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3.目覚め

わちゃわちゃの目覚め。

「それじゃあ、ようかいてちょうがないでしょうが!……あれ?」


 知らない天井…いやちょっと見覚えがあるような気がする天井だ。このとぐろを巻くように浮く鮮やかな龍の絵はあそこぐらいでした見たことがないけど。

「でも、おぼえているのとくらべていろあせてるような?」


 掠れたというよりは時間が経って色が抜けたような感じだ。……体がだるいというかほぼ動かせない――布とかを触ってる感覚はあるから無事ではあるっぽい?――て首ぐらいしか動かせないけど、もしアレがあるのならば見覚えしかない天井になるんだけど。

「えーっと、うんりゅうずのしっぽにおおきなきずは――あった…」

 昔妖怪や神様を探すのなら護身として剣術を覚えていた方がいいんじゃないかって、模造刀…は鍵が掛った場所にあったから取り出せなかったから、薪割りの斧を持ってきて素振りしようとしたことがあったんだ。それでまだ小さいころだったから床も傷つけながら持ってきて、全力で持ち上げようとしたらすっぽ抜けて天井の雲竜図にザックリ刺さったんだ……めっちゃ怒られたのと怪我してないか心配された記憶がある。


 あの時のことがあったからちょっとトラウマになって入室すること自体しなかったんだけど、こんなザックリいった雲竜図なんてこの場所以外にないだろう。

「ここ、じっかのどうじょうだ」

 でも何であの黒い渦の中で意識をなくしたと思ったら、ここで目覚めることになるんだろう?まさかあの中の出来事が全部VRでの体験だったとか!……いや、その前まで車を運転していたんだから無いよね。

「じゃあなつやすみにかえってきたあとずっとゆめをみてたとか!うん、もっとないか」


 普通にけがをしたときとか痛かったもんね…でもそれ以外納得のいく理由がないなぁ。もしあの渦から救出されたとしても普通なら病院に送られて目が覚めるはずだし、知らない天井っていうテンプレも出来たはず…それは別に出来なくてもいいや。

「だれかいてくれればおしえてくれそうなんだけど、だれもいな『おや、目が覚めたのかい』……だれ?」


 聞き覚えのない声の方に何とか顔を向けようとする。体をよじってひっくり返ろうとするがなかなか力が入らないので難しい…というか布団の感じとか手から伝わる感覚が小さい気がするような。気のせいだろうか?心なしか言葉もはっきりしない感じだしよく分からないな。

 ぐいっ…トサッ

「おおっと…ひっくりかえれた!てつだってくれてありあ…と」

 自分の体の半分はありそうな感触とともにひっくり返されたので驚いたけど、ちゃんとお礼を――でっかい猫?


『なぁに、面白いものを見せてもらったお返しみたいなもんだよ』

「おもしろい?」

 何か面白かっただろうか…昨日まで元気だった青年が寝返りも難儀な状態だし滑稽ではあるのだろうか。

『かわいらしい顔で難しい顔なんかしてるんじゃないよ…まったく、珍しい幼子が亡くなるって聞いたから運びに来たってのに無駄足になっちまったねぇ』

「おさなご…ぼくのこと?」

『他に誰がいるんだい』

 そう言うと一度あくびをして顔の掃除をしだした。大きいけど、こういう所は普通の猫と変わらないんだ…横で振られてる尻尾も普通――2本ある。


「え!?」

『どうしたんだい?尻尾をまじまじと見て…妖怪を初めて見わけじゃないだろうに』

「よう…かい……」

 まてまてまて、妖怪だって!?本当に居たのか!いや、最初でっかい猫だなぁって思ったけど普通は襖の高さまでの大きさの顔がある猫とか居ないよね!寝起きだからと言って寝ぼけすぎだぞ僕!

『ん~?その反応初めて見たってのかい?おかしいねぇ…』

「お、おかしいとは」

 憧れだった、1目見て観たいと思っていた妖怪が今目の前にいる。体が大きいし尻尾が二本で先端が燃えてる…火車で合ってるかな?運び気に来たって言ってるし正解だとは思うんだけど……くっ!動け僕の体!あの毛並みが良さそうな三毛柄を触らせてもらうんだ!


『やけに威勢が良くなったね…う~ん、ちょっとの間なら連れて行ってもいいんじゃないか――スパァン!

「そこまでじゃ泥棒猫!」

『っち、戻ってきたかい』

「戻って来たかじゃないわ!?せっかく帰って来たというのに連れ去るやつがあるか!」

 廊下からドタドタとした音が響いたかと思ったら勢いよく部屋の隙間が開かれ、ぎゃーぎゃーと仮称火車さんの耳元で入ってきた者が叫んでいる……赤い着物を着た女の子?うちにこんな子いたっけ。


『別にいいじゃないか、元々荼毘に帰す筈だった体に魂だろう?運んでも問題ないじゃないか』

「大ありじゃい!時間はかかったが瀕死であった状態からこうやって帰ってきたんじゃ!大分私も小さくなりもう駄目かと思ったところで…うぅ……」

『なんだい張り合いがないねぇ』

「やかましい!」

 怒ってやってきたと思えば、次には泣いてまた怒っている。せわしない子だなぁと思ったけど、ちらっと見えた右目の下に黒い勾玉みたいな模様が見えた…また見覚えがあるな。


「もしかしてだけど…キンちゃん?」

主人公の「」内の発言が平仮名なのは仕様です。読みにくいのは承知なのですが、幼いことを示すにはこれぐらいしか表現方法がない!


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