20.閑話:ミアの心境
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初めてジルから「今週の家庭教師はお休み」っていう連絡がきた。
体調が悪いからってことだったけど、治癒術かければ治るんじゃないのかな?
もしかして、魔力使いすぎて倒れちゃったのかな。
残念に思ったけど、また来週会えるしいいかーと思った。
次の週になったら、咳が出て治らないからお休みしますって連絡がきた。
それこそ治癒術をかければいいと思った。
もしかして、かけても治らない……不治の病とか!?
ジルの身に何かあったのかな……。
心配になって、「治癒術かけないの?」って内容の代行便を送ったら、「治癒術では治らない特殊なもので、でも死ぬようなものじゃない」って返ってきた。
でも、家庭教師できないほどなんだから、ヤバイんじゃないの……。
とりあえず、返事がきたからお休みは了承した。
そうしたら、さらに次の週は声が出なくなったからお休みしますって。
どれだけひどい病気なの!?
代行便のお手紙をもらってから、ソワソワしちゃって落ち着かない。
お見舞いに行こうかな。
体調悪くて休んでるのに行ったら邪魔になるかな。
果物もっていったらどうかな。桃みたいな果物を……。
ジルが住んでいる寄宿舎の部屋がわからないな。
いきなり行って、部外者に部屋の場所教えてもらえるのかな。
そもそも男性の部屋に行くのってよくないことだよね。
でも、部屋で息も絶え絶えだったらどうしよう。
心配しすぎて、どんどん不安になってくる。
不安が最高潮までいったとき、ぐいっと方向が変わった。
本当は体調悪くなかったりしないかな。
元気でただ休みたかっただけだったりして。
だって、治癒術が効かないっておかしくない?
それだったら3週も続けて、お休みって変だよね。
もしかして、私に教えるの嫌になったのかな。
別の意味でどんどん不安になってきた。
すぐに代行便で、「お見舞いにいっていい?」って送ったんだけど、「すぐ良くなるから、大丈夫だよ」って返事がきた。
やっぱり、体調不良だったのかな。
私の思い過ごしだったんだなって思ってたんだけど……。
『ごめん、今週も休む』
たったこれだけの内容の日本語で書かれた手紙が届いた。
今までは理由が書いてあったんだけど、今度のは書かれていなかった。
もう体調不良だと思えなかった。
4週間も顔を合わせてないんだよ。
私に教えるの嫌になったのかもしれない。
顔を見るのも嫌なのかもしれない。
もしかして、私のこと嫌いになったのかな。
考えれば考えるほど、嫌な方向へ向かっていく。
何かマズイことしたかな?
振り返っても特に思い出せなかった。
だんだん、怖くなってきて手紙を送ることさえできなかった。
手紙を送られるのも嫌なのかもしれない……なんて思っちゃったからだ。
どうしよう。
悪いことしたなら、原因を知ってしっかりと謝りたい。
ううん、本当に体調が悪いのかもしれないし。
今度こそ次の休息日は会えるって信じられる?
また、休むって手紙がくるかもしれない。
ジルに会いたい。
会って確かめたい。
元気ならいいんだけど。
違う。
元気なのに会ってもらえないなら、どうして?って聞きたいし。
なんかだんだんわからなくなってきた。
とにかく、ジルに会いたい。
会ったら…どうする?
もし、元気だったら、今までどうしてたのか問い詰める。
そうよ、4週間も放置してたんだから、問い詰めたっていいはず。
それにお説教だってしてもいいはずよ。
もっと状況がわかるような内容のお手紙を書いてって言おう。
いっぱい文句言わなくちゃ。
そうよ、そうよね。
こんなにいっぱい悩ませてるんだから、怒っていいのよね!
絶対、問い詰めて、お説教するんだから!!