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安倍晴明物語☆~夢幻の月~  作者: 夢月みつき
第七章「晴明対炎獄鬼!最終決戦」
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第四十九話「最後の戦い」

晴明、美夕、道満、篁。四人は同時に異界から戻って来た。

元の世界に戻ると同時に止まった時間が動き出す。

炎獄鬼の身体が動くようになり、術者の伯道上人が構えるとともに異界への扉が閉じた。



「お師匠様。どうぞ、お下がりください…この戦いは、私達の因縁です」

晴明は九本の尻尾を揺らし、強く炎獄鬼の方を睨んだ。

道満、美夕、篁もうなずく。

「おお……お前達。何と、神々しい姿じゃ。そしてその、霊力!」

伯道は感動で、目頭が熱くなった。


この若者達なら、未来を守ってくれる。そう判断した伯道はうなずき岩陰に隠れた。

「どんな姿になろうと、この炎獄鬼が負けるものかあああっっ!!!」

炎獄鬼は翼を広げ吠えた。

「おっと! もう、お前の力は使わせないぜ?」



星神、篁が前に躍り出て強力な金縛りを掛ける。

「ぐっ、おのれ!」

顔をゆがめて怒りの念を込めて睨む、炎獄鬼。

「ここからは、一気に片を付けさせてもらう! ゆくぞ」

晴明達は炎獄鬼の四方に陣取り、霊力を高め始めた。


「地獄の炎の力よ。私に力を」

「地獄の風の力よ。俺に力を」

「地獄の吹雪よ、星の力よ。オレに力を」

「そして、神の神弧の力よ。俺に力を」



美夕は地獄の炎を呼び出して放った。

道満は地獄の竜巻を呼び出して放った。

篁は地獄の吹雪をまとった、流星群(りゅうせいぐん)を放った。


それが一つに結集して、巨大な光の矢になり、炎獄鬼に襲いかかる。

『くそーっ! ぐああ!』

強大な力に体が叩き付けられる。


晴明は、夢幻の月と神弧の力を両手にためた。

「夢幻の月の精よ! 神弧よ、俺に炎獄鬼の野望を打ち破る力を!精霊の力よ、神の力よ。この吹雪刀に宿りたまえ!」

「炎獄鬼、これで終わりにしてやる」



晴明は吹雪刀に霊力を宿して振り下ろした。

『あぎゃあああ!』

炎獄鬼は、完膚なきまでに攻撃され吹き飛んだ。




◇◆◇

――静寂。

満身創痍(まんしんそうい)の炎獄鬼は、元の鬼の姿に戻り倒れている。

「晴明! とどめを刺すのじゃ!」

伯道が語気鋭く叫ぶ。


ドクン!


晴明が、炎獄鬼にとどめをさそうとした瞬間。

美夕は、青ざめて声も出なくなり、心臓が強く脈打ち止まるかと思った。

父が母を殺めたと思っていた頃は、父を殺めなくてはならないと覚悟をしていた。しかし、今の美夕は父にも母にも生きていてほしい。罪をつぐなってまた、一緒に暮らせたらと思っていた。



どんな親でも美夕にとっては、たった一人の父だと気づいたのだ。

「父様を殺さないで。晴明様!」

美夕は涙を流して、炎獄鬼をかばった。

「しかし、良いのか?美夕!」

「矛盾しているとは思います……でも、お願いします!こんな父でも、私のかけがえのない父なのです。私が必ず償わせますから!」

「そこまで言うなら承知した。私も手伝おう」



晴明は美夕の言葉をくんでうなずいた。

炎獄鬼に、罪を償わないかと語り始めるが伯道上人、篁、道満が許さなかった。

そこに油断がうまれ、起き上がった炎獄鬼は美夕を人質にとる。

どこまでも、冷血で卑劣な鬼なり、炎獄鬼。


「くははは! この程度で倒されるか!子などいらん! 俺には美朝さえ、いれば良いわ!」

「炎獄鬼、何て悲しいひとなの。私たちは、血の通った人間です! あなたとは違う!」

美夕は、炎獄鬼に炎を放ち隙が出来た瞬間、晴明は走り抜け、美夕をかっさらった。

次回は、いよいよ最終章です。

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