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勇者爆誕

第二路

~勇者の旅立ち~



「え?つまりそれはどういったことなんでしょうか?。というよりまずここは一体……」


俺は恐る恐る聞いてみた。


すると魔王が語り始めた。


「はい、ここはあなたがいた世界とは全く別の世界。つまりは異世界です。そしてここは我らが砦、魔王城にございます。」


「あ~なるほど~。あの~何故僕は魔王城にいるんでしょうか?。」


「なぜと申されましても、貴方が適正検査に見事合格したからです。」


「僕が受けた検査は勇者になるためのものだったはずなんですが……。」


そう言った途端、魔王は涙ながらに俺に迫ってきてまた語りだす。


「そうなのです。我らを、どうか魔物たちを助けてください。」


「え?いや、助けるとはどういうことでしょうか?だって貴方は魔王様、むしろ征伐される側では……。」


「そう、かつては我々魔王一族、つまり魔物が支配していました。それはそれは我々は悪行の限りを尽くしました。」


「自分で言うかね、普通……。」


「しかし、この世界の人間族はある対策にでたのです。

彼らは我々と同じように異世界から勇者を喚び出したのです。

そして異世界から来た勇者たちは人間国の古より伝わりし武器の封印を解き、伝説の武器を手に我々に挑んできたのです。

伝説の武器を使われてしまってはなすすべもなく我々は人間との戦争に負けました。」


「いや、ちょっと待てぃっ。そして世界には平和が訪れたんじゃないのか?!。」


「はい、訪れましたよ。……人間にはね。」


魔王がそう言うと周りの取り巻きたちもどこか悲しげな顔をする。


「人間にはってどうゆうことだよ?。」


気がつくと俺はタメ口になっていることすら忘れて話を聞いた。


「そこまではよかったのです。ですが彼ら、人間の暴徒化が始まりました。

勇者たちはこの世界の各地に自分たちの領土を得ました。さらにその勇者の武器のせいでほとんどの魔物は妖力を失ってしまいました。

勇者たちの力に安堵しきった人間たちは次々に魔物たちを捕らえたり、その地から追い払ってしまいました。」


「まあ、でも今まで悪行してきたんなら当然と言えば当然の報いだろ。」


「問題はここからです。

彼らは魔物たちを裁判にかけました。

上層部の魔物たちが有罪になるのは当然かもしれませんが、人間たちはなにもしていない、戦争に参加もしていなかった魔物たちまで有罪にし次から次へと滅されていきました。

さらに人間たちの悪行はそれだけに留まらず、妖力を失ったことをいいことに罪のない魔物に暴力、乱暴、あげくの果てには惨殺もし始めたのです。

そして魔物を捕らえ奴隷制度まで。

我々はたまらず各地を逃げ惑いようやくこの辺境の地、ヘルエクスにたどり着き、生き延びました。」


「そこまで暴徒化すれば勇者だって止めようとするだろ?それで、勇者の対応は?。」


「……見て見ぬ振りです。」


そう魔王は涙ながらに語った。その涙は嘘をついているようには見えなかった。


「ならあんたは魔王ならなんでなにもしなかった。あんたも力を失っちまったのか?」


「私も勿論戦いましたが中でも一番と称される勇者と戦い力を使い果たしてしまったのです。」


「で、ここのヘルエクスとやらは安全なのか?」


「はい、ここは辺境の地ゆえ、人間たちは毛嫌いしますし、ここはほとんど日の光が当たらないので人間には住みにくい環境なのです。」


「話しは大体分かった。けど……もとはといえばあんたらが人間の土地を支配したからそうなったんだろ。」


俺は魔王を睨みつけた。


「いや、それには色々深い事情が……。」


あとに続けて何か言おうとした魔王の言葉を遮るように俺は言った。


「とにかく、俺は魔王サイドの手助けなんてする気はない。

こんな勇者ならこっちから願い下げだ。もといた世界に帰してくれ。」


「それは無理です。」


魔王のあっけらかんとした態度に俺は腹が立った。


「無理ってどういうことだよ。?!」


「一度召還したらもとの世界に帰えれるのは召還した者の願いを叶えた時ですから。」


「おいっ、そんな話聞いてないぞ。!」


「いえ、最初の貴方が開かれたサイトの注意書きのところにちゃんと書いていたはずですが。」


「そんな馬鹿な。」


「ほらここに。」


そう言うと魔王はサイトをコピーした紙を取り出し俺に見せてきた。

そこには、端の際のところに見えるか見えないかほどの小さな文字で…確かに書いてあった…。


「ねぇ?ちゃんと書いてあるでしょ。?」


「……ねえ?っじゃねぇよ?なにこれ!完全に詐欺じゃん。詐欺師がよく使う手口じゃん?!悪魔かお前らはっ。」


「まあ、種族的には悪魔ですけどね。」


「そう言うこと言ってんじゃねーよっ。

つまりなにか、俺は魔王じゃなくて、勇者を全員討伐するまでもとの世界には帰れないってことか?!。」


「まあ、そう言うことになりますかねぇ。

正式に言うとあなたにやって頂くことは、これから先、この世界にある勇者が支配している土地の勇者の(ダンジョン)に向かい討伐して領土奪還をして頂きたいのです。

我らが勇者様。」


確かに俺は勇者に成りたかった。

でも魔王どもの正義の味方?

俺はそんな勇者に成りたかったわけじゃない。

でも……


「そうしないともとの世界には帰れないんだろ?。」


「と言うことは、やって頂けるのですね。?!」


「……あー分かったよやってやるよっ。

やりゃいんだろやりゃあ。」


「おー我らが勇者がついに誕生したぞー。」


魔王がそう言うと周りの化け物どもが歓声の声をあげる。

もう俺は開き直るしかなかった。


「そこで勇者様、旅立つにあたり我々からのせめてもの贈り物を。」


「あーそっか、旅立つと言えば武器とか金だよなやっぱ。」


「はい、なのでまずはこちらを。」


魔王は部下に持って来させた服を俺に渡した。

その中には銀貨のような物が数十枚入っていた。

おそらくこの世界の通貨なのだろう。


「そして次は武器にございます。」


「おー来た来た。やっぱ勇者といえば武器だよねえ。」


いくら魔王の勇者とはいえどこればかりはテンションがあがる。」


「では、いくつかご用意させて頂きましたので次の中から好きな武器を一つお選びください。

まずはこちら。

魔の大剣バルムンクにございます。」


俺はそれを見て一気にテンションが下がったのを感じた。

何故って……勇者とは思えないほど厳つく禍々しい大剣、色黒の大剣に赤い紋様のような装飾。


「こちらは掘り出し物ですよ。

なんせこの剣は数多の人々の血を浴び、それを吸収してさらに力を強めていく。」


「いや、勇者にあるまじき武器だよっ。

何?数多の血をって、どう考えても悪役の武器だろそれ、大体そんなでっかい大剣使いこなせないからね?却下だよ。」


「そうですか?掘り出し物なんですがねえ?。

ならこちらで。

禁断の魔道書、ダークカリバー。」


「禁断なんて付いてる時点で却下だよっ。禁断なんて危ないこと極まりないよ。」


「えーそうですか。贅沢な御方だなぁまったく。」


「贅沢とかそういう問題じゃないから。」


「ならこちらで最後ですよ。

こちらは本当に素晴らしい武器ですから。

冥府の番人から授かりし。」


「却下っっっ。」


「いやしかしこれも却下となりますと。」


「もう別に檜の棒とかでいいよぉ。

あとは自分で調達するから。」


「そうですかぁ。あとこれを。

この世界一帯の地図にございます。」


「はぁ、もうなんでもいいよ。

とりあえず行ってきます。」


もうどうでもよくなった俺は早くここから出たいという気持ちでいっぱいだった。

ここにいると疲れそうだ。


「あーそれから勇者にもう一つ。

家来を一人選らんで頂きたいのです。」


「けらい?

来たーーー。」


勇者といえばもう一つの王道が家来だよ、パーティだよ。そして……超絶美少女だよ。


「しかし残念ながら我々魔王サイドに付いてるくださる家来はなかなかおらず、なんとか見繕って来たのがこの三人でして。

さあ、どうぞこちらへ。」


そうして出てきた三人。

だが、やはり……まともじゃない。

一人目は大柄のまるで巨人のような……鬼。


「こちらは我々の部下の一人でして。

力は百人いや、千人力ですよ。

まあ若干その……男に惚れることがありますがそこはご愛敬ということで。」


鬼がこちらを見て顔を赤らめる。

そして魔王の笑顔がまたムカつく。


「要らねーよ。てか人間でもないしだいたいそんかその道の人なんか連れ歩いてたらダンジョン着く前にそいつに襲われるわっ。」


そういうと鬼は残念そうな顔で帰っていった。

なんで悲しげなんだよ。少し期待でもしてたのかよ。


「仕方ありませんね、ならこの方なら。」


「どうせなら女性がいいよ。」


俺は欲望をむき出しに言った。


「大丈夫です。ちゃんと女性ですから。

こちらへ。」


そして現れたのは……ただの老婆だった。


「いや、女性とは言ったけどっ。」


「先ほども申しあげた通り我々に付いてくれるのはこれくらいが限界でして。」


「あ、何?飯?ん~飯ならさっき食べてへっぐしょんっ。」


くしゃみとともに入れ歯が宙に舞う。


「まともに耳も聞こえてないじゃないか。

絶対戦闘できないだろ。

Lv.100になっても戦闘能力ゼロだろ。」


「へぇ?何?お前を抱きしめ離さない。?

ダメですよ、勇者様ぁ。」


どんだけ都合のいい耳してんだよ。


「却下。」


老婆は去っていく。

そして去り際に

勇者様、あ.と.で、むふん。


何が後でだ。

もう嫌だ、心底帰りたい。


「なら次で最後です。

こちらへ。」


そして来たのは……普通の少年だった。鼻から鼻水垂れてるけど。


「勇者様、僕で良ければお役にたちますよ?」


「彼はまあ、普通の人間の少年ですな。

これといって能力もありませんが。」


「もう、その子でいいよ。」


「そうですか。なら彼をお供に付けましょう。

それでいいかね?」


「はい、魔王様。

チップと申します。どうぞよろしく。」


「チップくんね。

はいはい。……行こうか。」


「では勇者様、行ってらっしゃいませ。

どうかご無事でーー。」


そして俺は大量の魔物たちに見送られながら旅に出たのであった。


















「魔王様~。」


「どうした?」


「大変なことが分かりました。」


「大変なこと?」


「先ほど旅立たれた勇者様なのですが

勇者適正検査第一位の者と……

同姓同名の人違いでした。」


「……嘘~。で、じゃあ彼は何位なの?」


「3376位です。」


「やばくね。?」


「はい……。」

































第二路は書いてたら長くなっちゃいました。

こんな感じでコメディ要素多めでいきます。

初期設定がまだいまいち掴みにくいと思いますが次話でもう少しくわしく説明があるのでそこで分かってくださると幸いです。

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