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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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88/90

88.もう王様になるの?

「え、僕はもう王様になるの?」


 ディーの結婚式から何年も経った。僕はやっと十六歳になったばかり。魔族の中では「卵の殻を付けたヒナ」程度の年齢だった。ヴラドのおじさんは、今年六百歳になったんだよ。全然違うよね。僕が王様になったら、おじさんは配下になる。


「まだ早いと思う」


 お父さんとお母さんが変なことを言い出した。眉尻を下げて、へにょりと尻尾を垂らす。最近は半分人で半分竜になる練習をしていた。全部竜になるより、僕には簡単なんだ。


 鱗があるから強いし、尻尾も武器になる。手に武器も持てるからこの形態は理に適ってると、竜族の騎士の間で人気なの。立って歩く蜥蜴みたいな感じだよ。


「でもお兄ちゃんになるのよ、ルン」


「もうナフラとヴィネのお兄ちゃんだよ」


 ナフラはシエルの子で、僕の最初の弟。フィルが産んだヴィネはまだ赤ちゃんなんだ。鱗がピンクの可愛い女の子だった。二人のお兄ちゃんをしているのに、まだ増えるの?


「お母さんに赤ちゃんが出来たんだ。しばらく仕事はできない」


「うん」


 それはわかる。フィルの時も、どんどんお腹が膨らむし、苦しそうだった。卵を産んでからしばらく動けないだけじゃなくて、卵を温めないといけないんだ。お母さんというお仕事は、途中でお休みできないから大変なの。


「お母さんも卵を温めるの?」


「たぶんな」


 僕の時も卵だったと聞いている。そっか、お腹に卵があるとお仕事はできないね。割れたら危ないし。でも、僕が代わりをできるのかな。皆は嫌じゃない?


「お母さんの代わりを、ルンに頼みたいんだ。お父さんもディアボロス達も手伝うと約束する。どうだ? 頼まれてくれるか」


 僕が断ったら、お母さんは大きなお腹で仕事をしないといけない。すごく大変だよね。遊ぶ時間が減っちゃうけど、我慢できるよ。僕はお父さんとお母さんの子で、立派な大人になるんだから。


「頑張る」


「よし。言質はとったぞ」


 げんち? なぁに、それ。きょとんとする僕の周りで、わっと歓声が上がった。庭に面したお部屋の外に、いっぱい集まってる。いつの間に来たんだろう。お部屋には僕達しかいなかったのにね。


 大喜びするドラゴンの中には、庭で暴れて蹴り飛ばされる人も出た。お祝いの雰囲気は、結婚式に似ている。嬉しくなって僕も輪の中に飛び込んだ。担がれて運ばれる。僕を肩に担いでるのはディーだった。後ろからアガリが何かを渡してくる。


 受け取って振り回したら、先端からいっぱい星やキラキラが出た。皆が笑顔で、僕でいいと言ってくれる。ちゃんとした王様をやるから手伝ってね、とお願いした。盛り上がるお庭は一晩中騒いでて、途中でご飯が作られて並んだ。


 お庭で焼いて食べたり、中で休む人がいたり。お庭もお城も大騒ぎ、猫さんや亀さんも加わった。シエルのお友達の森人族も参加したし、小人さんや魔獣さんもお祝いに駆け付ける。僕が笑顔でいられるのは、皆が僕を嫌わないから。僕も皆を好きでいられる。


「皆、だーいすき!」


 僕が叫んだら、いっぱいのキラキラが空から降ってきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 小人ドラゴンは、猫作者さんをライオンカットにした後、ルンが16になるまで進化の冬眠しました。 目覚めた小人ドラゴンは、虹色小人ドラゴンとなって祝福のレインボーブレスきゅ。 ちゃんと串を焼き…
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