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33.兄が結婚しました

(1/2)

昨年に引き続き、休み月の最初の週は国を挙げて盛大にお祝いをする日となった。

マイン兄とミリア義姉が結婚するのだ。


2人とも16歳で結婚とは、前世を思えば早すぎるだろ!?と思うのだけれど、この世界の王族や貴族ではこれくらいが普通のようだ。


いつも行ってる教会とは別の王都最大の大聖堂で結婚式は執り行われた。

結婚式は、親族3親等までの親戚だけで行う。

教皇が立会いのもと、マイン兄とミリア義姉の結婚式は進んでいくのだけれど、前世とは違うと感じる部分が多い。


2人の服装からして違う。タキシードとドレスなのは同じだが、マイン兄が着ているタキシードは真っ赤だし、ミリア義姉が着ているドレスの色は橙色なのだ。

あとで聞いたら、服の色は髪か目の色と同じにするものなんだそうだ。

純白ドレスイメージのボクには衝撃的だった。


あとはバージンロードがない。父親に連れられて中央の道を進んでいき、未来の夫へと渡される……っていう、アレがないのだ。

左右の道から、新郎新婦が一人で歩いていき、中央の教皇の前まで進んでいくというスタイル。


宣誓をして、お互いがよき伴侶になることを誓っていた。これは同じかな。

夫婦になる証となる署名はあるようで、2人とも何かに書き込んでいた。


リングの交換もないようで、代わりに花をお互いに贈り合うらしい。

マイン兄はマイン兄の紋章花であるブルーサルビアをミリア義姉の頭につけていた。

ミリア義姉はカーディナル伯爵家の紋章花であるリンドウをマイン兄の胸元に飾った。


最後はお互いの頬にキスをし合って終わり。

唇じゃないの!?なんて思ったものだ。


結婚式が終わると幌のない馬車に乗り、パレードを行う。王都中をぐるりと巡って王宮へ帰ってきた。

これは、平民に対してお披露目の意味合いがあるようだ。


王宮へ帰ってくると、貴族向けの披露宴がある。

会場の中央上段左右に出席者からの贈り物が名前とともに並べられる。何を贈ったのかが一目瞭然であり、見栄の張り合いの場所にもなる。

パーティは立食形式で、普段の夜会よりも数倍豪華な食事が振舞われる。

楽団が呼ばれるし、もちろんダンスの時間だってある。

帰りには、出席者に粗品という豪華なナニカを渡すらしい。


こうやって考えるとかなりハードだなぁ。



ボクは結婚式と披露宴に参加だ。

結婚式は親族だけだから気楽なものだったけれど、披露宴は面倒くさいものだった。

近隣諸国からの招待客へ挨拶をしなければならないのだ。

顔に笑顔を張り付かせて挨拶をしてまわる。



真っ先に挨拶したのは、タンジェリン竜王国の第三王子だ。

タンジェリン竜王国は、長命である竜人が統べる国だそうだ。

殿下の見た目も、耳がとがっていたり、目の瞳孔が縦に細長かったりと人とは違う。


「セリーヌ王国第二王子ジルクス・ローズフォード・セリーヌと申します」

「タンジェリン竜王国第三王子ユリウス・タンジェリンだ。よろしく」

「遠いところ遥々お越しいただきありがとうございます」

「ははは。この国はまだ近い方だ。空を飛べばすぐにつく」


竜人って空も飛べるのか。羨ましいなぁ。

ステータスを見てみれば、飛行というスキルがあった。覚えておこう。

他愛もない挨拶をして離れた。



次は、隣国のソルダム皇国の第二皇女だ。

隣国というのもあって、ブランシュ・アシャー・ソルダムとはすでに顔見知りだ。

ブランシュ姫はボクと同い年で、マイン兄上の婚約者候補として名前が上がってはいた方だ。

マイン兄が結婚した今、ボクにまわされているっぽい。


「お久しぶりですね、ブランシュ殿下」

「お久しぶりでございます、ジルクス殿下。あら、背がだいぶ伸びましたのね?」

「はい、成長期のようでぐんぐん伸びてます」


昨年の兄の成人の祝いの時は、身長が低くてつらい思いをしたがこの一年でだいぶ伸びたので、女性と並んでいてもあまり違和感がなくなった。

身長のことを言われたので、ついはにかんでしまった。

それを見たブランシュ姫はにっこりと笑ってとんでもないことを言った。


「身長の釣り合いも取れましたし、踊っていただけますわよね?」


身分が同等かそれ以上の女性からダンスを誘われた場合、断るという選択肢はない。

ボクは笑顔を張り付けたまま答えた。


「喜んで」


ブランシュ姫の腰に手を当て、ダンスフロアへと進んだ。

一曲目はミアを誘いたかったなぁ……と思いつつも、そんな表情は見せずにそつなく踊った。

踊っている途中、一瞬ミアが見えてため息が出そうになったが堪えた。

踊り終えると気が済んだのか、ブランシュ姫はにこりと微笑んだあと離れていった。



その次が、パマグラニッド帝国の第一王女、ソフィア・タルクィーニ・パマグラニッドへと挨拶をした。

帝国は男子が産まれず、このままだとソフィア姫が女帝になる可能性があるそうだ。

ステータス的に、女帝になっても問題なさそうだ。

ちなみに、ソフィア姫は3つ上だ。


「あたくしとも踊っていただけますわよねぇ?」

「もちろんです」


ブランシュ姫と同じようにソフィア姫の腰に手を当て、ダンスフロアへ……。

ソフィア姫はとても積極的なようで、とても大きな胸をボクに摺り寄せてくる。

ぐいぐいくるし、顔を見れば広く開いた胸元が見えるし……目のやり場に困る。

笑顔を張り付かせてニコニコしているしかなかった。

踊り終えた後も話したそうにしていたけれど、他にも挨拶しなくてはならいのでって断った。

ちらっとミアを見るとじっとボクを見ていた。

それが嬉しくて満面の笑みになってしまった。



最後にパーシマン公国の第一公女、ルイーズ・ヘンリク・パーシマンへと挨拶をした。

ルイーズ姫はボクよりも1つ上なのに、大人の女性、美女といった感じの風貌だ。

公女というわけで、ただの貴族とも言えるが国土が広いのでないがしろにも出来ない。

そしてここまでくれば言わないでもわかるだろう。


「ジルクス殿下、踊ってくださいませ」

「はい、喜んで~」


どこぞの居酒屋のノリでしかないよ。

ルイーズ姫は一番踊りがうまくて踊りやすかったけどね。

ちらりとミアを見れば……あれ?無表情だよ……。

踊り終わった後は、ソフィア姫と同じように他にも挨拶が!って言って逃げた。


国内の貴族相手であれば、いくらでも断るんだけどなぁ。断れない相手っていうのはつらいな……。

ボクとしては、ミアと踊りたい……。


招待客が王女ばかりだって?その辺は察してほしい……。

マイン兄と結婚できなかった近隣の姫たちなのだ……。

ボクにまわしてくるのホントやめてほしいなぁ。




国名は上から、蜜柑・李・柘榴・柿です

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