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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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87.ディーとフィルの結婚式

 僕が召喚されてから、両手の指の数ぐらい季節が巡った。


 ディーとフィルが結婚式をする。今日は特別な日だった。皆がお祝いに駆けつけ、お城の中は人で溢れている。難しい儀式はなくて、着飾ってご飯を食べる集まりだった。


 ピンクのドレスを着たフィルは可愛くて綺麗、白と青の服のディーもカッコいい。二人が並ぶと、お互いの色をちょっとずつ交換した感じになった。ディーとフィルがいっぱい、溢れるほど幸せになりますように。


 祈る僕の気持ちが届くといいな。お母さんはフィルのドレスを用意する手伝いをしたし、お父さんはディーに何かプレゼントをしていた。僕も二人に花束を作ったの。お庭の世話をしている小人さんに頼んだ。一緒に選んで摘んで、アガリの用意したリボンで結ぶ。


「ディーもフィルも、すごく幸せになってね」


「ありがとう、ルンみたいな子供が欲しいわ」


「ああ、幸せになる。ありがとう」


 二人が皆にお祝いされるのは、好かれているから。ディーとフィルは皆を好きだし、皆も二人を大好きだと思う。こういうのって、そーしそーあいと呼ぶんだ。本で読んだよ。


「ルンお兄ちゃん、僕のも渡せる?」


 シエルと一緒にきたナフラが、綺麗な緑の葉っぱの束を見せる。小さな白い花が揺れていた。これは大樹さんが咲かせてくれたらしい。後でお礼に行こう。ナフラの手を引いて、二人の前に連れて行った。お兄さんぽいと思う。


 ちゃんと紹介して、大樹さんの花だと伝えてから渡した。ナフラは嬉しそうで、二人も笑顔だ。ずっとこんな感じならいいな。嬉しいことや楽しいことが続いて、悪いことの起きない世界が好き。


 僕がもっと大人になったら、そんな世界にしたいな。お祝いで用意されたお肉を齧り、甘いお菓子を見つけてナフラと半分こした。ジュースもいっぱいあって、飲んだらカッとする。ふらふらする僕は、間違えて大人のお酒を飲んだみたい。


 お母さんに叱られちゃった。次からは飲み物を聞いてから手に取ること。約束事が増えちゃう。ナフラは飲んでなくて、ちょっと安心した。僕より子供なのに、叱られたら可哀想だ。


「ルンお兄ちゃんを叱らないで」


 僕のお母さんの足をぽかぽか叩いて、泣きながら僕を守ろうとする。ナフラに平気だよ、と頬を擦り寄せた。将来、立派な王様になってナフラみたいに優しい人を守るのが、僕の夢だ。絶対に叶うと信じているし、叶えるまで頑張るつもり。


「次はアガリか?」


「お相手がいないだろ」


 騎士の人が何か話している。その向こうに、猫さんが見えた。亀さんを運んできてくれたみたい。亀さんをどすんと下ろし、やれやれと毛繕いを始めた。


「猫さん、亀さん」


 来てくれてありがとうの意味を込めて、突進する。抱き止めた猫さんが「大きくなったねぇ」と笑った。亀さんも目を細めて、満足そうに頷く。すぐに二人も宴会の輪に入って、解散するまでに一週間もかかったんだ。すごく楽しかった。

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