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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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47.新しいお家が増える

 朝起きたら、シエルが大騒ぎしていた。新しい枝が生えたんだって。昨日までなかったと言われ、窓から探す。すぐに見つかった。


 シエルのお家の隣に、新しい枝がある。生えたばかりで色が薄くて、柔らかそう。ここに僕のお家を建てると言われた。でも、僕はお家があるよ? お父さんとお母さんが寝てるお家と、ディーのお家。


「ここにも家を増やそう」


 シエルの仲間も集まって、お家を建てる相談を始めた。僕達が遊びにきたら泊まれるお家?他の人が泊まりにきても使えると思ったら、僕専用みたい。森人族の掟がどうとか、大樹さんの決め事とか。


 難しい話に首を傾げていたら、笑ったシエルがくしゃりと髪を乱した。


「心配しなくていい。ルンはこの大樹に気に入られた。だから家を建てる場所を賜ったんだ」


 昨日の白と赤のお花も「たまわった」の。今度も枝を「たまわった」から、お家を建てる。うーん、よくわからないや。でも嬉しいからお任せにした。だって、遊びに来るお家が増えるんだもん。


 今日はディーのお仕事があるから、時間がない。また今度ねと手を振って、ディーの背中に乗った。椅子ごと魔法で乗せてもらい、舞い上がるドラゴンの背で手を振る。


 来た時と違って、明るいから風景がよく見える。遠くまで緑が広がって、振り返ると大きな木の上が揺れていた。バイバイをする手みたい。目一杯手を振って、またねと叫んだ。


 ぐんぐん高くなって、下に白い雲が現れる。雲に僕達の影が写っていた。すると別の影が増える。


「ディー、誰かいる」


「ん? ああ、翼竜だな」


 翼竜は、人になれないドラゴンのこと。前にお父さんに聞いたから知っている。話せないし、動物みたいな生き物なの。翼を広げても、ディーより小さい翼竜が、片手くらいいた。


 一匹が僕に近づいたけど、ディーが唸ると離れていく。挨拶くらい怒らなくてもいいのに。そう思ったけど、擽ったい気持ちになった。僕を大事にしてくれているんだと思う。


 降りるぞと言われ、ぐっと紐を掴んだ。斜めに下へ向かうディーは、翼をぺたんと折りたたむ。速さがすごかった。白い雲を突き抜けて、小さなお家が大きくなる。ばさっと羽が広がると、急に遅くなって着地した。


「ありがとう、ディー」


 お礼を言ってから滑り降りる。待っていたアガリが受け止めてくれて、お礼のチューをした。駆け寄ったフィルが手を伸ばすから、僕も真似をする。アガリの腕から、今度はフィルの胸に移動だ。


「ただいま」


「おかえりなさい、楽しかった?」


「うん」


 白と赤のお花の話をしながら、お家に入る。入り口のところで、バラムにも挨拶をした。荷物を下ろしたディーは、アガリに仕事の話を聞いているみたい。すぐに来ないから、フィルとお部屋まで行く。


 僕が遊んだりするお部屋に着くと、すぐに侍女の人がお茶を持ってきてくれた。甘くて美味しいお茶は、ひんやりしている。


「ありがと」


「どういたしまして」


 侍女の人は笑顔で、僕もにっこりと笑った。美味しいお茶を飲みながら、ご飯の時間までバラムとフィルにいっぱいお話をした。

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