第八話
「全員、戦闘開始」
アイゼンの声が、静かに響く。
その直後。
「右、来るよ」
エルの一言。
けど、それだけで全員が動く。
――速い。
放浪騎士が、また消える。
次の瞬間。
右側から、空気を裂く音。
「っ!」
コルネットが前に出る。
剣で受ける――が、重い。
「ぐっ……!」
押される。
「無理しなくていいよ、流そう」
アイゼンがすぐ横に入り、槍を弾く。
自然なカバー。
「助かる!」
距離を取るコルネット。
「回復回すね」
アレンの声。
柔らかい光が、前線を包む。
「……早いな、連携」
思わず呟く。
無駄がない。
それぞれが、やることを分かってる。
「……次も来るよ」
エル。
その視線の先。
騎士が、わずかに構える。
「範囲、ちょっと広そう」
「じゃあ少し下がろうか、無理しなくていい」
アイゼンがすぐに拾う。
軽く後退。
直後――
地面を薙ぐような一撃。
草が一斉に刈り取られる。
「うわ、これ当たったらやばいな」
「だね、さっきより少し強い」
アイゼンの声は落ち着いている。
その横で。
「……強化、入ってるっぽい」
エル。
少しだけ砕けた言い方。
「了解。じゃあ少しペース上げようか」
即座に判断。
「コルネット、いけそう?」
「任せろ!」
踏み込む。
今度は一人じゃない。
アイゼンが前を取り、動きを制限する。
そこに――
「今、いける」
エル。
タイミングを渡す。
「っしゃあ!」
コルネットが叩き込む。
騎士の体が、わずかに揺れる。
「いいね、その感じでいこう」
アイゼンが軽く言う。
その間にも。
アレンの回復が途切れない。
完璧だ。
「……いや、普通に強すぎだろこのパーティー」
思わず笑う。
でも――
見てるだけじゃ、もったいない。
「……ちょっと、混ざるか」
戦杖を握る。
騎士の動きを見る。
速い。
でも――
「……見えなくはないな」
次の突進。
横に流す。
ギリギリで回避。
「うお、マジでいけた」
そのまま、距離を詰める。
一発。
軽く当てる。
ダメージは小さい。
けど――
「……ちゃんと入るな」
「無理しなくていいよ、見えてるだけで十分」
アイゼンの声。
ちゃんと余裕をくれる言い方。
「回復、少し任せてもいいかな?」
「お、任せろ」
即答。
そのまま、前線を見る。
コルネットが被弾。
「――ヒール」
光が走る。
HPが戻る。
「お、助かる!」
「いいね、そのままお願い」
アイゼン。
自然に役割に組み込まれた。
「……マジか」
ちょっとだけ笑う。
このパーティー、柔軟すぎる。
「……次、大きいの来るよ」
エルの声。
少しだけトーンが下がる。
「了解。全員、ちょっと警戒しようか」
アイゼンがすぐに繋ぐ。
騎士が、大きく構える。
「これ――」
「範囲、広い。たぶん避けきれない」
エル。
でも言い方は柔らかい。
「そっか。じゃあ、無理せず耐えよう」
アイゼン。
即決。
「アレン、回復厚めでお願い」
「了解」
「なゆた、ヒール重ねられる?」
「いける」
「助かる、頼むね」
その一言で、少し安心する。
次の瞬間――
振り下ろされる一撃。
衝撃。
HPが一気に削れる。
「――ヒール!」
「リジェネ!」
回復を重ねる。
HPが戻る。
ギリギリ、耐える。
「……よし、いい感じ」
アイゼンが小さく頷く。
その直後。
「今、通るよ」
エルが一言。
「任せろ!!」
コルネットが踏み込む。
全力の一撃。
騎士に叩き込まれる。
大きく、削れる。
「……おお」
思わず声が出る。
「いいね、そのまま押そうか」
アイゼン。
「……まだいける」
エル。
短く、でも確信を持って。
戦いは、まだ続く。
でも――
「……これ、勝てるな」
確信する。
このパーティーなら。
そして――
その中に、自分もいる。
少しだけ、楽しくなってきた。




