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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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21.お嫁さんと約束したよ

 シエルのお嫁さんも一緒に、四人でお昼のご飯を食べた。お嫁さんが呼んでくれたの。お嫁さんはお腹が大きいから、あまり動けなくて。シエルが食べ物をいくつも口のそばに運ぶ。


 口を開けてディーに食べさせてもらう僕と同じだ。あーんで食べるご飯は美味しいんだよ。お嫁さんはそうねと笑った。もう少しで赤ちゃんが生まれるから、そうしたら遊びにおいでと誘われる。ディーを見上げると、頷いた。


「そのときは俺が連れてくる」


「うん! 僕、赤ちゃんに会いにくるね」


 約束して、ご飯の後で別れた。お洋服と毛布を包んで、下へ運ぶ。シエルが蔓を結んで、枝の上から放り投げた。慌てて覗いたら、今度はディーが慌てて僕を掴む。荷物は地面にぶつかる前に止まった。


 蔓は地面までより短くて、ぶら下がっているの。僕はディーの抱っこで降り、シエルは木を滑ってきた。お嫁さんは上で手を振る。僕もいっぱい両手で振り返したんだ。


 ドラゴンになったディーの背中に、シエルが荷物を積む。それから椅子を置いて、僕を乗せた。またねと手を振った僕と、ディーが浮き上がる。大きな木の周りを何回も飛んで、ディーは高い空へ上った。


 あんなに大きかった木が、小さく見える。ふわふわした雲を越えて、ディーはお日様の方角へ飛んだ。いっぱい飛んで疲れた頃、少し斜めになる。


「降りるぞ」


「わかった」


 魔法で落ちないから、安心して椅子に掴まる。斜めになるから掴んでる方が楽なの。雲を突き抜けて、森がどんどん近づく。大きな湖の上を過ぎて、山をまわり込んだ。見覚えのあるお家と、近づくドラゴンが目に入った。


「あれ! アガリだ」


「よくわかったな」


 だって、魔力の色も匂いもアガリだもん。ディーは赤い鱗だけど、アガリはオレンジ色なの。二人ともキラキラしている。他にも青い鱗のドラゴンが飛んでいた。


 ドラゴンって、いっぱい色があるみたい。緑とか黄色もあるのかな。黒いのもかっこいいと思う。お父さんは銀色だったよ。


 ぶつかる勢いで近づいたアガリは、手前でくるりと回った。僕の隣を飛ぶオレンジの竜から、おかえりと声が聞こえる。嬉しくなって、両手を離して振った。出かける時に使った広いお庭に降りる。木とか噴水とかない広場なの。


 お庭も周囲も濡れていた。屋根の上も濡れているから、雨が降ったのかな。それに木が何本か倒れていた。茶色いドラゴンが、折れた木を片付けている。


「嵐だったのか」


 荷物を魔力で下ろすディーは、僕も一緒に浮かせながら首を傾げる。まだ大きいドラゴン姿のままだ。魔法を使うときは、ドラゴンの方が楽なんだって。


 僕は椅子ごと降りて、よいしょと地面に立った。すぐにアガリが抱き上げる。ぎゅっと首に手を回して、ただいまの挨拶をした。ほっぺにチューもするよ。羨ましいと騒ぐディーにも、身を乗り出してチューした。でもアガリは僕を離さなくて、ずっと腕に抱いている。


「昨夜の嵐はさすがに酷かったので、連絡して正解でした」


 アガリから嵐の連絡があったから、帰りを一日遅くした。その話を思い出す。もし無理していたら、嵐で僕達はびしょ濡れだったかも。ありがとうのチューも、アガリのほっぺに追加した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 小人ドラゴンはシエルの家で寝ていた猫作者さんを甘噛みして無事に帰還。 猫作者さんも日向ぼっこ気に入ったので、定期的にシエルの家に突撃訪問。 この嵐、もしや荒れる嵐神小人が人間にキレたう…
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