表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生太平記  作者: クマはんたー
一章
20/32

20 自己紹介から始める戦後処理

 未だに機嫌が悪いクリエに睨まれて、直ぐに座って謝る。謝罪は大事だよ? 早ければ早い方がいい!

 さて、どんな状況か、と言えばテーブルにオレとクリエとヒャウがつき、ヒャウの後ろには薄翠の髪をしたエルフエルフした美人が立って控えている。

 ダイナは作りかけの夕飯に取りかかって貰いつつみんなに茶を出している。

 隣の居間の襖を開けきり先程戦闘した黒装束の1人が畳に座ってこちらの話を聞いていた。

 もう1人は外で倒れている2人を探しに行ってまだ帰ってきてない。


「あー、とりあえずまだ全員は揃ってないけど、改めて。自分は『日本ひのもと はじめと言います。こっちはクリエ、お茶出ししてくれてるのがダイナで──」

「ひ、の、も、と、ダイナです」

「お、おう。日本 ダイナ。こっちは今のところこの3人でこの場所を借りつつガロウさんを待っている、と言う状況ですね」


 なんか、ダイナが変なところで推してくる。言うこと言ってスッキリしたのか、パタパタと台所へと戻って言った。すると、ヒャウは怪訝な表情を浮かべ問うてくる。


「今のところ3人?」

「そう、今のところ」


 クリエの部屋にはアレがある。こう言っておけば急に人数が増えても大丈夫だろう。


「はじめには、あとどれくらいの仲間がいるのだ?」


 んっ? ヒャウが妙に突っ込んでくるな。まあ、自分(親)の敷地に得体が知れない者が増えるかもしれないのだから当たり前か。


「まあ、増えても2、3人ですよ。他の地へと散らばる家族です。とは言え他の地で家族を増やしているかもわからないので、断定は出来ませんが」


 既に全員いるようなものだから増えはしないのだが……。何でも決めつけると良くないしね!


「家族を、増や、増やせ、でも……子供とか……」


 台所の方から何やらぶつぶつ聞こえるが、何かを炒めてるような音に紛れて聞こえない。

 まあ、そこまで変なことは考えて──ないよね?


 実は先程の戦いのおかげか、魂のポイントがだいぶ増えたのだ。今持ってる数値と欲しいスキルなんかも合わせて、後でクリエに相談しようと思う。


 さて、こちらの簡単な紹介は終わった。次はヒャウ側だ。


「ヒャウ様、今後もよしみを繋げたくは思いますが、これからのことも考えてそちらの方々をご紹介いただければ、と」

「うむ、まだ数人いないみたいだから、居る者だけで済ますぞ? ほら、はじめたちに挨拶を」


 ヒャウの言葉にエルフさんは横へと音も無くずれると、片膝をついて名乗り出した。


「私は豊新の田柄村に住む森人、リンカと申します。この度は此方の早とちりのせいで多大なご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした」

 

 両手を組み合わせ祈るようにこちらを上目遣いで謝罪するリンカさんに、オレは慌てて椅子から立ち上がる。


「いやいやいや、もう誤解は解けてますし、互いに情報がなければ行き違いも仕方がありません」


 何この謝罪ポーズ! 下手な土下座よりヤバくないか!? リンカさんみたいな美人にやられると逆に変な罪悪感と、何かヤッバイ感情がうまれてしまう。


「チッ!」


 立たせようとわたわたするオレと頑なに潤んだ瞳で上目遣いするリンカさんに、クリエが盛大に舌打ちをした。

 多分理由は違うが、2人してびくりと肩を揺らしてしまう。

 怖っ! クリエ怖っ!!

 

 ジェンガのことをまだ根に持っていたらしいクリエは、からからと笑うヒャウに、『ヒャウ』と呼んで良いという公認をもらい、やっと機嫌が良くなるのであった。

 それから暫くして、チーム黒装束も合流し、改めて全員から崇められた。

 あれだ、さっきリンカさんがやってた謝罪のポーズ。

 やっぱり土下座より質が悪い。


 リンカさん含め女性が3人に男2人だったらしい。因みにサバイバルナイフで襲ってきたのは羽人のテラさん。

 羽人とは腕に羽が生えていて頭部も踏まえて身体の部分部分が羽毛な人属のことらしい。頭が鳥は鳥人、背中に羽が生えているだけの人は翼人と言う違いがあると、後日教えてもらった。


「ビャクレン様と仲良し、です。気付かずごめんなさい、です」


 どえらい凶器で襲ってきた割りにぽわぽわした話し方をする。

 幼顔でカラフルなオウムみたいな綺麗な羽を揺らし、見た目に合わないなかなかの驚異、いや胸囲を標準装備なされている。

 身長はオレとクリエの間位か。

 あれだけの動きをするのが納得な程細く見える腕や脚は無駄な肉がなく引き締まっている。

 脇腹には何やら打ち身に効能がある潰した草を塗って包帯を腹に巻いている。

 襲われたからとは言え、罪悪感が消えるでもなく申し訳ない感たっぷりなんだが……。

 テラさんは気にした様子もなく苦笑するオレに首を傾げていたが、何かを思い出したのか、玄関へと走り、何かを抱えて帰ってきた。


「これ、テラテラの短刀」

「あっ、それ」


 悲しげに鉄っぽい塊を見せるテラさん。

 あー、そういえば武器にならないように工作クラフトワークで加工したんだった。


「後で直して返すから預からせてもらえます?」

「治る、です?」

「はい、直せますよ」


 形は何となく覚えているし、1から作る訳ではないから大丈夫だろう。

 オレが即答すると、嬉しそうにフサフサとした羽を揺らして小さく何度も頷いて渡してくれた。


「お願いします、です」

「はい、確かにお預かりします」


 よっぽど嬉しいのか、メトロノームのように揺れながら仲間たちの元へ戻り、振り返って小さく手を振ってきた。

 何、今の! 無茶苦茶可愛いんだけど!

 見た目といい話し方といい、いろんな意味で危険だ。黒装束で襲われて良かった……、そうじゃなきゃ──、多分オレがやられてた。

 色んな意味で。

 隣のダイナから『敵だ』という妙に怖い声がした気がしたが、笑顔で首を傾げられたので、幻聴ということにした。

 巨漢の熊人はゴウラさん。まんまヒグマだ。喋るヒグマ。今までで一番怖い、そしてデカイ


「いやあ、某も修行が足らぬ。ダイナ殿の鋭く放たれた徒手空拳には手も足も出なかったわ」


 実にフレンドリーに笑顔? で話しかけてくるがめっちゃ怖い。

 ダイナもぶっ飛ばしてしまった関係上、気不味い感じで苦笑いをしつつも一応謝っていた。


「気が動転していたとは言え、申し訳ありませんでした」

「いやいや、久しぶりに豪快にやられた。実に良い経験であった。また手合わせ願いたいものだ」


 デカイ声で笑うゴウラさんだが、あれだけやられて無傷だったらしい……、もう敵には回したくない。

 最後にオレの逃亡劇にて追跡役となった2人。水竜鱗人すいりゅううろこびとのククさんと火竜鱗人かりゅううろこびとのサシャさんの双子。

 因みにククさんが兄で、オレの言うことをまったく信じずに襲ってきた方。

 それで、サシャさんが妹で、オレの眉間目掛けてナイフを投げてきた方。

 火竜と水竜は鱗人の身体的特徴で決まるらしく、分かりやすいのはククさんには水掻きが手足にありサシャさんにはない。ではサシャさんは、と言うと。


「アテの吐いた息は燃えるんス」


 と、のこと。

 自慢なのか、大きい胸を更に張り出すように……、あっ、着痩せするタイプだ。

 双子なだけに容姿は似ており、中性的な顔でイケメンな兄と見た目クール系美人なのに、喋ると残念系な妹。髪型は兄がサッパリとしたスポーツ刈りな感じの光にあたると蒼に見える水色な短髪、妹は腰まで伸びた光にあたると赤っぽくなるオレンジみたいな明るい色の髪を首のあたりと一番下の部分の二ヶ所を紐で縛り右肩に乗せていた。

 兄はグレーの地肌に青い鱗を持っており、両サイドの顎や額、身体の腕や脚の側面も鎧の様に付いている。

 妹は褐色の肌に赤い鱗を持っており、両サイドの頬にあるのと、身体は兄とあまり変わらずに付いているそうだ。

 手は人とあまり変わらず爪が少し長くて鋭く、水掻きの有無と鱗の有る無しくらいなんだが、脚は全然違う。

 2人とも膝下の脚は恐竜のようで、兄は細めの泳ぎ特化で、妹は少しゴツめな岩山特化らしい。

 尻尾も蜥蜴のようだが、兄の尻尾だけ尾ひれが付いている。

 うーむ、顔は似てるのに仕様が違い過ぎる。

 いったいどんな原理なのか気になるところだが、専門家でもないのでまったくわからない。

 隠れ(話を聞く限り忍者やスパイみたいなもの)をやっているだけあって身のこなしはかるいのだが、流石に中、長距離の走行は2人とも苦手らしく、捕まらなかったのはそのおかげだったようだ。

 今でこそ誤解が解けたから良いものの、あそこで捕まっていたらどうなっていたのか。

 戦って勝てたのだろうか? 想像しても仕方がないが、運は良かったのだろうと、納得するしかない。

 ゆるかるなサシャさんと違い、ククさんは実に真面目で、皆が少しずつ和んできたなか、ただ独り未だに謝罪のポーズを続け、オレの前にいる。

 グレーな地肌を更に青く染めた様な血の引けた顔で謝り続ける。


「ビャクレン様とのよしみを結ばれていた方を、自分は何てことを! 謝っても謝りきれるものではない!」

「いや、もう、大丈夫ですから! 誤解だったんですし、こちらには被害はありませんでしたから……」


 何度目だろう。真面目……だけじゃない気もする。ククさんは首を大きく振り、こちらからの謝罪了承を受け取ってくれない。


「いや、それでは自分の気が晴れない! したらば、自分の片腕を献上させて──」

「いらないからっ! どうすればいいかわからないし! 何? その文化!」


 急に腰から刃物を出して自分の腕に宛てるククさんを慌てて止めると、ククさんは床に両手を付いて絶望した感じでこぼす。


「2人で我等を無傷で退ける程の腕前、確かに自分の腕ごときでは、何の意味ももたないか──、しかし、ならばどうすれば……」


 1人空気が重いククさんから離れるに離れられないオレは、正直げんなりしている。

 もう、変なもの捧げずに、スパッと謝罪了承を受け取ってくれないかなあ。

 相変わらず嘆いてる、Orzの並びみたいな此れは、どうすればいいんだろう?


 そんな困ったオレを助けてくれそうなダイナさんはテラさんとゴウラさんに囲まれ談笑している……、いや、ちらちらとこちらを心配気に見ていることから、あちらも抜けるに抜けないってことか。

 誰か、ぼすけて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ