次章予告
「キャリバーーー!?」
背後で、ナナムゥの悲鳴にも似た声が響く。
(くっ……!)
私は右肩を揺すると、外れかかった右腕を完全に肩から切り離した。
「理解したか、これが私の”力”だ……」
相対し、冷酷に私に告げるバロウル。その瞳は言葉よりもなお冷徹であり、私にこれが雌雄を決する真剣勝負であることを思い起こさせた。
(どうする……!?)
その貌に、その腕に、燐光を放つ刺青にも似た紋様を浮かべながら、バロウルが再びレスリングのように両腕を胸の前で構える。
如何に雌ゴリラ然とした巨女であっても、それでもこの試製六型の躰より二回りは小さい女であると手加減をした報いがこれである。
その燐光を放つ指になぞられただけで自分の四肢が結合を保てなくなるなど、予想できる筈もないのだが。
「どうする? 続ける?」
最初に行司を名乗り出た所長が、私に訊いた。神聖なるこの丘の上で、舞い散る桜の花片を身に纏いながら。
シロとクロの奏でる琴の音を、その背後に纏わせながら。
所長の立ち振る舞いは私に一瞬、自分が元の日本に居るかのように錯覚させた。
(そうだ…私は侍だ…侍なんだ……)
脳裏に甦る幼き頃の想い、我が誓い。
知恵も無く、力も無く、勇気も無く、何も無く--だからこそ、せめて魂だけは人並みでいたかった。武士でありたかった。
男として、長男として産まれたからには。
ずっとそう思ってきた。ずっとそうありたいと思ってきた。
「--ヴ!」
私は顔を上げ、バロウルの顔を睨め付けた。例え発声機能が無くとも、己自身を鼓舞するために敢えて苛烈な啖呵を斬る。
『--この触手で!女として産まれて来たことを、後悔させてやる!!』
私は右肩に残った三条の触手を振り上げ、勢いよく地を叩いた。
~~ 忌導キャリバー 第三章「祈桜」 ~~
本当ならば閑話休題的にステータスなりスキル一覧なりお出しできれば良いのですが
「そんなもの、ウチにはないよ……」
ということで予告にて御容赦願います。
「主人公」のステータスを数値化すると色々支障が出るというのもありますが。




