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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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19.お嫁さんのお腹が大きい

 僕は枝の上を歩けないから、ディーの抱っこで移動する。この木に住んでるシエル達は、歩くのがとっても上手だった。蔓も使うけど、手足だけでも簡単に移動しちゃう。


 僕は真似しようとして、いきなり落ちた。すぐにディーが捕まえてくれたけど、心臓が止まりそうになったみたい。危ないからやめるね。ぎゅっとディーの服を掴んだ僕は、下の枝まで空中を移動する。羽を出して飛ぶディーは、ゆっくりと下の家についた。


 下の枝は上より太くて、ガッチリしている。上に板を並べて、落ちないように床も作ってあった。赤ちゃんのいる人が落ちると大変だから、皆で作ったんだって。お家はシエルのお家より小さい。中に入るとお部屋が作ってあった。


「産むのもここで行うんだ」


 お腹が大きくなって移動が大変になったら、この家に引っ越す。生まれたら赤ちゃんを抱っこして、また自分のお家で暮らすと聞いた。じゃあ、お嫁さんも赤ちゃんが産まれたら、シエルのお家に帰るんだね。


「おいで、ルン」


 部屋は分かれているけど、壁じゃなくてカーテンの布だった。天井から吊るした布を捲ったシエルの後ろから、ちょっとだけ顔を見せる。綺麗なお姉さんがいた。やっぱり茶色い肌と緑の髪で目は金色。


「こんにちは」


 頑張って挨拶したら、知らない言葉で返ってきた。ぱちぱちと瞬きする僕に、シエルが「ようこそ、だってさ」と教えてくれる。ありがとうと伝えて、お腹を撫でさせてもらった。赤ちゃんがすっぽり入ったお腹は、弾けそうだよ。


 中から破れちゃうことはないのか、不安でこっそり尋ねた。だって聞こえたら、お嫁さんも怖いと思う。ディーは僕の話を聞いて、大丈夫だと返事をくれた。僕も同じように、お母さんのお腹で大きくなったのかな。


 シエルを間に挟んで、何回か話をした。疲れちゃったのか、お嫁さんは少しすると横になる。元気な赤ちゃんが出てくるように、とお腹をたくさん撫でた。


 シエルのお家へ戻るのも、ディーの抱っこだ。シエルはお嫁さんとお話しして来るから、僕達だけ先にお家へ向かう。興奮して疲れたのか、僕も眠くなっちゃった。朝も早かったの。


「少し昼寝をしよう」


 一緒に寝るディーにぎゅっと抱きついて、目を閉じる。僕のお腹に毛布が掛けられた。


 起きたらご飯が並んでいる。運ぶところを見たかったな。そう呟いたら、ディーが今晩も泊まるから見られるぞ、と笑った。ディーのお家の方角のお天気がよくないから、今夜は飛ばない。明日のお昼を過ぎたら、お天気が戻って飛べるみたい。


 三人で一緒にご飯を食べた。ふと気になる。


「お嫁さんは一人で食べるの?」


「同じ妊婦と食べるから平気だ」


 シエルの言葉で、妊婦はわからない。首を傾げて聞いたら、お腹の大きな人だって。それをディーが言い直す。赤ちゃんがお腹にいる女性のこと? ちゃんと覚えておくね。頷いて、僕は食べ終えたお腹を撫でた。


 お腹大きいだけだと、僕も妊婦になっちゃうもん。赤ちゃんがいないから、僕は違う。大丈夫、覚えたよ。ぽんとお腹を叩いたら、いい音がした。

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