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プロローグ

「──君にしか頼めないんだ、ミランダ……」

「ええ、愛する貴方の為ですもの。いいのよ、いくらでも頼って欲しいわ。この薬でご両親の病気が治るといいのだけれど」

「ああ……! なんて慈悲深い人なんだ。君に会えたこと、神に感謝するよ。落ち着いたらまた必ず会いに来るから……それまで、待っていてくれるかい?」

「ええ、もちろんよ! 愛してるわ、ベラルド」


 すらりとした体躯にサラサラの金髪の美青年は甘く優しく微笑み、ミランダと呼ばれた女性の手を取ると指先に軽く口付けた。

 薔薇色に染まった彼女の頬をするりと撫でると、名残惜しそうにしつつも踵を返す。

 受け取った薬の包みを大事そうに懐へ仕舞い、サクサクと下草を踏み付けながら鬱蒼とした森を後にした。


「──美しい私のベラルド……早く、迎えに来てね……」


 見送る魔女の頬の熱は、まだ当分引きそうになかった。

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