は、言った。 

 最初に〝ウルフ〟に襲われたらしい。それで、次々と〝運悪く〟魔物が追ってきて………彼女には太刀打ちできず、逃げ惑っていた。それで森の深くまで来たところで、やっと隠れていたところ、スライムに見つかったという。


 それからは、僕らも知るとおり。

 魔物たちは自分を倒せない冒険者を見つけて、は、大盛り上がり。すぐに群れとなって追いかけてきたのだという。避難所にしていた森の切り株を、囲まれて野宿の火のように躍っていた。



「……そりゃあ、また」


「た、大変です……」


 大変って、入っていいのか分からなかったが。

 僕とミスズは、思わず顔を合わせた。


 僕ら以外にも〝スライム〟に負ける冒険者なんて、いるのだろうか……?

 少し呆然としてしまう。


 どうやら、その少女は『村』に用事があるらしい。僕もミスズも、ちょうどその村に向かって他の冒険者たちと同じく歩みを進めていたところだった。この昇格試験が始まってから、〝《王家の森庭》の奥に行くために、村を経由するコース〟をとる冒険者たちがいた。僕らもその一人だ。


 ともかく、僕らの冒険は、その村に立ち寄ってから始まる。



(……ど、どうするかな。ミスズ……? ここに一人置いていくってのも、けっこう酷な気がするし……)


(そ、そうですね)


 僕らは、そうヒソヒソと。

 小声で集まって、作戦会議をする。その様子を、少し離れた木の下から見つめる少女。ちょっと不安そうな目だった。


 ………ちょうど、雨に濡れて、捨てられる前の子猫があんな顔なのだろうか。


 口ではかなり強がりなことを言っていたが、けっこう切羽詰まっている様子だった。だったら、僕らは『じゃあ、元気で!』なんて言って突き放すわけにはいかない。一応は、同じ冒険者なのだから。



(…………目的が変わらないなら、一緒に行っても変わらないのかな……?)


 ちょっと、思う。


 僕も実は、あらかじめ『村』を目指していた。そのために《王家の森庭》という冒険エリアを進んでおり、彼女と一緒に進んでも、そう遠い道のりではない。

 ―――僕はどちらにしろ、〝途中の村〟まで行かなければならないのだから。







「―――き、きゃああ! なによこれ、木の根っこだと思ったら、よく見ると《魔物蛇グリーン・サラー》の抜け殻じゃない! ひいい。靴の裏で、魔液を踏んじゃった! ヌメヌメするう……」


「…………大丈夫、だよな?」



 ちょっと不安に思いながらも、一緒に進むのだった。








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