表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/90

90.ずっと幸せが続きますように(最終話)

「エキドナ、待って」


「お兄ちゃん、早く!」


 海ではしゃぐ妹を追いかけて、僕も海に飛び込んだ。広がる青い海はどこまでも遠くて、色鮮やかなお魚が泳ぐ楽園だ。昔と違って、海辺に住んでいた危険な人間は駆除された。すごく数を減らして、今はヴラドのおじさん達が管理している。


 勝手にそこらに現れて、チクチクする矢を刺される心配はなくなった。魚をたくさん捕まえて、エキドナの望む貝殻を拾う。ヴィネも貝殻拾いを手伝ってくれた。


「ほら、気に入ったのを見つけろよ」


 ぶっきらぼうな口調だけど、ナフラが大量に貝殻を持ってくる。どさりと積んだ貝殻を、エキドナとヴィネは嬉しそうに分け始めた。二人の楽しそうな姿を見守りながら、僕とナフラは日陰に座る。いいお天気だな、とか思いながら。


 各種族が仲良く暮らすために、子供がいる家族はお城の近くに住むことが決まった。数年したら、親だけ戻る家もあるみたい。成人するまで一緒に遊んでお勉強して、それから各種族が暮らす家に帰る。伝統の継承がどうとか言われたけど、僕達はすごく長生きばかり。


 数十年、外で暮らしても問題ない。遊べるときに遊ぶべき、僕はそう思うよ。ある程度成長したら、自分の種族であれこれと慣習やルールを学ぶ。その頃はもう自分で出掛けられるから、仲のいい友人と会うのも自由だった。


 何人かはもうお城から自分達の生まれ故郷に帰った。でもよく遊びに来てくれるし、仲良くしている。森は平和で豊かだし、どの種族も子供がたくさん生まれていた。森の恵みが溢れているみたい。


「お兄ちゃんと知り合ってから、どの種族も子供が増えたって覚えたよ?」


「え、誰がそんなこと言ったの」


 ナフラがこてりと首をかしげて呟くから、驚いた僕は目を丸くする。魔獣はもちろん、今まで子供が少なかった吸血種も、ここ数年で出産数が増えた。その話は聞いたけど、僕と知り合ってから? 時期が重なっただけだと思う。


「ヴラドのおじちゃん!」


 にっこり笑うナフラが嘘を吐くわけない。じゃあ、おじさんに聞いてみよう。夕方になる前に、貝殻はすべて回収して収納へ入れた。三人を背中に乗せて、僕は空を舞う。昔、憧れたディーみたいに優雅に、魔王城へ向かって。





 お城に戻ってこっそり聞いたら、僕と出会った後、可愛い我が子が欲しくなったとおじさんが教えてくれた。他の種族も子供はいいなと思ったみたいで、出産ラッシュになったんだって。僕のお陰なのは嬉しいな。妹のエキドナ達と遊んでくれる子が増えますように。


 ナフラはあと五年で大樹さんのところへ帰る。ヴィネはこのお城の子だから、ずっとエキドナの友達だ。僕の周りの世界は、いつだって優しかった。時々ちくりと意地悪する人もいたけど、今になれば優しくて強い人と出会うための切っ掛けだったんだ。


「魔王様、こっちへ」


「え? 何言ってるの。俺達と訓練ですよね」


「お風呂に入ろう、お兄ちゃん」


 小人さんに呼ばれて、約束優先だと騎士さんが騒いで、妹に誘われる。僕がたくさんいないと無理っぽい。困った僕がへにゃりと尻尾を垂らすと、なぜか譲ってくれた。妹エキドナと手を繋いで、反対側でヴィネが指を絡める。


「わたち、お兄ちゃんのお嫁ちゃんになる」


「ダメ、あたしのお兄ちゃんなんだからね」


 ヴィネのお嫁さん宣言に、エキドナが怒鳴って二人同時に泣きだした。僕はまとめて抱っこして、お風呂へ二人を送り出す。この幸せがずっと、ずーっと続きますように。中から呼ぶ二人の声に「今行くよ」と返しながら、僕は空の向こうへ祈った。








 終わり









*********************

完結です。最後までお付き合いありがとうございました。綾雅にしては、ほのぼの系でした_( _*´ ꒳ `*)_あまり危機もなかったし、最初だけ痛かったけど。あとはお子様成長ものです。また次の作品でお会いできたら幸いです。昨日から新作書いております。



*********************

新作のご案内です。

一つの世界に四つの物語_( _*´ ꒳ `*)_

【あなたの思い違いではありませんの?】


 頭の足りない王太子が婚約破棄する物語から始まります。軽いざまぁの入った第一章、続く二章からそれぞれの物語の一人称で、婚約破棄騒動までを綴ります


https://ncode.syosetu.com/n0777jk/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 完結お疲れ様です(`・ω・´)ゞルンが優しい魔王になって、妹達にモテモテなほのぼので終わってホッコリしました(*≧ω≦) エグいのも、サイコも無くて新鮮でした( *´艸`) 小人に小人ドラ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ