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◇ ◇ ◇


「日波、今日TセレクトのCMでさ、“都会のオアシス温泉庭園”ってとこ紹介されてたの。渋谷内にあるみたいだし、行ってみたいなー」

 カオルとの共同生活が始まって二日目。金曜日の晩に仕事から帰ってきた私に、カオルが告げた。手にはポッキンアイスが握られている。今日、コンビニでも行ってきたのだろう。


 Tセレクトとは、テレビ番組の見逃し配信をしているサイトのことだ。動画の途中で時折CMが挟み込まれる。私も、何度か使ったことがあった。


「“温泉庭園”? なんか、聞いたことあるような」


「そうなんだ。行ったことは?」


「ないよ。一人で行くの、恥ずかしいし」


 健太と付き合っている時も、温泉には滅多に行かなかった。男女で分かれているので、結局二人で行っても一人でしか楽しめないから。そんなことをふと思い出してしまって、また傷が疼く。


「それなら一緒に行こーよ! 明日、どう?」


「明日ー? ん、まあいいよ」


「やった。楽しみ」


 世界旅行帰りのカオルは身近な場所で温泉に行けると分かって上機嫌だ。彼女がポッキンアイスを口に含むと、一口で半分も実がなくなってしまった。


 カオルは現在、仕事に就いていない。

 噂に聞いた旅をプロデュースするベンチャー企業も、退職していた。

 そもそも、この歳で働きながら自由に海外旅行に行けるなんてこと、ありえない。会社を辞めていたのは想像の範囲内だった。

 だからカオルは私と生活をするにあたって、就職先を探す! と宣言していた。

 私が仕事に出掛けている間、ハローワークに行くなり、ネットで求人情報を探すなどしているはずなのだが、進捗はどうなんだろう。まあ、たった二日ではなかなか就職先も決まらないだろうけれど。

 破天荒な友人を雇ってくれる会社に、興味だけはあった。

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