憧れのコミケへ
コミックマーケット…一般的にはコミケと呼ばれる、同人誌即売会。そこは、アニメやゲーム等の様々な同人誌が多く存在し、様々な人が訪れる。(一部の者からは『戦場』とも呼ばれているらしい)
オタクとは、一般的に嫌煙されがちだが、何故なのかわからない。好きなものに一生懸命であり、又、其処ら辺の人よりも節度をわきまえている。行きすぎた人達も居るが、それは極一部でしかない。何時からかは知らないが『オタク=キモい』が根付いてしまっている。その為、僕もオタクで在ることは、友人や親に隠している。
そんな僕が、憧れだったコミケに来ることが出来たのだ。
この僕、白島務がここに来るまでの道のりは、つらかった……。
親には友人と遊びに行くと伝え、遊びに誘われた友人には親と出掛けると伝え、僕の所属する剣道部の顧問と部長には大事な用事が有ると伝え休み。近くの本屋にはカタログが置いて無いから、秋葉まで買いに行き。今まで入れていたバイトのシフトをコミケの為に倍に増やし……
あぁ、血の滲む様な思いをして、やっとビッグサイトに着いてみれば…………
恐ろしいくらいの長蛇の列。いや、本当にすみませんでした。コミケの混み具合舐めてました。既に列で圧死しそうな勢いです。というか、何か一人で来ると、寂しい………、でも、仕方ないか。誰にもオタクと明かしていない以上、誰かを誘うなんてことは出来ないし。
そうだ、時間を確認して気をまぎらわそう。(まぎらわれるかわからないけど…)
時計は、8時30分を示していた。
あぁ、まだまだだなぁ~~~。
念のために残金確認しておこう……って、あれ?財布が…、無い!?
え!?嘘だろ?そんな!今朝家を出るときはしっかり確認したのに、まさか取られた!?……………リュックの中に入ってました……。えっと、残金は……。3万5千円だな。うん、これだけ有れば問題ないはずだと思いたいなぁ。
…………………………、やることがない。さっきまでは少し進んだりしていたけど、完全に止まった。しかも目の前に最後尾って札が有って、僕より3列前の方は人が居なくて、3,40メートル位先にまた列ができている。コミケのカタログを見てビッグサイトの構造覚えようと思ったけど、そんな事したら迷惑になりそうだし……………、ん?待てよ?さっき並んでるときチラホラ居たけど、コミケのカタログの一番始めに付いている配置図って、剥がせるのか?………、やってみるか。
コミケのカタログは、よく見てみると、閉じている方にミシン目が有り、剥がす事が出来る。しかし、剥がした配置図を落としてしまうと、自分の記憶力で対処するしか無くなってしまう。
ちょうど務が西棟と、東棟の地図を配置図を剥がしていると、9:00を回り、少しずつではあるが、変化が現れた。コミケのスタッフが慌ただしく動き始めたのだ。(それよりも前から忙しそうだったけれど…)
そして、9:30をすぎ、9:45になると、徐々に前の列が動きだし、務の居る列も動き出した。
や、やっと動き出した。これまでが長かった………。来年からは暇潰し用の何かを持ってこよう。
務がそんな事を考えながら進んで行くと、10:00となり、コミケが始まる。しかし、務が会場に入ることができたのは、開場してから20分後だった。
20分遅れてしまった。だけど…、遂に、遂に念願のコミケに来ることが出来た!
どうしよう、ヤバい興奮が止まらない!あ!あれは、艦〇れの、紙袋!それに東〇と、ごち〇さも!あれ?でも、ごち〇さってアニメだから昨日の筈じゃ……?紙袋は有るのかな?まぁ良いや、それよりも、まずは西棟の艦〇れ同人誌から攻めるか。
すると、コミケのスタッフが、立ち止まっているつも務に話しかけてきた。
「あの、お客様。申し訳有りませんが、立ち止まられてしまいますと、回りのお客様にご迷惑がかかってしまいますので…」
「あ、す、すみません。西2が何処に有るか解らなくなってしまいまして。」
「西2でしたら、そちらのエスカレーターに乗って頂いたら直ぐに解りますよ。」
「有難う御座います。すみませんでした。」
「いえ、どうぞ楽しんでいってください。」
「有り難う御座いました。」
危ない、余りの素晴らしさと壮大さに気をとられていた。
えっと、西2の行き方は、エスカレーターに乗るんだよな。
あった。ここからが本当の戦場か、覚悟を決めて、冷静に行かなければ、確実に殺られる。………………よし!行くぞ!