21.王立学院を卒業します
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今日はボクたちの卒業式だ。
王立学院を卒業して、それぞれの進路へ進む。
ボクは卒業後、魔法学院へいって魔法全般を極めるつもりだ。
いっそのこと最強になってもいいかなぁなんて思ったりしてる。
サイラスは最後まで、高等学院へ行くか騎士団学校へ行くか悩んでいたけど、結局、騎士団学校へ行くことになった。
シルルとの仲が進展しないのだ。「恋人になれなくてもいい。でもあなたを守りたい」ってくさいことを言ってた。目標はシルルの近衛隊に入ることらしい。
勝手に頑張ってくれたまえ……。
卒業式は滞りなく進んだ。
送辞は生徒会長を務めるシルルだった。
この2年で人間関係も良好のようで、男子を顎で使っているらしい。王女だと公表してからは、それを咎める人もいなければ、嫌がらせをする人もいないようで、楽しそうだ。
答辞は前生徒会長のクリストファーだった。
第二王子のボクがやるものだって?ボクは生徒会にも入ってないし、主席でもないし、そんな面倒はお断りだよ。
最後に全員で、王宮の方角に向かって深々と頭を下げた。
ここにはいない国王陛下へ向けてってことらしいんだけど、意味あるのかねぇ。
ボクが卒業ということは、マイン兄も高等学院を卒業するってことだ。
マイン兄の誕生日がくれば、15歳……この国では成人に当たる……正式に王太子になる。
まぁ王太子になるための儀式がいろいろあるらしくって、誕生日がきたらすぐってわけではないらしいけど。
王太子になると、宰相にくっついて政治経済あらゆる方面の勉強をしつつ、政務をいくつか任されるようになるらしい。
これからますます忙しくなるんだろうなぁ。
ミリア義姉も王太子妃になるべく、シェライラ様や女官長にくっついて王太子妃教育とか王妃教育を受けるんだって。
1年間みっちり教育を受けて、合格がでれば晴れて婚姻ができるんだって。
大変だろうけど、愛があれば乗り越えられるよね!
ステータス的に見ても、夫を支えていきそうなものがチラチラあるし、努力家みたいだから、大丈夫だろう。
ついでだけど、ボクの母は懲罰塔に入ったまま、少しずつ自力で呪い返しを解除してるらしい。
呪いの解除は意外と簡単なんだけど、呪い返しの解除ってなかなか難しいんだよね。
魔法学院へ入る前に一度会ってこようかな。
もういい加減、呪われた者の辛さとかわかっただろうし、今後呪わないって約束をして、呪い返しの解除を手伝ってこよう。
もし、解除ができないなら、魔法学院での研究課題の一つにしよう。
「ジルクスー!」
卒業式が終わって広場へ集まるとすぐにサイラスに声をかけられた。
「サイラス。3年間同室してくれて楽しかったよ」
「こっちこそ、その、いろいろあって飽きなかったよ」
突然、マイン兄が部屋へ乱入してきたこともあったしね……。
「卒業後は騎士団学校だね。進路が別れたけど、また会えるといいね」
「何言ってんだよ。ジルクスは宮廷魔術師になるだろう? 俺も近衛隊に入るし、また会えるだろ」
サイラスの近衛隊行きはもはや決定のような物言いだな。
シルルの近衛とは限らないとか、水を差すのはやめておこう。
「ボクは宮廷魔術師になるかわからないよ。マイン兄が王太子として認識されて、次期国王になるまでは旅に出るかもしれない」
「えー!」
へらへらと笑いながら言ったんだけど、サイラスには不満なようだ。
だってさ、治癒術も魔術も極めたとして、王宮で燻ぶってるのってどうかなって思うんだよね。
それだったら、国中を見て回って、足りなかったら国外も見て回って、時々王宮へ遊びに行って…そんな生き方でもいいかなって。
放蕩者の第二王子だったら、王位継承争いからどんどん外されていくだろうし、マイン兄のためにもなる……ハズ。
あとはそう、転移とか遠距離通話とか、この世界ではまだ知られていない魔術を編み出すのもいいね。
それがあれば、マイン兄に何かあってもすぐ助けられると思うし……。
「ジル……様……」
少し離れた場所から、声をかけられたけどすぐにわかった。
「ミア!」
人垣をかき分けて、ミアのもとまで行った。
卒業式だし、ちょっとくらいいいよね。
「寂しくなります……」
「そうだね。学校は別々になるけど、すぐ近くだし」
ミアはとても寂しそうな顔をしていた。
なんだこの寂しがりやのウサギみたいな生き物は。可愛いじゃないかっ。
『ミアとは友達以上になりたいと思ってるし、すぐ会えるよ』
まだ学院に残るミアのことを考えて、日本語で伝えてみた。
ミアは、耐えきれずにしゃがみ込んでしまった。
あ、耳がちょっと赤い。
5歳から約8年……生まれる前の記憶を得たことで、ちょっと異能に目覚めちゃったけど……。
これからもボクらしく思うままにやっていくよ。
まずは、何から始めようかな!
合計21話で完結予定だったんですが…
ジルクスが不憫なので続けることにしました(^_^;)
1日お休みして、第2章少年期に入ります
今後もよろしくお願いしますm(_ _)m
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