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安倍晴明物語☆~夢幻の月~  作者: 夢月みつき
第七章「晴明対炎獄鬼!最終決戦」
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第四十二話「霧の中の小野篁」

篁は、霧深い中を歩いていた。

「ここは、炎獄鬼の霧の中か……」

晴明や美夕達は無事だろうか、早く合流しなければ。

うん?幻術解除はできないようだ、やっかいだな。


そういえば、冥府の通信で、風獄鬼が炎獄鬼にすでに殺されていたと聞いたな……

道満……あのお人よしは今、どうしているだろう……


赤毛の猫が浮かび上がった。

おっ、晴明のとこに初めて行った時のオレじゃないか。

ああ~この後、晴明が齢十になった頃。妖弧の力が暴走して

変化を解いて、助けに入ったんだっけ。


あいつは未だに自分が、罪を犯したって思っているようだが

まあ、この戦いが終わったら、お前に話してやるよ。

お前は、罪人じゃないってな!待ってろよ。晴明!


篁と雪花が現れる。

チッ、雪花との記憶まで。あのヤロー、とんだゲス野郎だぜ!

「おまえのことが好きなんだ、雪花。オレと逃げてくれ!」


篁が雪花に駆け落ちを持ちかける。

雪花が悲しそうにまつげをふせる。

「いけませんわ、篁様。わたくしは地獄の鬼、あなた様は閻魔様直属の官吏……。地獄の掟を犯してしまいます!」

もう少しのところを閻魔様の部下にとらえられ、オレと雪花は牢屋に入れられた。



◇ ◇ ◇


その夜、炎獄鬼が暴動を起こし雪花を牢屋からさらった。

雪花は炎獄鬼、風獄鬼に協力して地獄の官吏や役人達を殺害し、地獄を脱走した。

オレは牢屋から出され、閻魔様に炎獄鬼、氷獄鬼、風獄鬼の抹殺を命じられた。

「やめてくれ! オレは雪花を殺したくない!」

篁の目の前が真っ暗になった。


こんなはずではなかった。まさか愛する者を、

雪花をこの手で殺める日が来るなんて思いもしなかった。

これもさだめというものなのか!

いや、違う! あんなに美しく優しい女が、理不尽に殺されていいはずがない!


オレは雪花のためなら、掟を破ってもかまわないと思っていた。

雪花、雪花……雪花!オレが今行ってやる。

だから、もうその手を罪で汚すな。一緒に生きよう。今度こそ。


篁様、わたくしはここです。

どうか、しっかりなさってくださいませ……

雪花の魂が呼びかける。

足元の地面が崩れ、篁はまっさかさまに落ちていった。

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