8話 チュートリアル
すいません。遅くなりました。
【ルシファーの能力にもとづき、チュートリアルを行いますか?】
【yes no】
よくわからないがyesだ!
【命令を確認、仮想空間作成完了、時空の調節完了、転移開始。
魔力を徴収、完了、始めます】
脳内に声が響きまばたきをした瞬間、景色が変わる。
先程までいた半壊した森の景色から、あたり一面まったいらで、空も障害物も何もない空間にいた。
「ここはどこだ?」
「ここは、異空間です。
チュートリアルを行うために作った空間。時間の進み方もあちらとは違います。
あちらでの0.00000000000001秒がこちらでは約30日もの時間になります。」
声のしたほうを見ると先程まではいなかった少女がいた。
黒色の髪に金色の目をもち、まるでその存在が幻覚かと思うほど存在感がない少女だ。
「お前は誰だ?」
「私は蒼太様のスキルであり、あなた様の神格です。
しかし私は、ルシファーでありルシファーではないもの。
存在意義が明確化されていませんので、正確に答えることはできません。」
「そうか...。ところでここは異空間と言ってたな?」
「その通りです」
「じゃああの竜との戦闘はまだ続いていると思うがこの体は?」
「ここでの時間はあちらとは違います。
あちらの時間は止まっているといっても過言ではありません。
ここには転移で来てもらっております。」
「そっか。
チュートリアルだったよな?つまりここで戦闘訓練とか竜のスキルを使いこなせるようにするということか?」
「....。その通りです。ルシファーの解析が終わった今、あなた様はもう竜の戦闘知識、スキルは身についています。
それを使いこなせるようにするのがチュートリアルの役割です。」
「戦闘知識...。」
「はい。自分の記憶を探ってみてください。」
「...........。」
脳の奥、記憶の奥をイメージする。
瞬間、映画のような映像が流れ込み写真のように整理されていく。
「なるほどな。」
「では...。只今より竜を作ります。チュートリアル、開始です!」
黒髪の女性の足元にあおい魔法陣が浮かび大きくなっていく。
「.......。これは...!?」
魔法陣の放つ光が大きくなりはぜた瞬間、巨大な2つの影が蒼太をおおう。
「ギャォォォォォォォォォォ、グラァァァァァァァ」
竜が2体..。
「殺す気か!?」
叫んだ時にはもう少女の姿はなく、2体の竜が蒼太への攻撃を始めようとしている。
「くそっ!やってやる!!」
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巨大な何かの死体が山のように積み重なっていた。
その何かはすべて多種多様な竜種と呼ばれる正真正銘破壊の権化、その竜の100体もの竜が血を流し絶命している異様な風景が作り出されていた。
その異様な風景の中心に一人175㎝ほどの男が立っている。
その男は返り血で刃の光沢が見えなくなっている一本の剣を持ち、己の集中を高める。
魔力が、剣気が高まり身震いするような静かさを作り上げていた。
その静寂は一瞬で破られる。
上空からうろこをきらめかせる2体の竜が迫ってきていた。
2体の竜が標的、すなわち蒼太を見つけた刹那、瞬きよりも早く竜の手が骨ごと切れて高く舞い上がる。
「ガァ...。ガァァ?」
自分の手を斬られたのだと認識すらさせないほどの圧倒的な攻撃。
永遠にも感じる沈黙の中で、先に声を荒げたのは竜だ。
「ガァグラァァァァァァァ!!」
手を斬られた2体の竜は自らを斬ったものを怒りにまかせて噛み砕こうと急落下し突っ込む。
砂埃らしき煙が高く舞い上がる。
常人の反応速度では決してかわせない攻撃
しかし、男は竜の攻撃をいと軽々と、最小限の動きでかわしなれた動きで距離をとる。
「甘いな。動きが単調すぎる。2体で連携を取り、1体が突っ込み、もう1体は上空でブレスのモーションを取り、俺が攻撃をかわした瞬間の隙を狙うべきだ。」
見下しながら男は傲慢に無駄な指摘をする。
「これで終わりだ_」
「詠唱省略、 雷神の鉄槌
その呪文を期に緑色の巨大な閃光が上空に浮かび、鉄槌で打ち付けるかのように巨大な爆発音を伴い竜2体に打ち付ける。
緑の閃光はそのまま竜の体に纏わりつく
2体の竜は抵抗することも叶わずそれを身で受け無数にある死体と同化する。
「こんのものか _」
「お強くなられましたね_。蒼太様。」
いつの間にか現れていた黒髮の少女は言う。
「管理人か、相変わらず慣れないな。お前の影の薄さは。」
黒髮の少女を蒼太は管理人と呼んでいる。
チュートリアルを始めて約三年もの時間がたった。
始めは竜2体に死にかけたが今では、先程の様子だ。
それは周りの竜の大量の死体が示している。
「パチンッ」
"管理人"が指を鳴らした瞬間竜の死体が一瞬で消える。
ところでこのチュートリアルでわかった事がたくさんある。
まずルシファーについてだ。
ルシファーは、その解析した相手の力を手に入れる。
しかし、それはスキルとして-原初-の力を手に入れると言う事だ。
例えば、竜が使っていた、腕に氷と風を纏わせる攻撃、解析したのちにすぐ出来るわけではなく、
その原初の、水魔法と風魔法がスキルに手に入る。
故に、訓練しなければ使えないのだ。
だが逆に言えば、訓練すれば竜でも使えなかった技を使えるようになる。
また、戦闘知識は、そのまま戦いの知識を得る。しかし、これも戦闘に関する竜の知識全てではなく、戦闘のみだ。
詳しく言うと竜の戦いの知識は手に入るが、誰と過去に戦ったと言うことや、勝敗などまではわからない。
しかし、手に入る戦闘知識は自分に最適化する。竜の腕での攻撃は剣の知識にと言う具合だ。
ところで、なぜ訓練していれば強い魔法が使えるかと言うと、魔法は簡単なものでも使い続けるとレベルが上がり、魔法の詠唱が頭に自然と浮かんでくるからである。
ちなみに今蒼太は、風、水、雷の三属性を極めている。
「さてさてさ〜て、次は?」
「_。あなた様は強くなりました。見違えるほどに、もう下界に降り立っても問題ないかと。」
「そうか_。確かにそうだな。」
自分でもわかるぐらいに強くなった。三年もの年月を修行のためだけに使ったのだ。
「じゃあそろそろ行くか。
なあ、一つだけ聞いていいか?管理人」
「はい。なんなりと、」
「お前は何者だ?」
「_。その質問にはお答えしたはずですが?」
「俺の問いに答えろ。お前は何者だ?」
「私は........、ルシファーによって生まれし者、このチュートリアルを行うための異空間を管理せし者。」
「_そうか。ならいい。また会おうな_。」
「.....では、」
俺の別れの挨拶をスルーして手をあげる
管理人がてを振りかざした瞬間、魔法陣ができ光始め、空間を光で埋め尽くす。
「さようなら_。マイロード_。我が主人にして我が剣_、」
見慣れた空間が消え、半壊した森の景色に代わる。
そして目の前には、
「久しぶりだな。竜さん」
次回主人公のステータス載せます