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2.一生の終わり…?

シリアルスタート。と言ってもプロローグ終わりまでは若干シリアスですが…

 ――所変わり日本国内。


 1人の青年がウキウキとした顔をしながら、その町唯一の大きな家電量販店から出てきていた。

「よし!無事に初回限定生産版を入手!」

 彼はこのクリスマスイブと呼ばれる日に、1人寂しく予約していた新作ゲームの受け取りにやってきていたのだ。

「今日はこのゲームをひたすらプレイしてやるんだ…何が性の6時間だ!」

 そんな悲しいこと叫びながら、自分が運転してきた車に乗り込む。


「しっかし寒い!よりによって雪が降って積もるとは思わなかった…ってことはこのままホワイトクリスマスになるってことじゃ……まぁ僕には関係ないしいいか」

 余計なことは考えずに早いとこ自分の城(賃貸マンション)に戻ってぬくぬくしながら楽しもうと、車のエンジンを入れ駐車場を出た。


 ――凡そ運転開始から1時間後

「やっと車全体が温まってきた感じがする~エアコンが温まるの遅い!…まぁ、この車大分古い中古車だったし仕方がないけどさ」

 全力でゲームを楽しむために田舎でもいいから少しでも防音性の高いマンションを選んだから、初期費用が掛かっていい車が選べなかったことを思い返す。高校時代に貯めていたバイト代をほとんど使ってしまったから今もバイトと大学生活のカツカツの状態で生活しているけどね!大学までも結構遠いし……両親からの仕送りがなかったら僕は持たなかったんじゃなかろうか?


「そういえば、さっき新作購入の投稿をしたときタイムラインに変な黒い球が現れたって騒ぎになってるって流れてたけど…別に何も起こってないよね?」

 信号で止まったタイミングで周囲を確認するが特に変わった様子はない…もしや自分が知らないだけで、不特定のインフルエンサーに依頼した映画の広告とかだったのかな?

「まぁ、現実で有名な場所で被害が出てたら緊急アラートとかなるよね。場所がどちらかというと恐ろしい場所ばかりなのが気になったけどさ」

 海外の古い洋館とか城の写真が多かったけど、日本のもあってリアルさがあるというのが余計広告っぽいというか…でも、何で鳥居の後ろに祠と竹しかない八幡の藪知らずを選んだんだろう。しかも何故朝?


「あそこって放生池の跡地とかって市の委員会の見解があるって見たことがあるけど…竹も切られてなかったっけ?」

 と言っても僕としては平貞盛(たいらのさだもり)の八門遁甲の陣が残ってるって方を激押しするけど!水戸黄門の話もあるし近い休みに行ってみようかな。もしかしたら妖怪に出会えるかも…

「ってそんなわけないか。会ってみたいけど本当に居るのかなー?」

 そう言って青信号となった十字路を進み始めそれなりのスピードとなったところで――目の前に見覚えのある黒い渦が現れた。


「うぇ!?」

 急いでブレーキを掛けるが勢いの出た物が急に止まれるわけもなく、渦に突っ込み取り込まれてゆく…しかし咄嗟にドアを開けシートベルトを外したことでギリギリの所で抜け出すことに成功した。

 ドシャッ!

「いったた…なんなんだよ一体……ってあぁ!?」

 彼の目に映るのは先ほど購入した新作ゲーム。予約者限定の初回生産限定版であり、何とか食費を削り貯めてきた努力の結晶でもある。


「返せ!僕のゲームだぞ!」

 手を伸ばし叫ぶが、無情にも黒い渦に飲み込まれていき…見えなくなった。

「えぇ…僕の切り詰めた食費と期待の結晶がぁ。今作はAIが進化してランダムイベントも増えたって話なのに……なんなのこの渦!」

 憤った気持ちと共に同じく無事であった携帯端末で渦について調べようとするが、残念ながら同じようなことが各地で起こっているのか全く読み込むことが出来ない。

「みんな考えることは同じか。でも、何か出てくる感じはないし危険じゃないかも……餓鬼とか出てこないよね?」

 実際のところ、各地では様々なものが吸収され様々な化け物が這い出て来るという大パニックが引き起こされているのだが、この渦は田舎の全く人の居ない畑のど真ん中の道路に発生したことによりエネルギーが足りていないのか何も出てくることがない。


「…よし!ここまできたら意地だ!男は度胸!」

 どうしてもゲームを諦めきれない彼は、意を決して渦の中に侵入してみることにした。大分気が動転しているようだ…今思えば、何でこんなことをしたんだろう。


 ズブッ

「うわっ!?なんかこの渦ヌルッとしてて気持ち悪い!?しかも抜けないんだけど!」

 手を突っ込んでみると変な生暖かさを感じ、引っ込めようとしたが貼り付いたように動かなくなってしまった…ただ抜け出すことは出来ずとも入り込むことは可能らしい。

「飲み込まれていくようで余計怖いけど…引いて駄目なら押していくしかない」

 せめて心霊現象とかが起こらないことを胸元に付けたお守りに祈りつつ、ズブズブと入り込んでいく。


「うーん、うす暗くて見づらい。そして周囲に何もない――僕のゲームと車はどこに行ったんだ…あんなゆっくり飲み込まれたのなら入り口にあっていいじゃないか!」

 あっちにもないこっちにもないと探し回るが、この空間には何もない…しかも折角助けを呼べるようにと持ち込んだ端末も圏外だ。


「どうしよう…今からでも戻れるかな……だんだん眠くなってきちゃったし、不味いことになる前に動こう」

 でも、薄暗い空間の中をあちこち動き回ったせいで出口が分からなくなってしまったぞ。試しに移動してみるけど外の光が漏れ出るとか一切ない……詰んだかもかもしれない。


 拝啓、家族の皆さん。僕はまた馬鹿なことをやってしまったみたいだよ。小さなころから河童がいるかもと池に飛び込んで溺れかけたり、山彦探しと言って登った山でクマに出会ったりと色々あったけど流石に今回はダメかもしれない……うん、本当に駄目だな。

「諦めて…通常版買い…なおせばよかったかな……いや………」


 倒れ伏し、混濁とした意識の中…彼が最後に思ったことは――

熊は遠くであっても、出会うと本当に怖い。というより山で出会う動物は基本怖い!


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