18.あっさりと出来てしまいました
魔法学院の基礎の授業が終わり、応用の授業が始まった。
応用の授業は、あまり知られていない魔法を行使したり、新しい魔法を編み出したりと様々だ。
ボクはもちろん、新しい魔法を編み出す……研究部門に没頭した。
母の呪い返しの解呪方法も考えたいし、今は存在していないけれど、ラノベによく出てきた魔法が使えるようになれば、という思いもある。
ぶっちゃけさ、アイテムボックスとか転移とか転送、スマホみたいな遠距離通話とかそういった魔法がほしいわけだ。
この世界にそういった魔法が存在していないのにはショックを受けた。
魔法って何でも便利に使えるんじゃないの!?って思っていただけにショックは大きかった。
と、いうわけで、新しい魔法の研究だ。
まずは、母の呪い返しの解呪だけれど、なんとなく方法は考えている。
母の呪い返しは染みのように広がっている。
それは、染みのように…ではなく、「シミ・ソバカス」だと思って対処すればいいのではないか?
シミやソバカスの原因ってなんだったっけなぁ。
「紫外線にあたるとメラニンが増えてシミが!」みたいな文章をあちこちで見たような気がする。
これ以上詳しくは思い出せないや。
生まれ変わってから月日がたっているのもあってか、前世の細かい記憶がなかなか出てこない。
たしか、前世の母が「レーザー治療で顔のシミがとれたのよ」って、使用前使用後みたいな写メを送ってきたっけ。
レーザーを当てた部分が数日経つとポロリかツルリと剥がれるんだったかなぁ。
レーザーどうこうよりかさぶたになって剥がれる方に重点をおけばいいのではないか。
あとは事前詠唱と発動言語を考えて、母に実験台になってもらうしかない。
って、いきなり実験して、母を焦がすようなことがあってはいけないし……。
実験台を用意するのも難しいので、自分の体を使うことにした。
試す場所は、腕にある小さな黒子。黒インクでぽつっと落としたようなものだ。
そこに人差し指を当てて、考えた事前詠唱と発動言語を唱える。
事前詠唱に必要な言葉は、どのような事象を起こしてどのような結果を得たいか。
『肌にある黒いシミをなくし、もとの艶や張のある肌に戻したい』
これを想像しなくても言葉だけで形になるように唱える。
「我願う 肌にある異物の存在を取り除き 艶と張りのある美しい肌に戻ることを」
発動言語に必要な言葉は、起こる結果を表した単語。
結果はこれだと『美肌』か?
「……美肌」
魔力を込めて発動言語を唱えれば、腕にあった小さな黒子がポロリと取れて落ちた。
そして、魔法をかけた範囲が艶っともちもちになった。
生活魔法とも治癒術とも言い難い魔法を編み出すことに成功したようだ。
これで母の呪い返しの染み……消えるだろうか!?
使用前使用後の写メは、本当にリアル母から送られてきて驚きました……。




