41.閑話:ミアの誕生日
たぶんR15?
イチャラブ表現があります…
今年は、私の誕生日がちょうど休息日と重なったので、ジルと一緒に過ごせることになった。
朝から夜までずっと一緒にいられるなんて!会う前からドキドキしてしまう。
最近のジルは、スキンシップがすごく増えているし、今日あたりついに……!?なんて期待しちゃったりして。
そんなこと考えていたから、顔が赤くなってきちゃった!
待ち合わせは王立学院の入り口。豪華な馬車で私の王子様が迎えに来てくれた。
すごく目立っていたけど、今日は気にしない。だって、誕生日だもんね。
ゆっくりと進む馬車に揺られながら、ずっとジルとお話ししてた。
毎日、念波していても話題には事欠かない。
今日のこと明日の予定昨日の話、前世のこと今世のこと、将来の展望、新魔法やスキルの話……。
あ、ジルはアイテムバックのスキルを覚えたんだって。
一番最初は、何もない空間からいきなりアイテムが現れてすごく驚いた。
ちょっとソレは怖いって伝えると普段は小さなカバンの中に空間をつなげるといいって教えてくれた。
そのあと、ジルもカバンから取り出すような仕草で通常では入らないような大きさのものを取り出していた。
2時間くらいで目的地についた。
今日の目的地は王都から少し離れた場所にある湖。湖のそばにある街。
馬車を降りて、街中を歩く。
お昼前だから、屋台が出ている。
ジルは慣れた手つきで、サンドイッチや飲み物を買っていき、カバンというかアイテムバックに入れていった。
色々買った後、手をつなぎながら湖へ向かった。
少し小高くなっている場所で立ち止まると、ジルはアイテムバックから次々と出していった。
レジャーシート代わりの厚手の大きい布を地面に敷き、靴を脱いで座るよう言われた。
大きな布の上には先ほど買ったサンドイッチや飲み物、事前に用意していたらしい誕生日ケーキが置かれた。
「まずは食べよっか」
ジルがにっこりと笑うと、お腹がくぅっと鳴った。
恥ずかしくて顔を真っ赤にしていると、何でもないといった風にサンドイッチを手渡してくれた。
「いただきます」
「いただきます」
手と手のしわを合わせて、この世界の神にではなく、食べ物に感謝して食べる。
サーモンとレタスのサンドイッチは思った以上においしくて、2人して無言になって食べた。
サンドイッチを食べ終え、ケーキを切り分けて食べる。
あ、この世界には蝋燭立てて吹き消すってことはしないんだよ。
小さいホールケーキはあっという間に2人の胃袋の中へ。
ふと見ると、ジルの口の端にクリームがついていた。
何気なく指でふき取って、その指をなめたら、ジルが珍しく真っ赤になって照れた。
つられて私まで赤くなっちゃったよ!
2人ではにかみ合いながら、のんびりと過ごす。
「湖がキラキラ光ってキレイだね」
「ミアのほうがキレイだよ」
「えーそんなことないよ。むしろジルのほうがキレイだよ」
「ただ金髪碧眼なだけだよ。ボクはミアの黒髪が羨ましいよ」
「目が黒ければ前世を思い出すもんね」
「そうだけど、そうじゃないよ。つやつやでサラサラだし」
そう言って、ジルは私の髪をすくって髪にキスをした。
その動きにドキっとして固まってしまう。
「それにいい香りだし」
すくった髪を耳にかけてくる。ジルの目が熱を帯びて潤んでるように見えて、目が離せない。
耳の下に手を入れられて、くすぐったくて首が自然と傾く。
すっと反対の手が私の顎をすくったかと思うと唇に軽く触れるほどのキスをされた。
「!?」
今日あたりついに!って思っていたことが現実になって嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。
ジルの瞳を見つめた後、ふいに唇を見てしまった。
「それって催促してるみたいだよ」
ジルは少し頬を染めつつ、クスクスと笑った。
「そ、んなつもりじゃぁ……」
恥ずかしくてどもってしまったら、ジルが蕩けそうな笑みを浮かべ始めた。ついその姿に見惚れてしまう。
ジルは今度はついばむように唇にキスをした後、頬に鼻の頭に額にと次々と落としていく。
顔が赤くなっていくのは抑えられないし、心臓がドキドキと鳴っていてうるさい。
こんなにドキドキするものだったっけ。
一瞬、前世の記憶が出てきそうになったけど、蓋をした。
耳に唇が触れると背中を電気が走るようにぞくっとしたけど、声はなんとか抑えた。
瞼へのキスはちろっと舐められたような気がする。
されるがまま受け入れているとジルがピタッと止まった。
「?」
不思議に思って目を開いて見つめると、とんでもないことを言ってきた。
「無抵抗だとどんどんしたくなるんだけど」
ジルは自分自身の唇をぺろりと舐めて、その直後、私の唇に優しいけれど力強いキスをしてきた。
そのまま唇を重ねて息を止めていたら、苦しくなってぷはっと口を開けた。その瞬間するりと舌が入ってきた。
そこからはもう酸欠でぼーっとして力が抜けて倒れるまで離してもらえなかった。
ぐったりとする私を見て、ようやくジルは私の唇を解放してくれた。
その代わり、ぎゅっと強く抱きしめて小さな声で言った。
「これ以上は我慢しないとね」
「これ以上って、これ以上って!?さすがに貴族の娘としてはダメだから!」
本当はもっとして欲しい気持ちもある。これよりももっとすごいことを……。
しばらくぎゅっと抱きしめられていたが、ふっと離された。
「ミア、誕生日おめでとう。これ受け取って?」
「え?あ、ありがとう!」
ジルから小さな箱を手渡された。
リボンを解き、開けてみると太目の銀色のリングが入っていた。
手に取って見てみると、内側にぐるっと一周宝石が埋め込まれていた。
「婚約指輪だよ。リングの外側に宝石がついてると目立つし危険があるんだって。だから、内側に散りばめてみたよ」
「すごくキレイ……」
埋め込まれている宝石のほとんどが無色透明でまるでダイヤのよう。その中で2粒違う色が混じっている。
金色と黒色……今度は、2人の髪の色かな。
「これってもしかして魔石?」
「うん、ダイヤと魔石2種だね。魔石には、ちょっとした細工があって……危険な目にあったら、自動で防御魔法が発動するよ」
そう言って、ジルは笑った。
第二王子の婚約者だもんね。危険がないとは言い切れない。
「何があってもミアを守るよ。ボクの嫁に手を出したら、ただでは済ませない」
「よ、よめ~……」
婚約者を超えて、ジルの中ではすでに嫁になってるみたい。
それはそれで、アリだけどね!
イチャラブって書いてると精神が削られていく気がします…