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04.豹変しすぎて驚かれています

 それから数日間、毎日のように周りの大人たちは目を見開き、状態:驚愕になっていった。

 どうして驚いているんだろうなぁ?なんて軽く考えつつも日々を過ごしていたのだけれど、よくよく考えてみればわかることだった。熱を出す前と後とで違いがありすぎるのだ。

 わがまま王子っぷりを封印というか削除したボクを見る大人の目はいつでも驚きに満ちていて、少し申し訳ない気分になった。


 急な変化過ぎるなってボクも思うんだけど、だからってもう前のようなわがままっぷりを発揮する方が難しいんだよ!



 ぶくぶくに太った体を引きずるように毎日、庭や王宮内を歩き回った。ダイエットと言ったら、運動でしょう!

 最初は王宮内を走っていたのだけれど、メイドたちに止められたので速足で歩くようにした。

 毎日歩くことで、王宮内の隠れ家的場所を知ったり、王族専用の食材を栽培する畑があったり、かなり大きい温室があることを知った。

 畑には専属の庭師がいて、ボクを見るとあからさまに不思議なものを見るようにじっと見てきた。歩くだけじゃつまらないから、庭師に声を掛けて野菜の栽培方法を聞いたりもした。


 王宮内にある近衛騎士の訓練場もこっそり覗いて、素振りのやり方なんかも見よう見まねで覚えた。

 まだ剣は持たせてもらえないので、食事用のナイフを拝借してブンブン振り回していたら、「御乱心!?」とか言って近衛騎士に取り上げられた。


 熱を出す前までは逃げ回っていた専属講師の授業もしっかりと受けるようになった。

 前世の知識もフル活用して、質疑応答を繰り返したら「私にはもう教えることはありません」と言われ、王宮から去られてしまった。

 どうもこの世界の知識は前世から比べるととても遅れているようだ。遅れている分、魔法というものが存在するようでもある。


 暇さえあれば、本を読むようになった。

 この世界の成り立ちや創造神のこと、治癒術魔術に歴史地理、過去の転生者が残した日本語で書かれた文献……とにかく幅広くいろんな本を読んだ。


 食べ物の好き嫌いもなくなり……というか、美味しいものばかりだから残さなかった……、三食の食事をしっかり食べた。

 どうしても、10時と3時にお腹がすくので、クッキーを1枚だけ食べて、それ以上は我慢した。


 そりゃ、驚かれるのも無理ないか……。


 まだ幼い身体だったのが幸いして、2か月くらいでぶくぶくの身体から一般的な幼児の体形へと変わった。

 生活態度があまりにも変わって驚いていた母も引き締まった体形になるにつれて、喜んでいた。毎日の呪いの言葉が悪化したのは言うまでもない。


 前までと違って、口数が減っていることに関しては、すごく心配された。

 話せないわけではないのだが、何を話したらいいのかわからなくなるのだ。

 生活態度だけでも不審に思われているのに、5歳児が難しいことを話し出したら、母の呪いの言葉が悪化どころか、周囲まで王位継承争いを促進するのではないかと不安になった。


 この2か月でマイン兄とは何度もすれ違ったり、2~3言葉を交わしたりした。侍女たちや従者たちの会話も聞いた。

 本人は隠しているつもりのようだが、有能なのがバレバレだった。いや、もしかしたら、隠しているふりの可能性もある。


 それから、国王が日頃何をしているかという話を聞いた。色んな人が口々に国王陛下は素晴らしいと語りつつも自分も素晴らしいんですよって言うもので胡散臭かった。

 結局、物語のように国王は派閥に阻まれて身動きできなくて、各派閥の人間は狸の化かしあいをしているんだろうという予想がついて終わった。


 正直に言って、王様になるなんて面倒くさい!

 5年分のジルクスの記憶とは関係なく、上に立つものになるなんて、面倒だとしか思えない。

 できればこのまま、マイン兄が王太子に、そしてゆくゆくは次期国王になっていただきたい。

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