表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/11

第6話「帝国闘技大会・参加」

 帝都。闘技大会会場。この闘技大会は、デラル帝国の皇帝主催で行われるものだった。そのため、城内の練兵場で行われることになった。




 城壁によって周囲は囲まれている。練兵場の周囲のみならず、城壁の上にまで観客が押し寄せている。闘技場の舞台は、芝草が切りそろえられている。




 普段は、一般人は城には入れなかったから、貴重な体験だった。




「まだまだエントリーを受け付けておりまーす。腕に自信のあるかたは、ご応募くださーいッ」




 と、メイド服を着た女性が呼びかけていた。城の女中か何かだろう。灰色の衣服に純白の前掛けをしている。それが、女中の正装だ。雑踏にモミクチャにされながらもケネスは、なんとか応募を完了した。




「あれ、お前も闘技大会に出るのかよ」

 と、知人たちに声をかけられた。




 別段親しくもないが、冒険者としてよく顔を合わせる相手だった。




「Fランが闘技大会に出るだなんて、ボコボコにされないように気を付けろよ。原則禁止とはいえ、殺されるかもなー」

 と、はやしたてると、冒険者たちは立ち去った。




 屈辱的だが、この手の揶揄にはもう聞きなれていた。




「貴様。冒険者をやってるのか」

 と、ヴィルザが意外そうに尋ねてきた。




「言ってなかったけ? まぁ、Fランなんだけどね」




「ダメダメであるな」

「うん」




「しかし、貴様がダメダメなのは今日で終わりだ。この闘技大会で優勝すれば、周囲の者が見る目も変わろう」




 励ましているつもりなのか、ヴィルザはそう言った。




 ヴィルザの言葉はたしかに、ケネスを鼓舞した。魔神のチカラはホンモノだ。この目で確認したのだから。ケネスが魔法陣を展開することで、そのチカラを発現することが出来るなら、怖いものなしだ。




「でも、チカラは加減してくれよ。さっきも言ってたけど、何をしても良い闘技大会とはいえ、殺すのは原則禁止だからな」




「了解した」




 闘技大会がはじまった。

 ケネスは控室から、大会の様子を見ていた。闘技大会は1対1のトーナメント形式になっている。予選はいくつかのブースにわけられるが、本選になると練兵場をまるまる1つ使っての1対1となる。




 さすが帝都主催の闘技大会なだけあって、有名な武闘家や魔術師も多く参戦していた。そういった名だたる人物が出場すると、会場が「わーっ」と沸き立つから、控室からでもすぐにわかる。有名人の場合は予選であっても、練兵場全面を使って行われるようだった。




「うー。緊張してきた」




 Fランのケネスは、規模の小さい闘技大会にも参加したことはない。これが処女出場になる。




 控室にも、尋常ではない空気に満ちている。石造りの部屋だ。会場のほうを見ることが出来るように、大きな窓があるが、鉄格子がはめられている。まるで牢屋にでも閉じ込められた気分だ。




 大会に出場する選手たちが、待機できるほどの広さはある。が、窒息しそうなほどの閉塞感を覚える。




 あらゆる武闘家や魔術師たちが、密集しているのだ。大会に参加するからには、腕に自信があるのだろう。彼らの発する闘気のようなものが、空気の濃度を濃くしてるように思われた。




 ケネスは場違いにもはなはだしい。

 年齢的にも、若すぎる。




「落ちつけ。別に貴様が緊張する必要はない。貴様はただ魔法陣を展開するだけで良いのだから」




「うん」

 これだけの人がいるのに、誰1人ヴィルザの存在に気づく者はいなかった。




 独り言については、別に問題はない。

 魔術師の中には、魔法通話を行う者もいる。1人でベラベラしゃべっていても、軽いイチベツをくらうだけだ。




 騎士が控室に入ってくる。

 エントリナンバーが読み上げられる。




 ケネスの出番だった。




「よし」

 頬をパンパンと叩いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ