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07.すべての魔法は想像力でできています

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今日は休息の日、ミア嬢に魔法を教える日。

少しワクワクして寝るのが遅くなったけど、体調には問題なさそうだ。

ミア嬢はどれくらい魔法を使えるようになるかなって想像してたら、遅くなったんだ。


前回と同じティールームで待っていると、ミア嬢は少し遅れて現れた。

今日は休息の日なので、私服を着ていた。

着ていたのは、ゴシック……じゃなかったピンクロリータだった。

髪は頭の高い位置に一つにまとめられ、薄いピンク色の大きなレースのリボンがついている。

服のいたるところにレースがついているのは言うまでもない。

スカートは膝下丈で、ペチコートのおかげでふんわりと膨らんでいるようだ。

たぶん、コルセットはしていない。なのにミア嬢の腰回りはきゅっと細かった。

リボンとレースの塊みたいな恰好なのだが、ミア嬢にとても似合っている。


まじまじと服を見ていたからか、ミア嬢は少し顔を赤くしていた。


「お待たせしました」

「何かあったのかい?」

「えっと……」


服を選ぶのに迷ったとかそういったことかなぁと思って、それ以上は追及しなかった。


「今日の服装も可愛いね。すごく似合ってる」

「あ、ありがとう…ございます……」


本当のことを言っただけなんだけどなぁ。

ミア嬢は耳まで真っ赤になった。


前回と同じように紅茶と…本日のおすすめスイーツを注文した。

程なくして、紅茶もスイーツも届いた。

本日のおすすめスイーツは、プリンアラモードのようだ。

プリンの周りには生クリーム苺やラズベリーといったベリー系のフルーツが飾られていた。

今日のミア嬢の装いと合わせて見れば、ついつい顔が綻んでしまう。


スマホ持ってたら、絶対写真撮ってたなぁ。

なんて、思ってしまっても仕方ない。



スイーツも食べ終わり、紅茶を一口飲んでから、魔法の基礎について説明し始めた。


「これはもしかしたら、一般的には知らされていない話かもしれないんだけど」

「はい」

「治癒術でも魔術でも生活魔法でも、何でも想像力……イメージできれば成功しやすいみたいなんだ。例えばなんだけど、ぜん……昔だったら、唇が乾燥して荒れてしまったらどんな治療を施す?」


ミア嬢はぼくが言いかけた言葉を理解しつつ、答えた。


「リップクリームを塗って保湿を心がけますね」


ミア嬢の言葉に、正解だと言わんばかりに大きく頷いた。


「それを想像しながら、治癒術を使うと、想像通りかそれ以上の成果がでるんだよ」

「なるほど~想像力ですか……」

「同じように切り傷を癒すなら、ただ塞ぐだけじゃなくて消毒してばい菌を追い出すとか思いつくだろう?そういうイメージをしっかりと持って使うことを心がけるのが最初の一歩だね」


ミア嬢は力強く頷くとそわそわとしだした。

実践したいんだろうけど、まだだよ。


「生活魔法には、発動言語だけで発動するものも多いんだけど、治癒術や魔術には事前詠唱した後に発動言語を唱えないと使えないんだ。ただし、使い慣れていくと事前詠唱を省略して発動言語だけ唱えても発動する場合がある……ってことに一般的にはなってる」

「一般的…ですね。ちょっとわかってきました。想像力のある人であれば、発動言語だけで発動できるってことですね?」

「正解。使い慣れている人っていうのはどういった結果が起こるかっていうのを想像して発動言語を唱えてるみたい。ただし、これだと毎回同じ結果しか発動しない」


簡単に言えば、傷が塞がる結果をイメージして発動言語だけで治癒ヒールを使えば、イメージした結果のサイズの傷は塞がるが、小さい傷であれば過剰に魔力を消費して治り、大きい傷であればイメージした結果のサイズだけ分だけ塞がる。


「結論から言うとボクとミア嬢だったら、どういう経過を経て傷が治っていくか想像できるよね?体内に異物がある時、切り開いて取り出して塞ぐってことも想像できるよね?」

「気持ち悪いけど、できますね……治せそうな気がします……」


ボクはミア嬢の返事にニヤリと笑った。

この後することを考えれば、笑っても仕方ないだろう。


「よし、じゃあちょっと移動して実践しようか。移動しながら、発動言語は教えるよ」

「…はい」


ミア嬢は少し緊張した様子で返事をした。

先ほどまで話していた内容を確認していたのだろう、若干上の空だった。

その隙にさり気なく2人分の紅茶とスイーツの代金を支払った。




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