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12.騎士団学校は厳しい場所です

他校へも代行便を送れると知ったので、サイラスに代行便を送ってみた。

内容は、元気かってことと騎士団学校ってどんなところって質問。

サイラスからの返事は翌日来た。

相変わらず、まめなやつだな。

返事の内容は、「ちょっと見に来ないか?」つまり、百聞は一見に如かず。

面白そうだなぁと思って、授業の後行ってみた。



騎士団学校の校門にサイラスが立っていた。


「ジルクス!」


一瞬耳を疑った。

聞き覚えのない声が聞こえたからだ。

サイラスがしゃべっているのは間違いない。前よりも低くなっているようだ。


あ!声変わりか!


違和感はあるけれど、こういうものだったなぁと思った。


騎士団学校は出入りが厳しいらしい。

許可がない者は入ることができないだけでなく、出ることもできないそうだ。

不審な者を入れないっていう意味にもとれるし、脱走防止ともとれる。

ちょっと不安になった。

サイラスがいたから、見学の手続きはスムーズに済んだ。


騎士団学校の中を案内してもらってて、気が付いてしまった。

約4か月ぶりに会ったサイラスは、ボクよりも背が高くなっていたのだ。

卒業の時は、同じくらいの背の高さだったはずなのに……。

ああ、なんだろうすごく悔しい。


「サイラスは、声も変わって背も伸びたんだな」

「ジルクスも少しは伸びたんじゃないのか?」


たしかに、服の丈が短くなった感じはしてた。

だけど、サイラスほどは伸びていない。


「少しだけだよ。サイラスほどじゃない」

「適度な運動としっかりとした食事をとれば、自然と伸びるって、これ先輩の受け売りな」


クスっと笑う茶色い瞳に、羨ましい気持ちと悔しい気持ちが滲んだ。



サイラスに騎士団学校内を案内してもらった。

座学の授業はあまりないらしい。教室はあまり使われていない感じで、キレイだった。

屋外訓練場と屋内訓練場が複数あり、授業が終わったこの時間でもトレーニングをしている生徒がたくさんいた。

ひたすら走ってる者、木刀で素振りしている者、腹筋背筋スクワット……。

模擬戦を行っている者もいた。

みんなそれぞれ、手足など体のあちこちに傷を作っていた。


「なぁ、サイラス。模擬戦やってるみたいだけど、怪我したらどうしてるんだ?」

「救護室行って、傷薬塗ってもらって終わりだな」

「え?治癒術は?」

「滅多にかけてもらえないな。女子の顔に傷がついたときはかけてもらえるらしい」


体中傷だらけってことか。

女性の騎士も顔以外は傷跡がたくさんあるのかな。

それって名誉の負傷なのかもしれないけれど、可哀想な気もする。


「騎士団学校でそれなら、騎士団でも同じかな?」

「たぶん、同じなんじゃないかな。時々、訓練に混ぜてもらうけど、ボッコボコにされるんだぞ」


サイラスはそう言うと、袖をめくって、真新しい傷跡を見せてくれた。

木刀での模擬戦なのに、なぜか切り傷の跡がある。


「そういう傷とか、傷跡とかって治してほしいと思う?」

「俺は治してほしいかな。別にこれは模擬戦での傷だしな。シルル姫を守ってできた傷だったら、残しておくかもしれないけどさ」


相変わらず、サイラスはシルル一筋のようだ。

傷跡を治してほしいって人が一部でもいるのなら、ミア嬢の治癒術の練習場所に騎士団の訓練場を加えてもいいかもしれない。


「サイラス、今日の案内のお礼してやるよ」

「ん?」

「……治癒ヒール


サイラスの左腕が淡く光って、腕に溶け込むように消えた。

先ほど見せてもらった傷跡がすっきりキレイに消えた。


「おー……やっぱり、ジルクスは規格外だな」

「ボクよりもミアの方がすごいよ」

「ミア嬢かー、元気にしてる?」

「元気だよ。毎週、魔法を教えてあげてるんだ」

「………………」

「…………」

「……」


久しぶりにあった友達と歩きながらではあったけれど、楽しく話せた。

たまにはこういう時間も必要だね。




半年ぶりに会っただと、計算が合わないので約4か月ぶりに修正しました。

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