表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/90

15.今日は三人で寝ようね

 ディーのお仕事は、王様だった。お母さんも魔族の王様なんだよ。王様は部下の人が作った書類というお手紙に、いいよと許可する人だ。たまにダメなお手紙も混じっていて、ダメな理由を書いて返すの。お母さんが仕事をしているとき、隣で見てたことあるから知ってる。


 ディーはドラゴンの王様だけど、まとめてお仕事をしてきたんだって。これで明日から自由に動けると笑っていた。一緒にお出かけしても、怒られないんだね。


「アガリは?」


「お留守番だ」


 残念だな。でも、王様が出掛けたあとに誰もいないと困ると聞いた。アガリがディーの代わりをしてくれるなら、お土産を買って帰ろうと決めた。ときどき、お母さんが出掛けた時に買ってきたの。ほとんどは食べ物で、何回か人形やクッションだったりした。


「あのね、明日からアガリが一緒じゃないから……今日は一緒がいい」


 お願いを口にしたら、二人ともいいよと許してくれた。広くて湖みたいなお風呂に三人で入って、ご飯も三人で食べる。今日はお肉の塊が出て来て、アガリは尖らせた爪ですっと切った。真ん中の太い骨もさくっと切れるんだ。手を叩いて喜び、運ばれたお肉を小さく切って食べる。


 僕はあんな鋭い爪も、立派なきばもまだないけど。いずれは生えてくるのかな。お肉は柔らかくて、ちょっとお塩の味がして、ふわっとハーブの匂いがした。お腹いっぱいになるまで食べて、魔法で口の中を綺麗にする。


 寝室で靴を脱いで、右手をディー、左手をアガリと繋いでベッドに入った。僕が真ん中で、両側に二人が寝る。アガリがお家から持ってきた毛布をお腹に掛けて、おやすみなさいの挨拶をする。家族と同じだから、ほっぺでチュッと音をさせた。


 二人もチュッとして、眠るまでアガリが歌を歌ってくれた。優しい声で、すぐ眠くなる。もっと聴いていたいのに……そう思いながら目を閉じた。







 起きたら、僕は動けなくなっていた。両側からアガリとディーに抱っこされてるよ。僕が動こうとしても、全然解けないの。大人だから強いのかも。そのまま待っていたら、くすくす笑うアガリが先に「おはよう」とチューをした。


 慌てて起きたディーもほっぺにチューする。もしかして、二人とも起きてたの? 顔を洗って手を拭いて、ご飯を先に食べた。茶色い粒にミルクを入れて、蜂蜜もたっぷり。最後に果物も載せてもらった。


 食べ終わると、大急ぎで着替える。今日行くところは遠くて、急がないと夜までに着かないかもしれないの。説明されて、僕も急いで荷物を準備した。お泊りがあるけど、ご飯は向こうで捕まえるみたい。アガリが洋服を包む間に、僕は寝室へ戻って毛布を掴んだ。これも荷物へ入れてもらう。


「お菓子は持った、テントもある。昼食はこれで、ルンの服と毛布も……あとは何か足りない物があったか」


 指さし確認するディーへ、呆れ顔のアガリがもう一つ荷物を差し出した。


「兄さんの着替えです」


「ああ、忘れてた」


 からからと笑うディーは、ドラゴンの姿で行くから服を忘れてたんだ。一緒に笑って、ドラゴンになったディーの背中に乗せてもらう。脚のない小さな椅子が縛ってあった。アガリが準備した椅子は、絶対に落ちないと教えてもらう。


「危ないと思ったら、この紐を引っ張ってください」


 大きな輪になった紐の先を、ディーがぱくっと咥える。引っ張るとディーに僕が危ないと伝わるの? 荷物を僕の椅子の後ろにたくさん積んで、これも落ちないよう魔法で固めるんだ。こんなにたくさん乗せて、重くないのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 二人の愛が幼子を癒していくのですね。まだ両親の事を覚えてないから知ってしまうとまた暴走してしまうか心配です(´;ω;`) 小人ドラゴンは、猫作者さんを縄で縛って抱えて飛びます。 猫作者…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ