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棄耀(1)


 「――旗手“青の”カカトは死亡。旗手ナイ=トゥ=ナイの消息は不明」

 「……」

 「バロウルは昏睡状態。それに伴い試製六型機兵(ゴレム)も未だ再起動に至ってはいません」

 「酷いものだな……」

 背後に立つバーハラによる事務的な報告が終わった後、ガッハシュートは深くそれだけを嘆息した。

 カカト達に対してではない。間に合わなかった己自身に向けてのものであった。

 「影武者の到着を待つべきではなかった」

 「ガッハシュート……」

 その悔悟の呟きを前に、今度はバーハラが言葉を失う番であった。彼女自身に非は無いとは云え、カカト達にはそれなりに縁があった故である。

 彼女の操縦する小型輸送飛行艇である“早馬”は、先行するカカト達を一旦この地に降ろした後、ガッハシュートの要請により彼の潜む揚陸艇へと取って返した。

 これが司書長ガザル=シークエ直々の計画などであれば迅速に事は進んだであろう。だがガッハシュートによる不意の要請は確たる根拠のない、ただどうにも嫌な予感がするという曖昧な理由によるものであった。ましてや通常の『司書』や『守衛』とは立場を異にしているガッハシュートである。加えて所長やシノバイド達外部の人間の目を欺く為に、影武者と入れ替わる為の時間も要した。

 甘かったとガッハシュートは後悔に駆られ嘆く。後々のことなど考えずに、真っ直ぐに駆け付けるべきだった。そうすればこの世界の行く末を担うとまでに見込んだカカトを、むざむざ死に追いやる事もなかったであろう。

 いくら悔いたところで既に戻らぬ詮無い話ではあるが。

 彼方に臨む浮遊城塞オーファスはカカトの遺体やバロウル達を回収した後、念の為に湖面から浮上したままであった。明日にコルテラーナ達を乗せた揚陸艇が帰還するまでは、そのままの状態を保つであろう。

 コルテラーナも戻らずバロウルもまた昏睡状態である以上、オーファスの指揮は普段から工廠でバロウルを補佐しているポルタ兄弟の役目である。普段は裏方に徹しているとは云えその仕事ぶりの堅実さはガッハシュートも良く見知っていた。

 それまでこの地を揺るがせた喧騒が嘘であるかのように、今の周囲は静寂と共にある。 少なくとも浮遊城塞そのものは明日までは何事も無く保てるであろう。ガッハシュートとしても、それまで周囲の警戒にあたる腹積もりであった。

 ザーザートによって張り巡らされた方術による“迷宮”。その大掛かりな方術陣の“魔力”の残滓を、ガッハシュートもバーハラも今こうして立っているだけでその肌に感じ取ることは出来た。それは裏を返せば、その“残り香”以外の一切の痕跡が残っていないということでもある。

 正確には物理的な痕跡だけはあった。ある程度の大きさを備えた何か多数の物体が落下したことを示す、穴だらけの歪んだ大地。その多くが咥え去られた痕跡があるとはいえ、それでもまとまった数が残された無毛鳥の焦げた死骸。

 そして――

 (……これは?)

 バーハラを“早馬”の側に残し、独り周辺を検分して回っていたガッハシュートの足が止まる。彼は足元の地面に突き立つ細長い紅い水晶に手を伸ばした。それは薄い板状の割には堅固で、ガッハシュートの白銀の義手をして相応の力を籠めないとヒビ一つ入れる事すら出来なかった。

 その紅水晶の正体が、今はこの閉じた世界(ガザル=イギス)から消失した少年(アルス)が遺した異物であることなど、ガッハシュートが知る由も無い。その源である“真紅の一撃”たる業火こそが、ザーザートの二撃目の“裁きの一撃”から浮遊城塞を救った事も含め。

 「……」

 バーハラに背を向けたまま、ガッハシュートは慎重にその紅水晶の全てを回収した。

 やましい理由は何一つ無いとは云え、何故『司書』であるバーハラにも秘密裏に事を運んだのか、それはガッハシュート自身にも定かではない。だが周囲に三型機兵(ゴレム)の監視の目がないことを確認してまでそうしたのは、単なる予感を超えた、長への愛と僅かな不信とが成せる業であったのだろう。

 もしこの場にナナムゥがいたならば、赤は縁起の良い色だと屈託なく笑っていたに違いない。


 「ガッハシュート、私は一旦移動図書館に合流します」


 バーハラの声に、ガッハシュートはハッと我を取り戻すと――あくまでバーハラに気取られぬよう――ただ頷いて返した。

 何処にも有り、何処にも存在しない移動図書館――とは云え、流石に無軌道にあらゆる場所に神出鬼没という訳にはいかない。バーハラの“早馬”が今は移動図書館が鎮座する“黒き棺の丘”(クラムギル=ソイユ)まで戻る事は、ガッハシュートも承知の事であった。

 ガッハシュートだけがこの地に残り、周囲の哨戒にあたりはするが、状況としては芳しいものでは決してない。あくまで今は小休止の状態でしかなかった。

 こと浮遊城塞オーファスに限って言えば、全てはコルテラーナ達の帰還とバロウルが意識を取り戻してからの事になるが、それ程時間の猶予が有る訳ではない。この場より撤退したと思しき――すなわちカカトの仇であるとも云える――一団は依然としてザイフ村近辺に留まり、何よりもコバル公国からの新たなる軍勢が出立したとの報告はガッハシュートの耳にも入っていた。

 商都ナーガスを目指して。

 それは三ヶ月後のコバル公国の建国式典までは大きな動きを見せないであろうという移動図書館の予想を裏切るものであった。単なる日程の前倒し――すなわち決行日の変更であるならば、“洞”の寄合である公国の何処からか情報は漏れた筈である。

 それが無かったということは事前に公国の議会で正式に定められた計画ではないことを意味していた。その移動図書館側の危惧を後押しするかのように、ガッハシュート達の耳に入ってくるのは公国の貴族達が争うように好き勝手に手持ちの軍勢を競って出立させているという俄かには信じ難い情報であった。

 手綱のない小規模な軍勢の群れ程厄介なものはない。特に逃げ場のない、このような閉じた小さな世界では。

 裏で糸を引く扇動者の存在は明らかであった。狙いを除いてはその正体も。

 「……」

 まばらな木々の間を一陣の風が吹き抜け、過去の陰惨な戦禍を思い起こすガッハシュートの心身までをも萎えさせる。これまで彼が阻止できなかった、数多の滅亡と再試行の記憶が。

 と、風の中に僅かな輝きを帯びた碧く細長い布が一片、ガッハシュートの視界の端を舞った。

 「――!」

 ガッハシュートの腕が奔り、その布を掴み取る。それがカカトが常に首に巻いていた愛用のマフラーであることを、ガッハシュートが見紛う筈がない。

 (無駄死になどと責めはしない。だが――)

 手の中に握ったマフラーをガッハシュートは無念の想いで見つめた。

 只の一枚の青い布である。何かカカトの最後の“念”が込められているなどと云うこともない。何かの遺言が表面に浮かび上がったりする事もない。

 「ガッハシュート?」

 まるで凝固でもしたかのように動きを止めるガッハシュートに対し、流石に不振に感じたバーハラが大きく声を掛ける。一旦は乗り込んだ“早馬”の操縦席から降りてこようとまでした彼女を、ガッハシュートは頭を振って留めた。

 「……?」

 それでも訝し気な顔を留めたままのバーハラであったが、それ以上深入り出来る立場でもない。

 ガッハシュートの白銀の左腕が軽く振られる。バーハラに別れを告げる為に。その首には既にカカトのマフラーが手早く巻かれていた。


 「――行くぞ」


 バーハラにではなくその場に居る筈もない亡き者に声を掛け、ガッハシュートは“早馬”に背を向け独り歩み始めた。

 強く吹き荒ぶ風の中、碧いマフラーを長くたなびかせながら。


        *


 目覚めた私が最初に聞かされたことは、移動図書館から提供された“早馬”によって浮遊城塞の停泊地近くに自分達が降り立ってから既に一昼夜が過ぎているという事実であった。後にして思うと、それは私の心を早々に折らない為の所長による気遣いであったのだろう。

 そもそもが浮遊城塞との近距離通信によって事前にその訃報を知っていたとは云え、私に辛い真実を告げる役目を請け負った所長自身もまた、その一方に激しく打ちのめされたが故でもあるのだろう。

 事実、一昼夜の空白という前置きすらも私が理解するのに時間を要した。故に、次いで所長に淡々と告げられた訃報も、私にとってどこか浮世めいた物語の一節の様にしか聴こえなかった。

 私達が一足先に浮遊城塞に戻る切っ掛けとなった六型機兵(わがみ)の分解整備も、主たる部分は工廠の副長であるポルタ兄弟が夜を徹して仕上げてくれたのだという。

 それ程までに私の再起動を優先させたのは――半ば譫言めいたバロウルの指示もあり――当時の状況を知るのが私一人だけであると云う大きな理由もあった。


 独りだけ(・・・・)――所長に告げられたその事実が徐々に私の心に昏い影を落とす。


 昏睡状態に陥ったバロウルも含め、全滅に近い惨憺たる有様である。稼働に支障が無い程度の再調整に留めたとは云え、急ぎ私が再起動されたのも当然の話であった。

 カカトが死に、ナイ=トゥ=ナイが消息不明だという事実をようやくはっきりと理解した時、私はこの身を投げ出し嘆くことも出来はしなかった。呆然自失のままに完全に停止できていたならどれだけ楽であっただろう。

 仮初めの簡易な四肢を取り付けられた私は工廠の端末に繋がれ、今朝方に浮遊城塞に帰還を遂げたと云うコルテラーナ達によって早速の審問を受けた。

 コルテラーナに所長。その所長の護衛として常にその傍に侍るクロ。そして幼主ナナムゥ。更にはバロウルに代わり、端末操作の補助としてポルタ兄弟が徹夜明けのままに控えていた。

 老先生だけは諸々の雑事の為にザイフ村に赴いたとのことであったが、それは商都の(モガミ)の許に早急に戻らねばならないと云う二人のシノバイドの――返礼として――途中までの見送りも兼ねていたとうのは後で聞いた話である。

 幾ら消え入りたいと願ったとは云え、私には審問に答える義務があった。しかしたったそれだけの事すらも私には満足に出来はしなかったのである。

 粒体装甲を少しでも長く展開する為に私がバロウルの手によって早々に休止状態に入ったこともあり、肝心のカカトの最期を見届けてはいない。それを『気絶していた』などという釈明を端末の画面越しに詫びるしかない自分が、申し訳なさと居た堪れなさに恥の炎で焼かれるように辛く情けないものであった。

 加えて、せめてその直前までの足跡をと思い起こし語るにあたり、自分達のあまりの場当たり的な対応の不甲斐なさに、我が事ながら胸中で愕然としてしまった。

 今ならカカトがザーザートとその名を呼んでいたあの謎の男の手の上で、私達があまりにもいいように踊らされていたという事が理解できる。何か不可思議な“力”で惑わされ分断されていたとは云え、私達が一ヶ所に固まって行動していれば誰も死ぬことは無かったのかもしれない。

 結果論であろうと、少なくともコルテラーナも所長もそう慰めの言葉を口にしてくれた。

 私が最後に視たあの悍ましき稲妻型の魔弾の射出は阻止され、浮遊城塞オーファスを無傷で守り通せたという何よりの事実があるのだと。

 カカトとナイトゥナイと云う大き過ぎる犠牲を払いはしたものの。


 「この続きはバロウルが目覚めた後にしましょう」


 コルテラーナの宣告を最後に、私への最初の審問は驚くべき速さで幕を閉じた。

 無論、私がカカトの許に助勢として合流してすぐに意識を失った為に、得られるべき情報自体が少ないということもある。だがそれ以上にザーザートの容姿等の二、三の簡単な質問を除き、その場に居る誰もが私に食い下がりはしなかった為でもある。

 責めの言葉の一つすら無い。

 それが何よりも私には辛いものであった。

 そもそも私の分解整備の必要さえなければ、カカト達も護衛として先行してオーファスまで戻る必要などなかった。

 コルテラーナ達の言う様に結果論であることは頭では分かる。だがその負い目が、私の心に深く昏く伸し掛かった。罪を罪だと認める事も許されずに。

 六型機兵(わたし)の背と端末を繋ぐケーブルを外したポルタ兄弟が最初に退出し、所長もクロと共に去り、後にはコルテラーナとナナムゥだけが残った。私自身は再び休眠状態に置かれるのだろうと予期していたが、そうはならなかった。

 単眼の視界の端で膝を折って身を屈めるコルテラーナに対し、ナナムゥが何やらしきりに耳打ちしているのが視えた。それが私に対する陰口の類いだと思い込むまでには、流石に私も堕ちたくはなかった。

 と、不意にナナムゥが私の方を向いた。その白目の少ない緑色の瞳は、今は殊更に幼女のソレとは思えぬまでに深い憂いの色を湛え潤んでいた。


 「キャリバー……」


 いつもなら子猿のように私の背なり肩なりに飛び乗って来るナナムゥであったが、この時はただ私の名を呼び差し招くだけであった。


 「これよりわらわの供をせい」


        *


 道中のナナムゥは依然として、明らかに普段とは様子が異なっていた。カカトとナイトゥナイを亡くした影響を考えるとそれも当然の話であるのだが、意気消沈していると云うよりは過度の緊張状態にあるように見えた。

 一旦は自室に戻るというコルテラーナをその場に残し、私を先導して浮遊城塞の表層――船で言えば甲板にあたる部分――の回廊を自らの足で進むナナムゥ。途切れ途切れに彼女の口から語られる言葉も、ファーラは所長と共にバロウルを介護しているなどという取り留めの無い会話ばかりであった。

 湖面から僅かに浮かぶ浮遊城塞に射し込む夕焼けに、私は自分が気を失ってから一昼夜を経ているということを改めて実感していた。そしてこの時にはナナムゥが何処に向かっているのかも薄々と見当が付いていた。

 霊安室――元よりそれ専門の施設が浮遊城塞オーファスに常設されている訳ではない。しかし主要な三つの塔から離れた詰め所とでも呼ぶべき区画を、必要に応じて使用しているという話は私も以前に聞いたことはあった。

 ナナムゥの短い歩幅でようやく辿り着いた平屋の石造りの建物こそがその霊安室であり、私の巨体でも余裕をもってくぐれる扉の先にカカトの亡骸は安置されていた。

 その傍らを決して離れる事のない、白く揺らめく“幽霊”と共に。

 「ヴ……」

 私も以前参加した事のある“幽霊狩り”で集めた“幽霊”を一時的に保管する場所としても使われている霊安室の内装は、要所に柱のみが存在する壁の無い広い造りであった。

 中央の一段高い台の上に安置されたカカトの亡骸の周辺には、浮遊城塞で栽培されている花の束が幾つも捧げられており、更にその他に様々な物が――文化風習の違いか私には一見して理解し難き異物も含め――所狭しと飾られていた。浮遊城塞の住人の皆が、私が眠っている間に最後の別れを済ませていたのだろう。本来は吹き抜けである天井は、今は屋根代わりの防水布で覆われており、或いは虫除けも兼ねているのか香木が何ヶ所も焚かれていた。

 今、霊安室にいる人影は私とナナムゥの二人だけであった。よもやこの浮遊城塞にそこまで不埒な者もおるまいが、部屋の四隅にはまるで番犬か或いは狛犬か何かのように、三型機兵(ゴレム)がそれぞれ鎮座していた。

 「不思議なものじゃな……」

 カカトの眠る台座の側に立ったナナムゥは最初に彼の亡骸を、次いで“幽霊”に視線を移すとまるで自身に言い聞かせるかの如く粛々と語り始めた。

 「カカトの亡骸を始めに見た時から、自分が何を成すべきかがわらわの頭の中にはっきりと浮かんだままじゃ」

 「ヴ?」

 私はナナムゥが言わんとしている事の意味がまったく理解できなかった。その言葉に秘められた決意の重さ以外は。

 そもそもナナムゥが私だけを伴ってここに来た理由について、ようやく再起動した私にカカトとの最後の別れをさせてやろうと云う気遣いであろうと漠然と考えていた。

 この世界で遺体を荼毘に付すかどうかは知らねども、遺体と“幽霊”をこのままにしておく訳にもいかない事に違いはあるまい。その刻限に間に合うよう、直ちに私を連れ出したのだろうとも思っていたが、理由としてはどうやらまったく違うらしいということだけは感じ取れた。

 「キャリバー、カカトの遺体をこっちの空いている床の上に移してくれぬか?」

 深呼吸を済ませたナナムゥが私に対して告げた指示は、私の予想を遥かに超えたものであった。先程のコルテラーナへの耳打ちが、どうやら今から始まることに対する断りであったのだろうということを、私は辛うじて察することができた。

 躊躇している暇はない。私は敷かれた布ごとカカトの遺体を慎重に持ち上げると、ナナムゥの指示のままに供物の山より離れた場所に丁寧に横たえた。

 魂の抜けた、力ないカカトの身体。これまでの衝撃と自己嫌悪の大きさのあまり心が麻痺していたのか、私はようやく自分を導いてくれる筈の“勇者”が二度と目を覚まさぬであろうことを痛いほど実感できた。

 涙を流せぬこの石の躰の情けなさ。元の肉体を捨ててまで生き長らえさせられ、その挙句がおめおめ自分だけが残ったこの体たらくである。

 「キャリバー!」

 まるで私の慟哭を咎めるが如く、ナナムゥの決意に満ちた宣言が目に見えぬ拳となり呆けた私の頬を叩いた。


 「――今よりわらわ達の“再構成”を開始する」


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