14.診療所でお給料をもらいました
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先週の騎士団で聞いた話だと、街の診療所でも治癒術の練習ができそうだと思った。
というわけで、今週は平民街にある診療所にお邪魔して、治癒術の練習をさせてもらうことにした。
「今日は平民街の診療所に行くけど、大丈夫?」
「平民街は初めてですねー。どんなところなんでしょうか?」
「平民街は『都心の住宅街』みたいな感じで、平民街にある商業区は『活気のある商店街』って感じ」
「前世の街並みですかー。屋台とかあるのかなー楽しみー!」
「行くの商業区じゃないけどね」
「うっ。で、でも、ちらっと見るくらいなら……」
「お昼の休憩までって話してあるから、そのあとなら回れるよ」
「本当ですか!じゃあ、頑張らなくちゃ!」
その診療所ではいつも人手が足りていないらしく、治癒術の練習だというのにすごく喜ばれた。
平民街にあるこの診療所に来るのは、怪我人だけでなく、病気の者も来るのだ。
騎士団の救護室と同様に、治癒師が病気や怪我の診断をして、治癒師が対応するか薬師が対応するかを決める。
そこへ治癒師が対応する者をミア嬢へと回す。
これだけで、診察の時間に看れる人数が増えると治癒師たちは喜んだ。
前回同様、ボクは薬師の手伝いをした。
治癒師も薬師たちもみんな、ミア嬢の治癒の効果の良さや未だ尽きることのない魔力量に驚いていた。
もともとボクもミア嬢も魔力の総量が多い。
きっと、転生者特典だろうと思って深く考えてはいない。
もしかしたら、ボクとミア嬢は想像力の差のおかげで術に使う魔力の消費量が少ないのかもしれない。
まぁ、深く考えても答えは出ないだろう。
「まずは、傷口をキレイにしますね」
ミア嬢はそう患者に伝えると、手が汚れるのも構わずに傷口に片手を添える。
「……清潔」
そうつぶやくと、傷口の周りについた血や汚れが……ついでに全身、衣服までもがキレイになった。
ほとんどの患者は、この時点で目を見開き驚く。
「次に、治癒術で傷口を塞ぎますね。……治癒」
ミア嬢が触れている傷口部分が淡く光った後、何事もなかったかのように消えていった。
だいたいの患者は、目を見開いて驚いたまま動かない。
「他に痛いところはありませんか?」
ミア嬢が心配そうに声を掛けることで、ようやく我に返るようだ。
そして、何度もお礼を言って部屋から出て行く。
病気の患者の場合も、ほぼ同じ。違うのは、治癒の後にもう一度、清潔を使うことくらいかな。
それをずっと繰り返していると、お昼休憩の時間になった。
ミア嬢の治癒術の練習はお昼までの約束だったので、帰ることになったのだが……。
「しっかり働いたのだから、しっかり受け取りなさい」
練習だって言ってあったにも関わらず、お給料をいただいてしまった。
ボクも薬師の手伝いをしていたということでいただいてしまった。
帰り道、初めてのお給料の使い道に2人で悩んだ。
「この後、孤児院によるでしょ?子供たちに飴を買っていったらどうかな?」
ミア嬢の発案で、袋いっぱいの飴を買った。
そのたくさんの飴を持って、孤児院へ行って配った。
子供たちはすごく喜んでいたし、いいことに使ったねって2人で喜んだ。
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