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【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


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13.大切な毛布がないの

 アガリは僕のお洋服を回収した。でも数が少ない。半分くらいかな。首を傾げて、お気に入りの小さな毛布がないことに気づいた。


「これくらいの、毛布」


「……っ、探してきます」


 薄いピンクのカバーで、いちごの絵が描いてあるの。両手で説明したら、慌てて探しに行ってくれた。帰ったばかりなのに、ごめんね。でも、あの毛布があるとよく眠れるんだよ。


「大好きな毛布なんだな」


「うん、お母さんが初めて縫ったカバーなの」


 お母さんは大きな力を使うのは上手だけど、小さい魔法は苦手だった。獲物を捕まえるのはできるけど、ご飯は作れないの。お洋服だって買ってきたり、お父さんが作ったりしたんだよ。でも、僕のお誕生日用に、特別に作ってくれたんだ。


 魔法だと上手にいかないから、自分の手で。僕は隣でそれを見ていた。指が傷になって、僕が泣いてもお母さんは諦めなくて。だからとても大切な毛布なの。作ったのはカバーなんだけど、気持ちいいから毛布も好き。


 アガリは探し物が上手だと聞いて、安心しした。今日はディーのお仕事が休みだから、僕とお屋敷を見て歩く約束をする。その前にお昼寝だよ。毛布がないけど、ディーの抱っこで目を閉じた。


 ドラゴンはお昼ご飯を食べないの。朝と夜だけ。その代わりにたくさん食べるんだ。お父さんもそうだったから、僕は知ってる。だからお昼なしで、おやつを食べるの。起きてすぐ用意されたお菓子を食べ、お茶を飲む。


 アガリはまだ帰ってこないから、手を繋いでディーとお屋敷の廊下を歩く。部屋を出たら、細長い廊下があるけど……普通のお部屋くらい広いね。ドラゴンで歩くこともあるから、広く作っているみたい。お部屋も運動できるくらい広かった。


 飾っている絵も大きいのと小さいのがあって、見て歩くと楽しい。天井に絵の描いてある部屋があって、ずっと見ていたら転びそうになっちゃった。ディーが抱っこしたので、その間にいっぱい天井の絵を見る。


「綺麗な絵だね」


「いろんな種族が描かれているんだ。あれはドラゴン、こっち側は魔族で……吸血種や巨人族もあるぞ」


 人間は描いていないみたい。絵に描かれた人は、皆、特徴があった。牙が立派だったり、ツノが生えていたり、羽が背中についていたり。爪がすごく長い人もいた。鱗のある人もいるんだね。あの人は腕がいっぱいあるし、耳が細長い人も。


 夢中になって見ていたら、いろんな種族の人に会わせてくれると言われた。ほとんどの種族の人はお友達だって。ディーのお友達はいっぱいで、羨ましいな。


「ルンはお友達がいないのか?」


「精霊の子がいる」


 精霊や魔獣の子は一緒に遊んでくれた。でも人の形で大きいお友達はいないの。しょんぼりしたら、ディーが首を傾げた。


「俺はルンの友達じゃないのか?」


「友達してくれるの?」


「ああ、光栄だな」


 こーえーは知らないけど、お友達だ。お父さんやお兄さんみたいなお友達。アガリもお友達になってくれるかな。尋ねたら、ディーはもちろんだと頷いた。そっか、僕がわかってないだけなんだね。


「精霊や魔獣に口止めしないとな」


 ぼそっと呟いたディーの言葉がわからなくて、聞き返した。


「ああ。せっかくだから精霊や魔獣の友達に会ってみたいと言ったんだ」


 そっか。今は違うお家だから、こっちにいるよと知らせなくちゃね。

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