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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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56.猫さんと丸くなって寝た

 猫ちゃんのお名前は、難しかった。僕には発音できなくて、猫さんのままになる。ごめんね、大人になったらちゃんと覚えるからね。


 たくさん謝って、抱っこされて、抱きついて。猫さんは優しい。僕をお腹に乗せて、くるっと丸くなったの。今夜はこの形で休むんだって。アガリが寂しいかもと心配したら、すぐ隣に寝るから構いませんと笑った。


 灰色と黒の縞々模様は、森の中に入ると消えちゃう。すごくびっくりしたんだ。森の中でじっとしていると、全然見えないんだよ。森の一部になる。すごい能力だよね。


「さて、ルンと狩りに出ようかね」


 猫さんは僕を背中に乗せて、森の中へ歩き出した。今夜のご飯を捕まえるんだ。やきにくちゅーしょく、僕だって知ってるよ。弱い動物は強い動物に食べられて、強い動物も死んだら弱い動物に食べられるの。それが世界のルールだった。


 お母さんが教えてくれた。ちゃんと覚えられなくて、何度も練習した。まだ時々間違えて、お父さんに直されるけど。アガリは変な顔で我慢してる。また僕が間違えちゃったのかな?


「弱肉強食、ですね」


「やきにくちゅーしょく?」


 これは僕の耳がお仕事していないのか、お口がサボってるのか。アガリはゆっくり覚えればいいと言ってくれた。がんばるね。


 猫さんの背中に乗る僕の後ろを、アガリが付いてくる。猫さんが体を伏せた。ここからは黙って、じっとしないと。獲物の動物が逃げちゃう。猫さんの体がゆらゆらして、一気に走った。大きな動物がまっすぐ走ってくるのを、ひょいっと避けて後ろからパンチする。


 大きな手が二回も叩いたら、茶色い獣は動かなくなった。狩りは、必要な分だけ。無駄に獲ったらいけない。猫さんも頷いて、大きな肉を咥えて歩き出した。ここで毛皮を裂いて肉を取り出す。残った部分は、他の獣さんのご飯だった。


 ここでも無駄はないの。猫さんは「美味しいところ」と言って、二つのお肉を選んだ。わくわくしながら、猫さんの背中で揺られる。お肉の片方は、アガリが持った。


「何かお手伝いしないと、ご飯が貰えませんから」


「じゃあ、僕もお手伝いする」


 僕もご飯欲しい。手を挙げて伝えたら、子供は働かないで成長するのがお仕事と言われた。成長する部分に、ご飯をいっぱい食べてたくさん寝ることが入ってる。僕が知らないことばかりだ。


 お父さんやお母さんは言わなかったけど、いっぱいご飯を貰ってたくさん寝ていたから。僕にやり方を教えてくれたんだね。戻って来た広い場所で、猫さんから降りる。近くにある川を教えてもらって、お水を汲んだ。


 お鍋に水を入れて、小さな粒を両手で持つ大きさの袋で一つ足す。大きなお肉の片方はそのまま焼くから、猫さんにお願いした。僕とアガリは、近くにある草を摘むの。食べられる草をちぎって、お鍋に入れるんだ。香りがして美味しくなるよ。


 ご飯は猫さんと僕達で食べた。大きなお肉の塊を、猫さんは半分食べたんだ。捕まえたのが猫さんだし、体も僕より大きいからお腹にいっぱい入る。大人になったら大きなお肉を一人で食べるのかな。


 大人の僕がお父さんくらい大きくなっても、あんなに入らないかも。猫さんはすごいね。僕は猫さんのお腹に抱きつき、くるんと巻かれて眠った。夜のお空の下なのに温かくて、すごく気持ちよかったよ。

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