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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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41.約束がいっぱい

 ちゅーして、ようやく喧嘩は終わり。満足する僕の前で、二人は何か呟いている。そこへアガリがきた。僕が噴水に落ちた話を聞いたんだって。


「何をしていたんだ!」


 バラムを叱るディーに、僕は唇を尖らせた。もう僕が許したの。説明すればわかってくれると思う。


 僕が花籠が欲しいと言ったし、待ってる約束を破ったのも僕。一人で危ないことしたから、怒られるのは僕じゃないとおかしい。ディーは困った顔をして「わかった」と頷いた。


 アガリはくすくす笑って、バラムの肩をぽんと叩いた。


「お疲れ様でした。今後は気をつけてください」


「はい、申し訳ございません」


 このお話はここで終わり。シエルの奥さんのところへ行くのは、今日の夜から。摘んだお花を綺麗に飾らなくちゃ。花の籠は小さくて、その中に瓶が入っている。お花を差し込んで枯れないようにするんだ。それで大きな布に包んで、花を守るの。


 バラムが籠を支える。僕が一本ずつ差し込んで、右や左から確認した。ゆっくりと籠を回してくれるバラムのおかげで、全部確認できたよ。


「もう行っちゃうのね」


 フィルが残念だわと言いながら、僕を後ろから抱きしめた。お胸がぽよんと柔らかい。お母さんもよくやっていた。


「うんとね、シエルとお友達になったの。奥さんが赤ちゃん産んで、僕はお呼ばれしたんだよ」


 すごいでしょ! 胸を張って尋ねれば、僕を膝に乗せたフィルが素敵ねと微笑む。いい匂いがするフィルの髪が、さらりと僕に触れた。ディーの赤とは違う銀色は、お花の匂いがする。今の僕も同じ匂いがするんだよ。お風呂の後、同じ匂いをつけてもらったの。


「楽しんでね。それと帰ってきたら遊びましょう」


「ほんとう?」


 頷くフィルと約束をする。約束は破ったら罰があるんだ。絶対に守らないといけない。


 いつもディーやアガリはお仕事があるから、バラムしかいない。フィルも遊んでくれるのは楽しみ。そう伝えたら、ディー達が申し訳なさそうな顔をした。


「朝と寝る時は一緒だからいいの」


 一人じゃないから大丈夫だよ。


 ここからは忙しかった。まずご飯を食べて、荷物を用意する。ほとんどは用意してもらってあって、最後の荷物は花の籠だった。全部まとめて箱に入れ、ディーが背負う準備をする。僕の椅子も一緒に並んでいた。


 前より暖かい季節になったから、上着はいらない? こてりと首を傾げた僕に、空の上は寒いし夜だからと上着を差し出した。アガリが言うなら、寒いんだと思う。袖を通して、前を留めた。


 ディーは眠らないで飛ぶ。昼間はお仕事していたのに、眠くならないのかな。


 前回と同じように赤いドラゴンの背に乗って、皆に手を振った。バラムもアガリもフィルも、お留守番だよ。でも次はアガリと出かける。暗い空はお月様もいなくて、星も少しだけ。どっちへ向かうか見えないのに、ディーは方向を決めて羽を動かした。


 どんどん速くなる。下を見ても黒ばっかりで、よくわからなかった。ディーが道に迷いませんように、お祈りした僕はあふっと欠伸をする。頑張って僕も起きていよう。ディーが一人で寂しいといけないから。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 小人ドラゴンも眠いので、猫作者さんを自分の腹にくくりつけて仰向けで気流に乗りながら寝ます(´-ω-`)
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