表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/90

42.シエルのお嫁さんと赤ちゃん

 すっごく頑張った。いつも寝る時間より遅くまで、起きていたと思うの。なのに、目が覚めた。


 ここはシエルのお家だ。木のお家の屋根を見上げて、僕はがっかりした。シエルに会いに来たから、ここにいるのはいいの。でも起きていたかったのに。


「起きたか、ルン」


「うん、おはよう」


 シエルに抱っこされて、お布団の上に座った。シエル達はベッドじゃなくて、ふかふかのお布団を床に敷いて眠る。昼間は畳んで片付けるんだ。僕の隣でディーが寝ていた。


「ディーは疲れてるの?」


「明け方まで飛んでいたからな。寝かせておこう」


「うん」


 お部屋が一つの木のお家を見回し、お嫁さんがいないと気づく。ご飯食べに下へ行ったのかな。シエルはひょいっと僕を脇に抱えて、木を飛び降りた。お腹の奥が、ぶわっとする。肌がぞわぞわして、すぐに着地した。びっくり。


 枝の上に降りたシエルは、僕を左腕で掴んで、右手は蔓を持っていた。片手でも平気なんだね。


「僕、歩けるよ」


「落ちたら大変だから、もう少し待ってくれ」


 ディーに叱られるとシエルは笑う。そっか、こないだも噴水に落ちたし、大人しくしておこう。また心配させるのは嫌だった。前に訪ねた赤ちゃんがいる人達のお家に入る。僕はお家に足を付けた。シエルと手を繋いで、カーテンのお部屋を覗く。


「あ! お嫁さんだ」


「ルンちゃん、ようこそ」


 おいでと手招きされて、ゆっくり歩いて近づく。急ぎたいけど、転んでお嫁さんや赤ちゃんにぶつかると困るよ。お嫁さんは赤ちゃんを抱っこしているみたい。小さな包みを抱いていた。


「赤ちゃん、寝てる?」


「まだ起きているわ、ほら」


 床のお布団にいるお嫁さんが、包みの中を見せてくれた。シエルと同じ茶色の肌の子だ。綺麗な金色の目だけど、髪の毛が少ない。ちょろちょろと生えてるだけ。緑の髪がふさふさしないのかな。


「……髪の毛は?」


「ふふっ、そうよね。これから生えてくるのよ」


 まだ増えている途中だった。赤ちゃんの時は、あまり髪の毛がないんだって。僕も同じだったのかな。そう聞いたら、多分ねと笑った。お母さんが起きたら聞いてみよう。


 赤ちゃんは起きているけど、泣いたりしない。じっと僕を見ていた。僕も見つめ返す。大きな目だな。


「うぁう」


 声を上げて、お嫁さんの方を向いちゃった。お乳の時間だと言われ、同じ高さの枝にある食堂へ移動する。先にご飯を食べちゃうみたい。ディーが持ってきたお土産に入っていたハムを挟んで、パンを食べた。


 木の実に穴を開けたジュースを飲んで、食堂に集まってる人とお話しする。木で暮らすシエルの仲間は、皆おなじ色だった。茶色い肌と緑の髪、金色の目。遠くから見ると、家族とお友達を間違えちゃいそう。


 心配を僕が口にしたら、皆は顔を見合わせた。それはないみたい。僕なら間違えちゃうと思うから、すごいな。シエルの説明では、木に暮らす一族は遠くまでよく見える目を持っているとか。ドラゴンも目がいいと聞いて、僕だけ違うのかも……と心配になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ