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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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51.亀さんが小さくなった

 僕はアガリに掴まって浮く。足を動かして、手をばたばたしたら、前に進んだ。これが泳ぐ、なの?


「泳ぎ方は浅い場所で教えましょう。ほら、ゲンブ殿が泳いできますよ」


 アガリに促されて振り返った僕は、亀さんが見つけられなかった。お名前はゲンブさんみたい。きょろきょろする僕の下に、やや大きな亀がいる。これ、あの亀さん? かなり小さくなっちゃった。


「この亀さんが、洞窟の亀さん?」


「そうです。あの洞窟の出入り口も、小さくならないと通れませんから」


 言われて考えてみる。洞窟の入り口は小さくて、大きな亀さんは通れない。甲羅は硬いから、無理だよね。でもどうやって小さくなるんだろう。


「亀さんは小さくなれるの?」


「普通の亀は小さくなりません。成長すると大きくなるだけです」


 ゲンブさんは特別な亀さんだった。小さくなれるから、洞窟を出たり入ったりする。ここまでわかっていればいいや。もっと大人になったら、詳しく教えてもらうの。


「うわぁ」


 亀さんが下から僕を押し上げる。甲羅に乗った状態になって、アガリと目をぱちくりした。両手で甲羅に手をついて、うわぁともう一度声を上げた。亀さん、ばたばたしないのに沈まない。僕を乗せても平気なんて凄いや。


「ゲンブ殿、助かります」


 アガリがお礼を言ったので、僕もありがとうと伝えた。首を伸ばしたから、そっと触れる。撫でていいのかな。嬉しそうにするから、いっぱい撫でた。さっきは大きくて届かなかったけど、今は僕が甲羅に座ってるから届く。


「ゲンブさん、ってお名前なの?」


「そうじゃ」


 小さくなっても話せるんだ! ぺたりと甲羅に張り付いて、頭にほっぺを寄せた。やっぱり冷たくてドラゴンの背中に似ている。でも鱗はない。手で撫でると、表面が動いた。


「鱗はないの?」


「ないな」


 やっぱりドラゴンとは違うんだ。僕が知らない種族の人はいっぱいいる。これから、お友達になれたら嬉しいな。甲羅を撫でながら、寝そべってそんな話をした。


 上からお日様の光が注いで、下は甲羅のひんやりがあって。だんだんと甲羅も温かくなってくる。滝の下から離れて、川になっている浅い部分へ下ろしてもらった。


 泳ぎ方をアガリから教わる。亀さんは泳いだり、魚を捕まえたり、自由にしていた。時々、僕のお尻をつついてくる。泳ぎ方がおかしくなると、ぽんぽんとされた。


「もう上がりましょう」


「どうして?」


「唇が青くなっていますよ」


 自分では見えないけど、唇を尖らせてみた。上を向けたら見えるかも。頑張っていたら、アガリが大笑いする。川から出たところで、鏡を貸してくれた。


 本当だ、青と紫になってる。外へ出ると、途端に寒く感じた。


「すっかり冷えてしまいましたね。ゲンブ殿も上がってくるので、こっちへ」


 川の浅い部分へ上がった亀さんは、捕まえたお魚を並べた。大きくて鱗が黒いお魚だ。


「せっかくですから、焼いて食べる準備をします」


 アガリは火をつけて、僕を近くに座らせた。火が温かくて、お日様で背中も温かくて。うとうとしながら、火を見ていた。

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