5. お寝坊さんどころじゃない!
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慌ててこちらに寄ってきた金ちゃんによって僕の近くから離される化け猫さん…あんなに大きくても足音がほぼしないってのは凄いなぁ。
「ふー!ふー!」
「キンちゃんおちついて…こっちがねこみたいだから」
『ハハッ!坊主は面白いことを言うじゃないか。確かに今はあんたの方がよっぽど猫だね!…しかも盛りが付いてるような』
「んむっ!?……すまんなギンよ。こちらが心配させてしまった」
化け猫さんの言葉にビクッと大きく反応したかと思うと、ちょっと顔を赤らめて僕に顔を下げてきた金ちゃん…落ち着いてよかった。でも化け猫さんは盛りっていったけど、金ちゃんは子供になってるしどちらかと言うとデカい生き物にやんのかポーズしてるようにしか見えなかったなぁ…流石に僕はそこら辺にいる普通の男だし、かわいい金ちゃんの対象じゃないでしょ?
『そこはかとなく朴念仁の香りを感じるね』
「大学とやらで離れたあの頃から何も変わってないのぉ…昔から色々と動いたというのに、本当に何の進展もなかったんじゃ……」
『こりゃ重症だ』
重症?金ちゃんどこか悪いのか!?一緒に大きくなっていったのに突然小さくなってるんだから重症ではあるのか……それは僕もみたいだけどさ。
ちょっと落ち着いてきたけど、体が縮んでいるのも含めて、今の状況って相当におかしいんだよな。だって僕は大学に進学して実家からは離れた場所にマンションを借りて生活をしていたんだもの。それなのにあの渦の中に入って気を失ったら、実家の雲竜図の間で寝ていて体が縮んでしまっていた!?いや頭脳は一応大人で体は多分子供だから間違ってはいないんだけど、あんな行く先々に殺人事件や爆弾が仕掛けられている生活が始まるのは御免だよ?それに僕は探偵なんてできないし…それはともかくとしてだ。先ずは状況を知ってるっぽい金ちゃんに色々聞かないと。
「キンちゃん?」
「何じゃ?もしや陣の外側におったからどこか痛むのか!?」
「そ、それはだいじょうぶ…そのジン?のこともあるけど、いったいなんでぼくはここにいるの?たしかうずのなかできをうしなったはずなんだけど」
「……それはじゃな」
『長話になりそうだね。あたしゃ外のとじゃれてくるよ』
暗い顔になった金ちゃんをよそに、面倒な話が始まりそうだと器用にしっぽで襖を開けて出ていく化け猫さん。その尻尾の火は燃えないんですね…でしたらぜひ触らせてほしい。
「ほれ!自分で聞いておいて他のに意識を向けるでないわ!」
「はい!ごめんなさい!」
「全く…気になることがあるとそっちに目が行くのは変わらんな…ではそれなりに長くなるでな。体調に異変があったら正直に言うんじゃぞ?」
「りょうかいです!」
へにょっと力の抜けた手で敬礼をすると、その墨で真っ黒になった手のひらを見て苦笑して布を取り出しながら「まずは綺麗にしてからじゃなと」どこからともなく湯気の立つ桶を出してふき出した。このいきなり物が出てくるのも久しぶりだなー。
「さて、これで大丈夫じゃの」
「ふくまでかえるひつようはなかったんじゃないかな…」
「何を言うか!ひざ下も真っ黒だったろうに!」
いやまぁそうだったんだけどさ…体は縮んだといっても元大学生なわけなんで、羞恥心がね?確かに金ちゃんとは小さな頃一緒にお風呂入ったことあったけど躊躇なさすぎるよ!
「さぁ掛け布団もかけるから安静にして聞くんじゃぞ」
「はぁい」
気にしてなさそうだし僕が気にしすぎなんだろうか…聞くと長引くそうだしこのまま大人しく説明をお願いしよう。
「まず一番重要な事じゃが…今何年だと思う?」
「なんねん?あのときがよんじゅうなな…もしかしてとしこえちゃった!?」
大変だ!三が日は必ず実家近くの神社にお参りに行かないと僕の1年が始まらないというのに!あ、今は実家にいるから体がもっと動くようになれば間に合うかな?
「いや、年が越えたどころではなく跳躍しておるぞ。まず今は12月の冬至じゃ」
「いまとうじなんだ…だからちょっとさむいのかな」
あれ、冬至って12月の22日か21日だった筈だし数日眠っていたどころじゃないな?
「いちねんねちゃってた?」
「1年どころじゃないぞ――今年は2447年。お主があの場所で意識を失ってから300年経過しておる」
へぇ~三百年も……さ、さんびゃくねん!?
とてつもないお寝坊さん。
太陽太陰暦やらを考えるとかなりややこしくなるので、冬至は現代合わせで!
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