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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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57.寝たフリはちょっとだけ

 猫さんとお魚も獲りに行った。ひょいっと前の手を動かすと、お魚が石で跳ねているの。爪で引っかけると教えてもらったけど、僕はそんなに立派な爪がない。だから獲れたお魚を捕まえる役をした。


 これも立派なお仕事だよ。猫さんと僕が捕まえたお魚を、アガリが運んでくれた。丸ごとのお魚を焼いて食べたり、お鍋に入れて煮る。たくさん食べて、お肉のお土産ももらった。


「魔力で包んで放り込みます」


 お土産を空中へ入れる様子を見て、僕はアガリにやり方を聞いた。もしかしたら僕も出来るかもしれない。覚えて、お父さんやお母さんに自慢するの。そう話したら、丁寧に説明してくれた。


 魔力を練って、包んだ品物を放り込む。魔力ってどんなので、練るって何をするの? 首を傾げる僕に、猫さんが鼻をくっつけた。触れたほっぺからじわじわと温かいのが伝わる。


「あったかい」


「今のが魔力だ。探してご覧」


 じんわりする、温かいのが魔力。僕の中にもあるなら、探してみよう。手足をぺたぺた触って、外側にはないと気づいた。内側? お腹かな、胸かも。目を閉じて探すと、じわっと何かが出てきた。


 僕も出来そう。そう思った途端に消えちゃった。慌ててまた探し、胸の奥の方で見つける。おいでと呼んで、優しく誘ったら、じわじわと出てきた。あったかいし、安心できる。


「見つかったかい?」


 尋ねる猫さんに、これ! と手を当てて伝えた。僕が送ってもらった魔力と同じだと思うよ。猫さんのお顔に手を当てて、ゆっくりと流した。


「おお、見事なこと。さすがは魔王陛下のご子息よなぁ」


「ごちそく?」


 難しい言葉だ。まおーへーかは知ってる。お母さんのことだった。お仕事用のお名前なんだよ。


「愛い子だ」


 うい? 聞いたことがない難しい言葉が多いけど、猫さんは長生きなんだ。だからいっぱい言葉を知っている。僕もちゃんと覚えなくちゃ。聞いて同じように繰り返すのに、全然違う言葉になっちゃうの。どうしてだろう。


 アガリに相談したら、まだ出来なくていいと言われた。大人になるに従って、できるようになる。


 猫さんとお昼寝もして、すぐに一日が終わっちゃう。今夜はアガリも一緒に猫さんのお腹で寝るの。一人は寂しいから、一緒がいいよね。僕を抱っこしたアガリが猫さんのお腹に包まれて、でもお布団も敷いて。あったかく眠った。


「まだどこぞへ寄るのかい?」


「そろそろ連絡が来ると思います」


 連絡次第ですね。アガリが猫さんに答える。僕は目を閉じてるけど、まだ起きていた。お話は全部聞こえる。僕が寝たと思って話しているから、黙って寝たフリだよ。


「ならば、明日は面白い場所に連れて行ってやろう。運が良ければ、契約が得られるか」


 ちらっと目を開けたら、起きているのがバレちゃった。謝ったけど、別にいいんだって。面白い場所って、どこかな。ワクワクしながら、もう一度目を閉じる。今度はすぐに眠くなった。


 夢の中でディーが飛んでいる。真っ赤な羽を広げて、鱗がきらきらと輝いた。隣に大きな蝙蝠の人がいて、周りにもいっぱいドラゴンがいる。赤、青、銀、黄色、茶色……緑の髪はシエルと同じ大樹さんの人みたい。目が覚めたら、夢の中身は思い出せなかった。今度はちゃんと覚えておこう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 猫作者さんには、凛々しいライオンの着ぐるみをプレゼントです。 猫着ぐるみを着てふかふか猫さんのお腹でゴロゴロ。 珍魂にも猫着ぐるみ着せて転がします。ふかふか猫さんと友好を深めつつアガリ専用…
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