少女は愛されていた
朝目が覚めた。
「おはよー!」
隣で寝ている鳥さんに挨拶をして、ご飯をあげた。
次に私は着替えるのです
お気に入りのパーカー。黒色に赤のラインが入ってて、男の子みたいな、かっこいいやつ。それにジーパンに足を通した。
肌寒い今日は着替えも億劫だなぁとか思ったりした。
そして、顔を洗って寝癖を直した。
ショートカットの髪の毛はよく跳ねる。
「完璧っ!」
独り言になる言葉はいつも広い家に鳴り響いた。
「何しよかな。」
家で飼ってる小鳥を見て、触れて、温かさを感じた。一緒にお昼寝とか、ご飯も食べたなぁ。
隣の家から、近隣の親子が楽しそうに遊ぶ声が聞こえた。
「楽しそうね。」
自然と笑顔が零れた。同時に頬に暖かいものが流れた。
「…?」
それが何かだなんて私には分からなかったの。
だって、その瞬間に家を飛び出してたから。
とにかく走って、見慣れた風景を見て、走って、走った。
暖かな光が漏れ出す家の電気。声。
息が切れてもとにかく遠くに走ってみた。
「はぁっ……はぁっ!」
息ができなくて、座り込む。
「えへへ」
笑い声がでてきた。なんで笑ってるのかな。
なんで?楽しくもないのに。楽しいってどんな感じなんだろ。
「ここどこだろ。」
周りを見渡しても知らない風景。
でも、今の私にしたらとても有難かった。
誰もいない。静かなところでした。
まるで、最初から私は一人ぼっちで、温もりなんて知らない、孤独な女の子とかいう錯覚をしました。
でも、それはとても悲しいことでした。
その中で少女は物思いに耽りました。
なんで、皆、嘘つくんだろう…好きだよ?
ねぇ、好きって、いつまで保証が届くの。
いつまでの期限で、どこまで信用したらいいの?離さないで…好きって言うなら私のモノになって。私を1番に見てて。
どんな友達でも、いつか私を嫌いな目で見てくる。
いつかは裏切られる。手を繋いだら、暗いところにほおり投げて、出れなくしちゃうんだよね。
もう勉強だって、頑張りたくない。どんなけ頑張っても、馬鹿にされる。
「今日は、こんなけやって!全部丸になったの!あ、でもね!ここは間違えちゃって……」
確か、ママにそんなこと話したな。
この後、できて当たり前。間違えるお前がおかしい。
そのあとも、沢山勉強した。学校で、100点とって、褒められたかった。抱きしめられて、頑張ったねって。それだけで、頑張れたはずなのに…。
言葉だって、汚いや。責任なんてみんな知らないもん。自分勝手で、汚くて、私のことを、キモいって、死んじゃえって。だから、殺して?って、包丁を握らせて、迫ってみたら、化け物っ!って逃げた。
なんで、私の陰口ゆって、自分が言われたら、私に助けを求めてくるの…突き落としたくて、殺したくて、消したかった。なのに、助けてしまった私はなんなんだろ。
「大丈夫。私がいてる。そんな言葉聞かないで。」
汚い言葉なんて嫌い。大事な人を壊したあの言葉。目の前で彼が死んだ、あの幼い記憶。
それから、何度も抱きしめられてきた。
その度に捨てられる恐怖と、乾いた満足感を抱きしめて。
それから、すぐに私は壊される。
ぐちゃぐちゃに、立ち直れなくなる。
その度に泣いて自殺を止める彼女がいたな。
「なんで死ぬのはだめなんだろ。」
死ぬのなんて簡単よ。密室に火を炊けばいい。
電車や車や水、高い所から身を投げるだけ。
包丁をお腹にさして抉ればいい。
紐を括って、首を絞めたり、ゴミ袋で、息を止めればいい。
睡眠薬沢山飲んで、死ねばいい。ヘリウムガスを吸って!動脈きって……あぁ……死にたい…
学校から帰って、笑顔で大きな声で「ただいま!」
誰もいない暗い家。お腹がすいた私は冷蔵庫を開く。
「何も無い…」
晩御飯の作り置きのメッセージは、1ヶ月前のやつ。
大事な人が幸せで、楽しくてそれだけでいいの。
私は願います。幸せでいて……そこに私はいらないから。
信頼ってなんですか。頼って来いっていわれても、いつか君は私を捨てるでしょ…
怖い。私は、相貌失認症で、人の顔を判別できない。いつか、忘れる君の顔を私は覚えてられるの?その口癖も声も、話す時の癖もなにもかも。
もしかして、捨ててるのは私なのかな。
失笑した。
笑うってなんだろ。無理に顔の筋肉を動かして、誰かを楽しませれば私は満足ね。
泣くって何?辛いって…心が締め付けられて、苦しくて。泣くもの。
なのに、心が苦しいだなんて思えなくて、ただひたすら涙を流すだけ。
なんで産んだの?なんで、なんで、なんで、いつもいつもいつもいつも…
そのまま、眠りについてしまった。
目が覚めると真夜中で、あの日を思い出す。
屋根裏に3日も閉じこめられて、痩せて、死にかけたあの日。あの時。
溝に落とされて、出てこれなくて、怪我をしたあの日。
怖くて仕方がなくて。
助けを求めようとスマホを取り出す。
彼の名前を一目散に探して、素早く「助けて」
と打って、消してしまう。
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もの音が聞こえた。
「…誰?」
「いた…見つけた…」
手を差し伸べられる。そこにいたのは、泣き顔をこらえた彼の姿でした。